キスして?とお願いしてみた
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夜の
杜王町。
「で?」
隣を歩く
噴上裕也が、ポケットに手を入れたまま私を見る。
「さっき言ってた“変なお願い”ってやつ」
少し口の端を上げる。
「まだ聞いてねぇぞ」
私は少し迷ってから言う。
「キスして」
裕也の足が止まる。
数秒。
それから、ゆっくり笑った。
「……へえ?」
私を見る目が少しだけ鋭くなる。
「大胆だな」
私は肩をすくめる。
「私まだしたこと無くて」
裕也の眉が少し上がる。
「初めて?」
「うん」
裕也はしばらく黙って私を見る。
それから、ふっと笑った。
「なるほど」
腕を組む。
「それでオレ?」
私は頷く。
「裕也なら上手そう」
裕也がくすっと笑う。
「それ褒めてる?」
「褒めてる」
裕也は少し考える顔をする。
それから顎をしゃくる。
「ついて来い」
私は首をかしげる。
「どこに?」
裕也はもう歩き出している。
「いいから」
少し振り返る。
「初めてなんだろ?」
その言い方が妙に真面目だった。
しばらく歩く。
住宅街を抜けて、坂道を上る。
そして辿り着いたのは、小さな展望スペースだった。
下には杜王町の夜景が広がっている。
私は思わず言う。
「……きれい」
裕也は柵にもたれながら笑う。
「だろ?」
私は振り返る。
「どうしてここ?」
裕也は肩をすくめる。
「初めてのキスだろ」
私を見る。
「そのへんの道端じゃ味気ねぇ」
少し照れたように言う。
「こういう方が覚えてるもんだ」
私は少し黙る。
裕也はゆっくり近づく。
街灯と夜景の光が、横顔を照らしていた。
「……で?」
低い声。
「まだ頼む気ある?」
私は少し笑う。
「うん」
裕也はふっと笑う。
「言ったな」
私の前で止まる。
「オレ」
少し屈む。
距離が近い。
「結構ズルい男だぜ」
私は小さく笑う。
「知ってる」
裕也は一瞬だけ私を見つめる。
それから、ゆっくり顔を近づける。
逃げ道を残すくらいの距離で止まる。
「……嫌なら今言え」
私は小さく首を振る。
「嫌じゃない」
裕也は小さく笑った。
そして——
唇が触れる。
最初は優しく。
でも少しだけ長いキス。
夜風が頬を撫でる。
離れた時、私は完全に言葉を失っていた。
裕也は私の顔を見て、くすっと笑う。
指で私の頬を軽くつつく。
「ほら」
少し得意そうな声。
私は顔が熱い。
裕也は夜景を背にしながら、ニヤッと笑った。
「どうだ?」
少し意地悪そうに言う。
「裕ちゃんに惚れたか?」
杜王町。
「で?」
隣を歩く
噴上裕也が、ポケットに手を入れたまま私を見る。
「さっき言ってた“変なお願い”ってやつ」
少し口の端を上げる。
「まだ聞いてねぇぞ」
私は少し迷ってから言う。
「キスして」
裕也の足が止まる。
数秒。
それから、ゆっくり笑った。
「……へえ?」
私を見る目が少しだけ鋭くなる。
「大胆だな」
私は肩をすくめる。
「私まだしたこと無くて」
裕也の眉が少し上がる。
「初めて?」
「うん」
裕也はしばらく黙って私を見る。
それから、ふっと笑った。
「なるほど」
腕を組む。
「それでオレ?」
私は頷く。
「裕也なら上手そう」
裕也がくすっと笑う。
「それ褒めてる?」
「褒めてる」
裕也は少し考える顔をする。
それから顎をしゃくる。
「ついて来い」
私は首をかしげる。
「どこに?」
裕也はもう歩き出している。
「いいから」
少し振り返る。
「初めてなんだろ?」
その言い方が妙に真面目だった。
しばらく歩く。
住宅街を抜けて、坂道を上る。
そして辿り着いたのは、小さな展望スペースだった。
下には杜王町の夜景が広がっている。
私は思わず言う。
「……きれい」
裕也は柵にもたれながら笑う。
「だろ?」
私は振り返る。
「どうしてここ?」
裕也は肩をすくめる。
「初めてのキスだろ」
私を見る。
「そのへんの道端じゃ味気ねぇ」
少し照れたように言う。
「こういう方が覚えてるもんだ」
私は少し黙る。
裕也はゆっくり近づく。
街灯と夜景の光が、横顔を照らしていた。
「……で?」
低い声。
「まだ頼む気ある?」
私は少し笑う。
「うん」
裕也はふっと笑う。
「言ったな」
私の前で止まる。
「オレ」
少し屈む。
距離が近い。
「結構ズルい男だぜ」
私は小さく笑う。
「知ってる」
裕也は一瞬だけ私を見つめる。
それから、ゆっくり顔を近づける。
逃げ道を残すくらいの距離で止まる。
「……嫌なら今言え」
私は小さく首を振る。
「嫌じゃない」
裕也は小さく笑った。
そして——
唇が触れる。
最初は優しく。
でも少しだけ長いキス。
夜風が頬を撫でる。
離れた時、私は完全に言葉を失っていた。
裕也は私の顔を見て、くすっと笑う。
指で私の頬を軽くつつく。
「ほら」
少し得意そうな声。
私は顔が熱い。
裕也は夜景を背にしながら、ニヤッと笑った。
「どうだ?」
少し意地悪そうに言う。
「裕ちゃんに惚れたか?」
