第十一章
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「あー、やっぱり食後は甘いモンに限るな」
満足気にそう言って、食後のデザートにと用意されたプリンを食べ進める銀時。
その姿に目を細めている紗己の向かい側から、新八が苦笑いを浮かべて口を開いた。
「ほんと甘い物には目がないんだから、銀さんは。あ、紗己さん。今日は時間が無くてこれだけですけど、明日は日中に買い出し行ってくるんで、欲しいデザートあれば言ってくださいね」
「いえそんな、お構いなく」
穏やかな表情でそう言った紗己に、新八は手にしていたスプーンを一旦テーブルに置いて言葉を返す。
「紗己さんは何の遠慮もしないでいいんですよ! その分のお金は、土方さんからちゃんといただいてるんですから」
「ありがとうございます」
特に希望を口にするでもなく、柔らかな笑みを浮かべて礼を言った紗己を一瞥した新八は、ハアっと溜息を落としてから銀時を見やった。
「銀さん、やっぱりモノを言うのは見た目と金ですね・・・・・・」
「ああ? 何言ってんだ突然」
銀時は怪訝な面持ちで、項垂れている新八に言葉を投げる。
すると新八は、両手を勢いよくテーブルに付いて顔を上げ、心情を吐露し始めた。
「紗己さん、こんなにもお淑やかで優しくて料理上手で・・・・・・。なのに! 土方さんはあんなに美味しい紗己さんの料理に、マヨネーズぶっ掛けるなんて暴挙に出てるんですよ!」
眼鏡を光らせながら、強い語調で話を続ける。
「そんな暴挙に出ても許されるのは、あの見た目と安定の収入だからですよ! やっぱり見た目と金に勝るモノは無いんですよね・・・・・・」
言い終えると、またがっくりと肩を落とした。
新八の熱弁を受けて銀時は、手にしたままだったスプーンを最後にひと舐めしてから、それを空の器に入れた。
いつも通りの気怠げな表情で、頬杖を付き吐息する。
「いやまあ、言いたいことは分かったけど。でもなんで、お前がそこまでムキになってんの」
「いや、なんか不条理だなぁって思っちゃったんですよね。僕らは美味しい料理を台無しにしたりしないのに、二枚目で金がある人には絶対勝てないんですよ」
「そんなの不条理でもなんでもないネ」
肩を落とす新八を尻目に、プリンを食べ終わった神楽があっさりとした口調で言った。
「紗己にとっては、あのマヨラーが特別なんだヨ。仮にお前や銀ちゃんの見た目が良くて金持ってても、料理にマヨネーズぶっ掛けるアイツの方をきっと紗己は選ぶアル。ね、紗己」
隣に座る紗己に問い掛けると、彼女はふふっと笑ってから、控え目に「そうね」と答えた。
「新八ィ、男の価値は見た目や金じゃねーぞ。それに好みは人それぞれなんだから、いつかお前みたいな地味なメガネでも救われる日は来るよ」
「なんですか、それ。全然慰めになってねーんだけど。ハァ・・・それでも見た目とお金があるに越したことはないですよ。ねえ紗己さん、紗己さんだって土方さんの見た目が良くなくて真選組でも無かったら嫌でしょう?」
銀時の雑な慰めに愚痴をこぼす新八だが、土方を羨む気持ちを抑えることが出来ず、無茶な例えを紗己にぶつける。
だが紗己は、一瞬眉を寄せて何やら考えている様子を見せたが、すぐにいつもの穏やかな笑顔で問いに答える。
「見た目も違って、真選組でもない土方さん・・・・・・。なかなか想像出来ないけど、でも、中身は今の土方さんのままでいてほしいですね」
はにかんでそう言った紗己に、銀時がやる気の無い双眸を向けて言葉を放つ。
「アイツの中身なんて、ただのニコチン中毒のマヨネーズ馬鹿だろ」
「えっ、紗己さんは土方さんの中身が好きなんですか!?」
「え、私何か変なこと言いましたか?」
夫への銀時の軽口は、まあいつものことなので特に何も思わないが、夫の中身が好きなのかと新八に驚かれたことに、紗己は驚きの顔を見せる。
紗己にしてみれば、土方は尊敬する優しい夫なので、何故驚かれるのかが全く理解出来ないのだ。
「ああその、変ってわけじゃないんですけど・・・・・・。ちょっと僕らには、土方さんの性格にそういう要素を見つけられなくて」
あまりはっきり言うとただの悪口になってしまうので、少し焦りながら新八は言葉を濁す。
すると紗己は、食べかけのプリンの器にそっとスプーンを置いて、新八を見つめにっこりと微笑んだ。
「私ね、確かに土方さんの見た目も素敵だと思ってるし、真選組の、侍としてのあの人が好きですよ。でもそれ以上に、土方さんの優しいところが大好きなんです」
両手を太腿の上できれいに揃え、彼女らしい穏やかな笑みを湛えて、はっきりとそう告げた。
