セドリックと幼なじみ
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馬車が止まり、扉が開くと同時に、夜の冷たい風がふわりと吹き込んできた。
なまえが隣で小さく息を吸う音が聞こえて、僕はその表情をちらりと覗き見る。
少しだけ緊張しているような、それでいて名残惜しさを抱えているような、そんな横顔だった。
「……着いたね」
「うん、じゃあ降りようか」
そう言って、僕たちは並んで馬車を降りた。その瞬間──
「よお、セドリック!会いたかったぞ〜!」
「久しぶりね、セドリック!この2ヶ月でまた背が伸びたんじゃない?」
ハッフルパフの友人たちが僕を見つけて駆け寄り、あっという間に声の渦に巻き込まれた。
「ちょ、ちょっと待って……」
なまえにせめて、別れの言葉をかけたかったのに、言葉を紡ぐ暇もなく、肩を叩かれ、腕を引かれて、ぐいぐいと前へ押し出されていく。
気づけば、もう彼女から何歩も離れてしまっていた。
振り返ると、なまえが少し戸惑ったように、けれど優しく笑って僕を見ていた。
その笑顔が、妙に胸に引っかかる。手を伸ばしたい衝動を、ぐっと堪える。
小さく口を動かして、「またあとで」とだけ伝えた。なまえは小さく頷いて、そっと手を振り返してくれた。
その一瞬のやりとりが、なぜかとても愛おしく感じて、僕は歩きながらも何度か振り返らずにはいられなかった。
もう彼女の姿が見えなくなる手前、なまえのもとに、あの赤毛の──フレッド達の兄、パーシー・ウィーズリーが近づいていくのを見たとき、ふと足が止まりそうになる。
話しかけられているなまえの横顔は穏やかで、僕の知らない一面を誰かに見せているようで──
胸の奥に、わずかなざらついた感情が浮かび上がった。
(……マルフォイの事といい、僕って全然余裕ないのかも)
────
セドリックが見えなくなると、なまえは小さく息を吐き出す。さっきまで隣にいた温もりが、夢だったかのように遠くなる。
「やれやれ……あれだけ囲まれていたら、逃げ場もないな、彼は」
突然かけられた声になまえが振り向くと、そこにはパーシー・ウィーズリーの姿があった。
少し離れた場所から静かにこちらを見ていて、彼の赤毛と監督生のバッジが月明かりにきらりと光っている。
「パーシーさん」
なまえがそう呼ぶと、パーシーは穏やかな笑みを浮かべた。
「“さん”は要らないよ。パーシーでいい」
「え、でも……」
「君と僕はもう顔見知りだろう?変に他人行儀にされると、なんだか兄弟たちに笑われそうでね」
その言葉になまえは思わず微笑んだ。
「……じゃあ、パーシー」
「うん。良い響きだ」
満足げに頷いたパーシーは、眼鏡を押し上げながら続けた。
「ホグワーツまでの旅はどうだった?」
「順調だったよ。あっという間だった気もするけど」
なまえの返答に、彼は柔らかく頷く。
「それなら良かった。……双子が、君にまた余計なことをしていなければいいけれど」
「ううん、ちょっと騒がしいだけ。むしろ楽しいくらい」
なまえが笑ってそう言うと、パーシーはしばらくその表情を静かに見つめた。ふと、口元に優しい笑みを浮かべて、低く語りかける。
「そうか。……でも、もし本当に困ったことがあったら、遠慮せずに言ってほしい」
パーシーはそう言って、ふと視線を外す。
「君が困ってると、あいつら双子のことまで叱らなきゃいけなくなるからね」
冗談めかした口調だったけれど、どこかそれだけじゃないような、静かな気遣いが滲んでいる。なまえは少しだけ微笑んだ。
「ありがとう、パーシー」
「うん。……それじゃ、また寮で」
そう言って歩きかけたパーシーは、一度だけ振り返り、なまえをちらりと見る。けれど何も言わず、再び視線を前に戻すと、そのまま夜の校庭へと歩き去っていった。
なまえはその背中を見送りながら、少し冷たくなった風に肩をすくめる。
