薄青の瞳に溺れて
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「……いた。」
ドラコは図書館の前にいた。
壁にもたれ、腕を組んで、どこか考え込むように目を伏せている。
でも、それは考えているフリだ。ドラコはいつも余裕があるように見せかけるのが上手い。
心の内を読まれるのを何よりも嫌うから。
——だけど、私はもう知っている。
彼がこうして、一人でいるときほど、本当は不安なんだってこと。
「……君、何してる?」
私が声をかけるより先に、ドラコが気づいた。
「探してたの。」
「僕を?」
「うん。」
一瞬、ドラコの表情が揺れる。けれどすぐに、鼻を鳴らし、いつものように皮肉げに口元を歪めた。
「ふん、大層なことだね。ディゴリーじゃなくて?」
「……セドリックじゃなくて、ドラコに言いたいの。」
はっきりと言うと、ドラコはふっと視線を逸らした。
「……そう。」
「ねえ、ドラコ。」
私はもう、逃げないって決めたんだ。
「私は、ドラコが好き。」
ドラコの瞳が、かすかに揺れる。けれど、すぐにドラコはふっと笑った。
「……そう。」
「……それだけ?」
「何を期待してる?」
「……。」
期待——してた。
本当は、ドラコが少しでも喜んでくれたらって。でも、ドラコは相変わらず気取った態度を崩さない。
「君、こういうことを言うときは、もう少し雰囲気を考えた方がいい。」
「……は?」
「告白するなら、もうちょっと可愛げがある方がいいんじゃないか? 例えば、頬を赤くして、恥ずかしそうに目を伏せながら——」
「……!」
「それとも、そういうのはディゴリー相手に練習してきたのかい?」
「……やめてよ。」
思わずドラコの胸を拳で叩く。
「どうして、そんなこと言うの? ……私、勇気出したのに……っ」
「……。」
ドラコの指が、私の拳にそっと触れる。
「……君が、そんな顔をするから、僕は……意地悪になるんだよ。」
「え……?」
「好きだなんて、簡単に言うな。」
低く、静かな声だった。
「僕がどれだけ我慢してきたと思う?」
「我慢……?」
「僕なんかが君を好きになっていいはずがないって……何度も言い聞かせてた。」
「そんなの——」
「でも、違うんだね」
苦笑しながら、ドラコは私の髪を指で梳く。
「君は簡単に言うんだな」
「……簡単なんかじゃないよ。」
涙が零れそうになるのを、必死に堪えた。
「ずっと怖かった。ドラコが私をなんとも思ってなかったらって……でも、言わなきゃ、このままずっとすれ違ったままだったから……っ」
「……。」
「だから、好きって言ったのに……」
「……っ。」
ドラコが、ぎゅっと拳を握るのが見えた。
「君が、そんな風に震えた声を出すから……僕は……」
静かに、ドラコの腕が伸びてくる。
「……泣かせるつもりはなかったんだ」
「……え?」
「こんなに泣くくらいなら、最初から僕に甘えていればいいのに。」
「……っ、意地悪……。」
「うん、僕は意地悪だよ。」
ドラコは、ふっと笑った。
「だから、もう泣かないでくれ。僕を好きなら……僕に泣かされてどうするんだ?」
そっと、ドラコの手が私の頬を撫でる。
温かくて、優しくて——ずるい。
「……もう、泣かない。」
「それなら、よし。」
そして——
「…どこにも行くなよ。僕のそばにいてくれ」
かすれた声で囁かれたその言葉に、胸がぎゅっと締めつけられた。
「……うん。」
彼の腕の中は、思っていたよりずっと暖かかった。——今度こそ、すれ違わないように。強く、彼の背中に腕を回した。