序章
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――――――
自室に一人取り残された土方は、未だ混乱状態のまま呆然としていた。
(誰でもいいから、今俺に何が起こったのか教えてくれ! )
思いはするが、当然答えてくれる者など居やしない。
あれだろ、これは夢だろ。相当飲んだから夢の中でさらに夢見てるだけだ、そうだそうに決まってる! 頼むから誰かそうだって言ってくれ!!
「おいおい、シャレんなんねーぞ・・・・・・」
夢の中で昔の女を抱いたつもりが、現実で生身の女を抱いてたなんて不祥事極まりねえじゃねーか・・・・・・。
両手で髪を掻き乱し、低く唸りながらどてっと布団に倒れ込む。
乾いた敷布に頬を擦り付けながら、虚ろな瞳で天井を見つめゆっくりと息を吐き出す。
微かに聴こえる虫の音に、少しだけ鼓動が落ち着き始めた。
土方は静かに吐息すると、障子戸から漏れてくる月明かりにかざす様に、武骨な右手を宙に掲げた。
ほんの少しだけ、五本の指を軽く曲げてはまた伸ばす。
手の平に残る感触――それはこの世に存在する者に触れた確かな証だ。
紗己って言ったな・・・・・・。ほとんど喋った事ねえが、なかなか気のいい娘だって隊士共が噂してたか。
「あ゛ー・・・」
常より掠れた声が、静まり返った部屋に響く。
『お前・・・確か・・・』
『はじめてなのか・・・・・・?』
『嘘だろ・・・』
彼女に掛けた言葉の全てを思い出し、改めて罪悪感が込み上げてきた。
最低だな、俺は。自分のやらかした事にいっぱいいっぱいで、ろくに言葉も掛けてやってなかった。まだまだ子供だろうに、あんな目に遭っときながら俺を気遣って、気丈なフリしてたんじゃねェのか?
それなのに俺ときたら・・・強姦まがいに処女奪っちまって、最低もいいところだろ・・・・・・。
「謝って許されるもんでもないだろうが・・・・・・」
自分を慰めるように、ぽつり呟く。
その言い訳めいた言葉にようやく冷静さを取り戻すと、土方は文机の上に置いてあった煙草に手を伸ばした。
軽く箱を振り、取り出し口から僅かに顔を出した一本を直接咥えて抜き取る。
そのまま火を点けると、体内成分がニコチンのみになるんじゃないかと思うくらいに、深く深く煙を吸った。
痛みは大丈夫だろうか。明日は休みにしてやった方がいいか。
ぼんやりと考えていると、再び眠気が舞い戻ってきた。
あくびを噛み、指に挟んでいた煙草を灰皿に押し付ける。
ジュッと火種が消える音を確認すると、土方は大きな身体を布団の上に横たわらせた。
眉間に皺を寄せたまま、切れ長の双眸をきつく閉じる。
(余計な夢を見ませんように――)
柄にもなく祈ってみた。
自室に一人取り残された土方は、未だ混乱状態のまま呆然としていた。
(誰でもいいから、今俺に何が起こったのか教えてくれ! )
思いはするが、当然答えてくれる者など居やしない。
あれだろ、これは夢だろ。相当飲んだから夢の中でさらに夢見てるだけだ、そうだそうに決まってる! 頼むから誰かそうだって言ってくれ!!
「おいおい、シャレんなんねーぞ・・・・・・」
夢の中で昔の女を抱いたつもりが、現実で生身の女を抱いてたなんて不祥事極まりねえじゃねーか・・・・・・。
両手で髪を掻き乱し、低く唸りながらどてっと布団に倒れ込む。
乾いた敷布に頬を擦り付けながら、虚ろな瞳で天井を見つめゆっくりと息を吐き出す。
微かに聴こえる虫の音に、少しだけ鼓動が落ち着き始めた。
土方は静かに吐息すると、障子戸から漏れてくる月明かりにかざす様に、武骨な右手を宙に掲げた。
ほんの少しだけ、五本の指を軽く曲げてはまた伸ばす。
手の平に残る感触――それはこの世に存在する者に触れた確かな証だ。
紗己って言ったな・・・・・・。ほとんど喋った事ねえが、なかなか気のいい娘だって隊士共が噂してたか。
「あ゛ー・・・」
常より掠れた声が、静まり返った部屋に響く。
『お前・・・確か・・・』
『はじめてなのか・・・・・・?』
『嘘だろ・・・』
彼女に掛けた言葉の全てを思い出し、改めて罪悪感が込み上げてきた。
最低だな、俺は。自分のやらかした事にいっぱいいっぱいで、ろくに言葉も掛けてやってなかった。まだまだ子供だろうに、あんな目に遭っときながら俺を気遣って、気丈なフリしてたんじゃねェのか?
それなのに俺ときたら・・・強姦まがいに処女奪っちまって、最低もいいところだろ・・・・・・。
「謝って許されるもんでもないだろうが・・・・・・」
自分を慰めるように、ぽつり呟く。
その言い訳めいた言葉にようやく冷静さを取り戻すと、土方は文机の上に置いてあった煙草に手を伸ばした。
軽く箱を振り、取り出し口から僅かに顔を出した一本を直接咥えて抜き取る。
そのまま火を点けると、体内成分がニコチンのみになるんじゃないかと思うくらいに、深く深く煙を吸った。
痛みは大丈夫だろうか。明日は休みにしてやった方がいいか。
ぼんやりと考えていると、再び眠気が舞い戻ってきた。
あくびを噛み、指に挟んでいた煙草を灰皿に押し付ける。
ジュッと火種が消える音を確認すると、土方は大きな身体を布団の上に横たわらせた。
眉間に皺を寄せたまま、切れ長の双眸をきつく閉じる。
(余計な夢を見ませんように――)
柄にもなく祈ってみた。