眠りに落ちて
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旅の途中、夜のホテル。
ベッドに横になっても、まったく眠気は訪れなかった。
理由は分かっている。
今日の戦闘で、自分がほんの少し遅れていたら。花京院の背中に伸びていった刃は、もっと深く彼を傷つけていたかもしれない。
その「もしも」が頭から離れない。
目を閉じるたび、あの一瞬の光景だけが焼き付いたように浮かぶ。
枕に顔を沈めても、胸の鼓動はずっとざわついていた。
(……花京院くんが無事でよかった。ほんとに、よかった……)
そう思えば思うほど、安堵と同時に怖さも増していく。
“どうしてこんなに怖いのか”に気付いてしまったのが、余計に眠りを遠ざけた。
そんな考えを掻き消したいのに、時間だけが過ぎていく。
コンコン――。
控えめなノックが、静かな部屋に響いた。
「なまえ。まだ起きてますか?」
花京院の声だと分かった瞬間、心臓が跳ねる。
「……うん。起きてる。入っていーよ」
花京院は静かに部屋へ入り、薄暗い灯りの中でなまえを一度だけ見た。
その視線だけで胸が苦しくなる。
「……やはり。眠れていませんね」
「えっ、なんで……?」
「理由も、だいたい分かりますよ」
花京院は歩み寄りながら淡く微笑む。
優しいのに、逃げ場のない目をしていた。
「今日の戦闘が頭から離れないんでしょう?自分が遅れたせいで、僕が危険だった……そう思ってる」
図星すぎて、言葉が出ない。
花京院は隣に腰を下ろし、静かに息を吐いた。
「……あなたは、そういう人ですから」
「そういう人って……?」
花京院は少しだけ視線を落とし、ベッドに置いた自分の手をゆっくり握る。
「……僕を、守ろうとしてくれる人ですよ」
その声は静かなのに、心に深く響いた。
「だから自分を責める。もしあのとき自分がもっと速く動けていたら、と。何度も何度も同じ場面を繰り返して、眠れなくなる」
花京院はなまえをまっすぐ見た。
彼の瞳が、夜の灯りで揺れている。
「でもなまえ。今日、僕を救ってくれたのはあなたです。僕の背中に刃が届く前に、あなたがいた」
そう言って、花京院はそっとなまえの右手を包み込むように握る。
ひんやりしていた指先が、じんわり温まっていく。
「僕がここにいるのはなまえのおかげです。
だから……どうか、自分を責めないで」
その声が、かすかに震えていた。
いつも冷静な花京院が、こんな声を出すなんて。
「僕だって……同じなんですよ」
彼は一度目を伏せ、決意するように顔を上げた。
「なまえが傷つくところを想像するだけで、胸が締めつけられる。あのとき……あなたを失っていたかもしれない」
息が止まりそうになる。
「だから分かるんです。あなたが今、どんな気持ちでいるのか」
指が絡む力が、ほんの少し強くなった。
「なまえ……僕にとって、あなたは──」
言葉は途中で途切れた。
でも、それ以上の想いがもう伝わっていた。
代わりに、花京院はそっと身を寄せる。
額がなまえの肩に触れ、息がふわりとかかる。
「……もう、一人じゃないってことを、忘れないでください」
震える声が、耳元に落ちる。
「僕が、ここにいますから」
その瞬間、胸のざわめきが少しだけ静まった。
温もりと、優しい香りと、寄り添う鼓動。
「……花京院くん」
名前を呼ぶと、彼は小さく息を吐き、あなたをさらに抱き寄せた。
「今は……このまま、もう少しだけ」
怖かった「もしも」はまだ完全には消えない。
けれど、今ここに彼の温もりがある。
それだけで、明日が少しだけ優しく思えた。
ベッドに横になっても、まったく眠気は訪れなかった。
理由は分かっている。
今日の戦闘で、自分がほんの少し遅れていたら。花京院の背中に伸びていった刃は、もっと深く彼を傷つけていたかもしれない。
その「もしも」が頭から離れない。
目を閉じるたび、あの一瞬の光景だけが焼き付いたように浮かぶ。
枕に顔を沈めても、胸の鼓動はずっとざわついていた。
(……花京院くんが無事でよかった。ほんとに、よかった……)
そう思えば思うほど、安堵と同時に怖さも増していく。
“どうしてこんなに怖いのか”に気付いてしまったのが、余計に眠りを遠ざけた。
そんな考えを掻き消したいのに、時間だけが過ぎていく。
コンコン――。
控えめなノックが、静かな部屋に響いた。
「なまえ。まだ起きてますか?」
花京院の声だと分かった瞬間、心臓が跳ねる。
「……うん。起きてる。入っていーよ」
花京院は静かに部屋へ入り、薄暗い灯りの中でなまえを一度だけ見た。
その視線だけで胸が苦しくなる。
「……やはり。眠れていませんね」
「えっ、なんで……?」
「理由も、だいたい分かりますよ」
花京院は歩み寄りながら淡く微笑む。
優しいのに、逃げ場のない目をしていた。
「今日の戦闘が頭から離れないんでしょう?自分が遅れたせいで、僕が危険だった……そう思ってる」
図星すぎて、言葉が出ない。
花京院は隣に腰を下ろし、静かに息を吐いた。
「……あなたは、そういう人ですから」
「そういう人って……?」
花京院は少しだけ視線を落とし、ベッドに置いた自分の手をゆっくり握る。
「……僕を、守ろうとしてくれる人ですよ」
その声は静かなのに、心に深く響いた。
「だから自分を責める。もしあのとき自分がもっと速く動けていたら、と。何度も何度も同じ場面を繰り返して、眠れなくなる」
花京院はなまえをまっすぐ見た。
彼の瞳が、夜の灯りで揺れている。
「でもなまえ。今日、僕を救ってくれたのはあなたです。僕の背中に刃が届く前に、あなたがいた」
そう言って、花京院はそっとなまえの右手を包み込むように握る。
ひんやりしていた指先が、じんわり温まっていく。
「僕がここにいるのはなまえのおかげです。
だから……どうか、自分を責めないで」
その声が、かすかに震えていた。
いつも冷静な花京院が、こんな声を出すなんて。
「僕だって……同じなんですよ」
彼は一度目を伏せ、決意するように顔を上げた。
「なまえが傷つくところを想像するだけで、胸が締めつけられる。あのとき……あなたを失っていたかもしれない」
息が止まりそうになる。
「だから分かるんです。あなたが今、どんな気持ちでいるのか」
指が絡む力が、ほんの少し強くなった。
「なまえ……僕にとって、あなたは──」
言葉は途中で途切れた。
でも、それ以上の想いがもう伝わっていた。
代わりに、花京院はそっと身を寄せる。
額がなまえの肩に触れ、息がふわりとかかる。
「……もう、一人じゃないってことを、忘れないでください」
震える声が、耳元に落ちる。
「僕が、ここにいますから」
その瞬間、胸のざわめきが少しだけ静まった。
温もりと、優しい香りと、寄り添う鼓動。
「……花京院くん」
名前を呼ぶと、彼は小さく息を吐き、あなたをさらに抱き寄せた。
「今は……このまま、もう少しだけ」
怖かった「もしも」はまだ完全には消えない。
けれど、今ここに彼の温もりがある。
それだけで、明日が少しだけ優しく思えた。
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