やわらかな時間
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夜の帳が落ち、二人の部屋には静かな暖炉の明かりが揺れていた。
一日の疲れを労うように、テセウスはソファに腰を下ろして、緩く結んでいたネクタイを外す。軍人らしい整った姿勢も、今は肩の力が抜けていて、すっかり“家の顔”だった。
その隣に腰を寄せると、なまえの目に映ったのは、わずかに乱れた彼の髪だった。
昼間はきちんと撫で付けられているはずの髪が、炎の光に透けるように揺れ、どこか柔らかそうで──触れたくて仕方なくなる。
「……ね、テセウス」
「ん?」
「ちょっと、触ってもいい?」
唐突な言葉に、テセウスは一瞬きょとんとする。けれどすぐに口元をゆるめ、少しおどけたように答えた。
「僕の髪に? ……物好きだな」
低い声が愉快そうに響く。けれど拒むことはせず、むしろ身を傾けて彼女の手を受け入れるようにした。
なまえは小さく息を呑み、恐る恐る指先を差し出す。ふわっとした感触が掌に広がった瞬間、目を丸くして思わず笑みを零す。
「テセウスの髪、柔らかくて……ふわふわで気持ちいい」
心からの感想を口にすると、テセウスの眉が僅かに下がり、目尻が緩んだ。普段は人前で見せないほど甘い表情で、なまえを見ている。
「そう言われるのは、悪くない」
その声がまた低く響き、胸の奥をくすぐる。
なまえは夢中になって髪を梳き始める。指の間をすり抜けていく感触が心地よくて、つい手を止められない。気づけば彼の頭全体を包み込み、撫でるように掌を滑らせていた。
───まるで、大きな犬を撫でているみたい。
そう思った途端、ふふっと笑いが漏れる。テセウスは怪訝そうに眉を上げるが、やめるようには言わない。
むしろ、撫でられるたびに肩の力を抜き、額をなまえの肩に預けてきた。
「……甘やかされてる気分だな」
「いいでしょ?わたしが甘やかしてあげる」
言葉のやり取りは冗談めいているのに、触れている空気はあまりにも親密で、どこか甘くて。
指を通すたびにさらさらと髪が揺れ、そのたびに彼の呼吸が静かに重なってくる。耳の先がほんのり赤いのが、炎に照らされて見えた。
「……もう少し、このままでも?」
「もちろん」
なまえが頷くと、彼は小さく息をつき、安心したように笑った。二人の間に流れるのは、ただ柔らかい静寂。
撫でるたびにさらさらと指の間をすり抜ける髪の感触と、寄り添うテセウスの呼吸だけが、心地よい音楽のように響いていた。
テセウスもまた、目を細め、心から満たされた顔でその心地よさに身を委ねていた。
一日の疲れを労うように、テセウスはソファに腰を下ろして、緩く結んでいたネクタイを外す。軍人らしい整った姿勢も、今は肩の力が抜けていて、すっかり“家の顔”だった。
その隣に腰を寄せると、なまえの目に映ったのは、わずかに乱れた彼の髪だった。
昼間はきちんと撫で付けられているはずの髪が、炎の光に透けるように揺れ、どこか柔らかそうで──触れたくて仕方なくなる。
「……ね、テセウス」
「ん?」
「ちょっと、触ってもいい?」
唐突な言葉に、テセウスは一瞬きょとんとする。けれどすぐに口元をゆるめ、少しおどけたように答えた。
「僕の髪に? ……物好きだな」
低い声が愉快そうに響く。けれど拒むことはせず、むしろ身を傾けて彼女の手を受け入れるようにした。
なまえは小さく息を呑み、恐る恐る指先を差し出す。ふわっとした感触が掌に広がった瞬間、目を丸くして思わず笑みを零す。
「テセウスの髪、柔らかくて……ふわふわで気持ちいい」
心からの感想を口にすると、テセウスの眉が僅かに下がり、目尻が緩んだ。普段は人前で見せないほど甘い表情で、なまえを見ている。
「そう言われるのは、悪くない」
その声がまた低く響き、胸の奥をくすぐる。
なまえは夢中になって髪を梳き始める。指の間をすり抜けていく感触が心地よくて、つい手を止められない。気づけば彼の頭全体を包み込み、撫でるように掌を滑らせていた。
───まるで、大きな犬を撫でているみたい。
そう思った途端、ふふっと笑いが漏れる。テセウスは怪訝そうに眉を上げるが、やめるようには言わない。
むしろ、撫でられるたびに肩の力を抜き、額をなまえの肩に預けてきた。
「……甘やかされてる気分だな」
「いいでしょ?わたしが甘やかしてあげる」
言葉のやり取りは冗談めいているのに、触れている空気はあまりにも親密で、どこか甘くて。
指を通すたびにさらさらと髪が揺れ、そのたびに彼の呼吸が静かに重なってくる。耳の先がほんのり赤いのが、炎に照らされて見えた。
「……もう少し、このままでも?」
「もちろん」
なまえが頷くと、彼は小さく息をつき、安心したように笑った。二人の間に流れるのは、ただ柔らかい静寂。
撫でるたびにさらさらと指の間をすり抜ける髪の感触と、寄り添うテセウスの呼吸だけが、心地よい音楽のように響いていた。
テセウスもまた、目を細め、心から満たされた顔でその心地よさに身を委ねていた。
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