セドリックと幼なじみ
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廊下に出ると、彼の背中は少し先を歩いていた。
その姿を目で追いながら、私は無意識に走り出していた。
「……ドラコ!」
声を張った瞬間、彼はぴたりと足を止めた。そして、ゆっくりと振り返る。
──あの薄青の瞳と、視線が交わった。
けれど、そこにあったのは、私が知っている“ドラコ・マルフォイ”の表情ではなかった。
「……なんだ、君か」
吐き捨てるようなその声に、私は思わず足を止めた。
「ちょっと、話したいことが──昨日のこと、私──」
「聞く気はないよ。君と話すことなんて、もうない」
「……っ!」
その言葉は、まるで刃物だった。
私に笑いかけてくれていたあの笑顔も、言葉の端に滲んでいた柔らかさも、何もかも幻だったみたいに。
思わず、目に熱いものが込み上げた。
「……なんで、そんなこと言うの……?」
声が震えていた。必死に堪えていた涙が、頬を伝った。ドラコの前で泣くなんて、絶対に嫌だったのに。
「……っ」
ドラコの表情にどこか戸惑いが混じって見えた。
ドラコの手が少し伸びたのが、視界の端で見えた。けれど、それが触れる前に──私は踵を返し、駆け出した。
もう、これ以上いたくなかった。
視界が歪む。胸が苦しい。どこに向かっているかも分からないまま、ただ走った。そして、次の瞬間。
「うわっとと!」
ドン、と何かにぶつかって、私はよろけた。
顔を上げると、見慣れた双子の一人──ジョージ・ウィーズリーが、目を丸くして私を見ていた。
「え、ちょっ、どうした!?泣いてるじゃないか」
「……っ、う、うう……」
ぷつりと、糸が切れたみたいに。ジョージの前でしゃがみ込んで、私は泣いた。止めようとしても止まらなかった。
震える肩を、ジョージは驚いたように見つめていたけれど、次の瞬間、真剣な顔になった。
「誰に、泣かされた?」
声のトーンが低くなっていた。
その問いには答えられなかった。ただ震えていた私の隣に、ジョージは静かに腰を下ろす。
「ごめん、言わなくていい。落ち着くまで、ここにいるから」
ぽそっと呟いたその声が、妙に優しくて、また胸がいっぱいになった。
ジョージの腕がそっと私の肩を抱いた。あたたかくて、ほっとして、それが余計に涙を止められなくさせた。
私はジョージの制服の袖を握りしめながら、静かに涙を流した。
────
しばらくして、ようやく涙が落ち着いた。呼吸を少しずつ整って、私はそっと顔を上げる。
「……ごめんね、ジョージ。こんな……」
しゃがみこんだままの姿勢で、袖口で目元をぬぐいながら言うと、ジョージはにやっと笑った。
「なんだよ、謝ることないだろ。泣き顔、けっこう可愛かったし?」
「……え?」
ぽかんと見上げる私に、ジョージはあえて真顔で続けた。
「ていうかさ、まさか僕に会いたすぎて泣いてたなんて……光栄すぎて困っちゃうなあ」
「ち、違うよ……!」
「えっ、違ったの!? なんてこった……僕の勘違いだったか……ちょっと傷つくなあ」
両手で胸を押さえて、大げさにため息をつくジョージ。その姿に思わず笑いが込み上げる。
「……もう、ジョージってば……」
「おっ、笑った。よし、合格。これで僕も“落ち込んだ友達を笑わせる選手権”ホグワーツ代表狙えるな」
どこか誇らしげにウインクしてくるジョージに、また笑ってしまう。
さっきまであんなに苦しかったのに、今はほんの少しだけ、心が軽くなった気がした。
「……ありがとう、ジョージ」
素直にそう言うと、ジョージは少し驚いたように目を丸くして、すぐに照れ隠しのように笑った。
「どういたしまして、お姫様。……で、もうちょっとだけ、ここにいてもいい?」
「……うん」
頷くと、ジョージはまた、そっと隣に腰を下ろしてくれた。
