嘘で解き明かされる真実
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「それじゃあ、お姫様。今夜は、僕が君のナイトだ」
冗談めかした口調でそう言うと、ジョージはなまえの手をしっかりと握ったまま、軽くウィンクをする。
灯りの揺れる大広間。誰よりも軽やかに、誰よりも堂々と、ふたりはダンスフロアの中央へと進み出た。
「ほんとに……慣れてるんだね、こういうの」
なまえが呆れたように言うと、ジョージは肩をすくめて笑った。
「そりゃもう。恋人役でも、王子役でも、悪い男役でも。依頼があればなんでもこなすよ、ウィーズリー劇団はね」
音楽が、ゆるやかに流れ出す。ジョージはなまえの腰に手を添えると、自然なリードでステップを踏む。
「周りの皆も、君のこと、ちゃんと見てるよ。特に、あそこ」
視線だけで、ジョージは部屋の端を示す。
なまえがそっとその方向を見れば、灰色の瞳がこちらをじっと見ていた。
なまえはすぐに視線を戻し、目の前の“今夜だけの恋人”に小さく微笑んだ。
「……私、上手く笑えてる?」
「うん、完璧。君が笑った瞬間、空気がパッと明るくなったよ」
ジョージの笑顔は、いつも通りの無邪気さを保ったまま。でもその腕は、ちゃんと温かくて、支えてくれる強さがあった。
「このまま、夢みたいに終わればいいのにな。全部、忘れちゃって」
なまえの呟きに、ジョージは少しだけ真剣な顔になって、でもすぐに笑みを戻した。
「忘れる必要なんてないよ。大事なのは、今夜だけの恋人が、君にちゃんと寄り添ってるってことさ」
音楽に合わせて、ふたりはくるりと回った。
そして再び、視線の端に、セドリックの姿が映る。会話の輪に入っていない。まっすぐこちらを見ている。
それでもジョージは、何も言わなかった。ただ、わざとらしいくらい甘く微笑み、なまえの髪にそっと触れる。
ふたりの笑顔はどこか儚くて、でも、確かにそこに在った。今だけのやさしい嘘のぬくもり。
——そして、ふたりの姿を遠くから見つめ続ける、セドリックの視線。
けれどなまえは、その視線に何も応えなかった。ただ、目の前にいる“恋人役”の腕の中で、ほんのひととき、心を預けていた。