──どうしてか、振り返った一瞬の視線が、胸の奥に、ほんの少し残った。
なまえが隣で小さく息を吸う音が聞こえて、僕はその表情をちらりと覗き見る。
少しだけ緊張しているような、それでいて名残惜しさを抱えているような、そんな横顔だった。
「……着いたね」
「うん、じゃあ降りようか」
そう言って、僕たちは並んで馬車を降りた。その瞬間──
「よお、セドリック!会いたかったぞ〜!」
「久しぶりね、セドリック!この2ヶ月でまた背が伸びたんじゃない?」
ハッフルパフの友人たちが僕を見つけて駆け寄り、あっという間に声の渦に巻き込まれた。
「ちょ、ちょっと待って……」
なまえにせめて、別れの言葉をかけたかったのに、言葉を紡ぐ暇もなく、肩を叩かれ、腕を引かれて、ぐいぐいと前へ押し出されていく。
気づけば、もう彼女から何歩も離れてしまっていた。
振り返ると、なまえが少し戸惑ったように、けれど優しく笑って僕を見ていた。
その笑顔が、妙に胸に引っかかる。手を伸ばしたい衝動を、ぐっと堪える。
小さく口を動かして、「またあとで」とだけ伝えた。なまえは小さく頷いて、そっと手を振り返してくれた。
その一瞬のやりとりが、なぜかとても愛おしく感じて、僕は歩きながらも何度か振り返らずにはいられなかった。
もう彼女の姿が見えなくなる手前、なまえのもとに、あの赤毛の──フレッド達の兄、パーシー・ウィーズリーが近づいていくのを見たとき、ふと足が止まりそうになる。
話しかけられているなまえの横顔は穏やかで、僕の知らない一面を誰かに見せているようで──
胸の奥に、わずかなざらついた感情が浮かび上がった。
(……マルフォイの事といい、僕って全然余裕ないのかも)
────
セドリックが見えなくなると、なまえは小さく息を吐き出す。さっきまで隣にいた温もりが、夢だったかのように遠くなる。
「やれやれ……あれだけ囲まれていたら、逃げ場もないな、彼は」
突然かけられた声になまえが振り向くと、そこにはパーシー・ウィーズリーの姿があった。
少し離れた場所から静かにこちらを見ていて、彼の赤毛と監督生のバッジが月明かりにきらりと光っている。
「パーシーさん」
なまえがそう呼ぶと、パーシーは穏やかな笑みを浮かべた。
「“さん”は要らないよ。パーシーでいい」
「え、でも……」
「君と僕はもう顔見知りだろう?変に他人行儀にされると、なんだか兄弟たちに笑われそうでね」
その言葉になまえは思わず微笑んだ。
「……じゃあ、パーシー」
「うん。良い響きだ」
満足げに頷いたパーシーは、眼鏡を押し上げながら続けた。
「ホグワーツまでの旅はどうだった?」
「順調だったよ。あっという間だった気もするけど」
なまえの返答に、彼は柔らかく頷く。
「それなら良かった。……双子が、君にまた余計なことをしていなければいいけれど」
「ううん、ちょっと騒がしいだけ。むしろ楽しいくらい」
なまえが笑ってそう言うと、パーシーはしばらくその表情を静かに見つめた。ふと、口元に優しい笑みを浮かべて、低く語りかける。
「そうか。……でも、もし本当に困ったことがあったら、遠慮せずに言ってほしい」
パーシーはそう言って、ふと視線を外す。
「君が困ってると、あいつら双子のことまで叱らなきゃいけなくなるからね」
冗談めかした口調だったけれど、どこかそれだけじゃないような、静かな気遣いが滲んでいる。なまえは少しだけ微笑んだ。
「ありがとう、パーシー」
「うん。……それじゃ、また寮で」
そう言って歩きかけたパーシーは、一度だけ振り返り、なまえをちらりと見る。けれど何も言わず、再び視線を前に戻すと、そのまま夜の校庭へと歩き去っていった。
なまえはその背中を見送りながら、少し冷たくなった風に肩をすくめる。
──どうしてか、振り返った一瞬の視線が、胸の奥に、ほんの少し残った。