廊下の片隅に並んで座るその時間は、静かで、あたたかくて、ほんの少しだけ、救われるようだった。
その姿を目で追いながら、私は無意識に走り出していた。
「……ドラコ!」
声を張った瞬間、彼はぴたりと足を止めた。そして、ゆっくりと振り返る。
──あの薄青の瞳と、視線が交わった。
けれど、そこにあったのは、私が知っている“ドラコ・マルフォイ”の表情ではなかった。
「……なんだ、君か」
吐き捨てるようなその声に、私は思わず足を止めた。
「ちょっと、話したいことが──昨日のこと、私──」
「聞く気はないよ。君と話すことなんて、もうない」
「……っ!」
その言葉は、まるで刃物だった。
私に笑いかけてくれていたあの笑顔も、言葉の端に滲んでいた柔らかさも、何もかも幻だったみたいに。
思わず、目に熱いものが込み上げた。
「……なんで、そんなこと言うの……?」
声が震えていた。必死に堪えていた涙が、頬を伝った。ドラコの前で泣くなんて、絶対に嫌だったのに。
「……っ」
ドラコの表情にどこか戸惑いが混じって見えた。
ドラコの手が少し伸びたのが、視界の端で見えた。けれど、それが触れる前に──私は踵を返し、駆け出した。
もう、これ以上いたくなかった。
視界が歪む。胸が苦しい。どこに向かっているかも分からないまま、ただ走った。そして、次の瞬間。
「うわっとと!」
ドン、と何かにぶつかって、私はよろけた。
顔を上げると、見慣れた双子の一人──ジョージ・ウィーズリーが、目を丸くして私を見ていた。
「え、ちょっ、どうした!?泣いてるじゃないか」
「……っ、う、うう……」
ぷつりと、糸が切れたみたいに。ジョージの前でしゃがみ込んで、私は泣いた。止めようとしても止まらなかった。
震える肩を、ジョージは驚いたように見つめていたけれど、次の瞬間、真剣な顔になった。
「誰に、泣かされた?」
声のトーンが低くなっていた。
その問いには答えられなかった。ただ震えていた私の隣に、ジョージは静かに腰を下ろす。
「ごめん、言わなくていい。落ち着くまで、ここにいるから」
ぽそっと呟いたその声が、妙に優しくて、また胸がいっぱいになった。
ジョージの腕がそっと私の肩を抱いた。あたたかくて、ほっとして、それが余計に涙を止められなくさせた。
私はジョージの制服の袖を握りしめながら、静かに涙を流した。
────
しばらくして、ようやく涙が落ち着いた。呼吸を少しずつ整って、私はそっと顔を上げる。
「……ごめんね、ジョージ。こんな……」
しゃがみこんだままの姿勢で、袖口で目元をぬぐいながら言うと、ジョージはにやっと笑った。
「なんだよ、謝ることないだろ。泣き顔、けっこう可愛かったし?」
「……え?」
ぽかんと見上げる私に、ジョージはあえて真顔で続けた。
「ていうかさ、まさか僕に会いたすぎて泣いてたなんて……光栄すぎて困っちゃうなあ」
「ち、違うよ……!」
「えっ、違ったの!? なんてこった……僕の勘違いだったか……ちょっと傷つくなあ」
両手で胸を押さえて、大げさにため息をつくジョージ。その姿に思わず笑いが込み上げる。
「……もう、ジョージってば……」
「おっ、笑った。よし、合格。これで僕も“落ち込んだ友達を笑わせる選手権”ホグワーツ代表狙えるな」
どこか誇らしげにウインクしてくるジョージに、また笑ってしまう。
さっきまであんなに苦しかったのに、今はほんの少しだけ、心が軽くなった気がした。
「……ありがとう、ジョージ」
素直にそう言うと、ジョージは少し驚いたように目を丸くして、すぐに照れ隠しのように笑った。
「どういたしまして、お姫様。……で、もうちょっとだけ、ここにいてもいい?」
「……うん」
頷くと、ジョージはまた、そっと隣に腰を下ろしてくれた。
廊下の片隅に並んで座るその時間は、静かで、あたたかくて、ほんの少しだけ、救われるようだった。