だがそれを聞いた新八は、驚きの感情を隠すことが出来なかった。
「えっ、え、ちょ・・・ちょっと待ってください! 優しいってあの土方さんが!?」
言葉に詰まる程の驚きように、銀時が呆れたような表情を浮かべつつ新八を見やる。
「案外そんなモンじゃねえ? ああいうヤツほど、惚れた女にはとことん甘かったりすんだよ」
「そ、そうなんですか? あの土方さんが甘いとか、ちょっと想像出来ないよ・・・・・・」
「まあ、甘いっていうよりは酸っぱいって感じアルな」
「神楽ちゃん、それじゃただの連想ゲームだから」
普段通りの突っ込みを入れたところで、新八はにこやかな表情を崩さない紗己に疑問をぶつける。
「ねえ紗己さん、僕ら優しい土方さんがどうしても想像出来ないんですけど、例えばどういうところが優しいんですか?」
「え、どういうところ・・・・・・? うーん、色々ありますけど・・・そうですね、私のことをいつも気遣ってくれたりしますよ」
「気遣う・・・って、例えばどんな?」
いまいちピンとこなかった新八が、気遣いの内容を知ろうと問い掛ける。
「そうですね、私先月まではつわりと貧血で、結構寝込んだり倒れたりしてたんですけど・・・・・・」
記憶を辿るように視線を上に向けて、ゆっくりと話し出す。
その内容に、新八が心配そうな表情を見せた。
「そうなんですか? え、もう体調は大丈夫なんですか?」
「ええ。今月に入ってからは、もう安定期だしつわりも落ち着いてて、元気ですよ」
そう言って自身の腹をそっと右手で撫で、話を続ける。
「でも、先月までの具合が悪くて寝込んでた時とかは、土方さんが看病してくれてたんです」
「看病・・・ってあの土方さんが!?」
「ええ。部屋まで食事を運んでくれたり、寝るまで側に居てくれたりして」
「マジでか! あのマヨラー、意外にマメな男アルな」
「ププッ・・・てか何、アイツお前が寝るまで側に居てくれんの? なになに、手とか握ってくれたりすんの?」
紗己が明かした、土方の妻への優しい態度に、どうにも我慢が出来ずに吹き出してしまった銀時は、ニヤニヤとした笑いを浮かべてからかうように紗己を見やった。
だが紗己には、銀時のからかいの意味がいまいち通じていないらしい。
「すごい銀さん! 当たりです。銀さんも誰かを看病する時は、同じことするんですか?」
「えっ! そ、それは相手が誰かとか時と場合によるけども・・・」
これには銀時もつい口籠ってしまった。まさかこんな返り討ちに遭うとは。
少し気まずそうに新八と神楽に視線をやってから、銀時はわざとらしく咳払いをして口を開く。
「ンンッ、お、俺のことはいいんだよ。で、アイツ他にはどんな看病してくれたんだよ」
「他に、ですか? そうですね、あ・・・結婚前で部屋が別々だった頃、私寝込んじゃったことがあったんですけど。その時は、ご自身の部屋から文机を持ち込んで、私の部屋でずっと書類仕事されてました」
紗己がにこやかに言い終えた次の瞬間。
彼女の話を聞いていた万事屋三人が、とうとう堪えきれずに腹を抱えて笑い出した。
「あー、やっぱり食後は甘いモンに限るな」
満足気にそう言って、食後のデザートにと用意されたプリンを食べ進める銀時。
その姿に目を細めている紗己の向かい側から、新八が苦笑いを浮かべて口を開いた。
「ほんと甘い物には目がないんだから、銀さんは。あ、紗己さん。今日は時間が無くてこれだけですけど、明日は日中に買い出し行ってくるんで、欲しいデザートあれば言ってくださいね」
「いえそんな、お構いなく」
穏やかな表情でそう言った紗己に、新八は手にしていたスプーンを一旦テーブルに置いて言葉を返す。
「紗己さんは何の遠慮もしないでいいんですよ! その分のお金は、土方さんからちゃんといただいてるんですから」
「ありがとうございます」
特に希望を口にするでもなく、柔らかな笑みを浮かべて礼を言った紗己を一瞥した新八は、ハアっと溜息を落としてから銀時を見やった。
「銀さん、やっぱりモノを言うのは見た目と金ですね・・・・・・」
「ああ? 何言ってんだ突然」
銀時は怪訝な面持ちで、項垂れている新八に言葉を投げる。
すると新八は、両手を勢いよくテーブルに付いて顔を上げ、心情を吐露し始めた。
「紗己さん、こんなにもお淑やかで優しくて料理上手で・・・・・・。なのに! 土方さんはあんなに美味しい紗己さんの料理に、マヨネーズぶっ掛けるなんて暴挙に出てるんですよ!」
眼鏡を光らせながら、強い語調で話を続ける。
「そんな暴挙に出ても許されるのは、あの見た目と安定の収入だからですよ! やっぱり見た目と金に勝るモノは無いんですよね・・・・・・」
言い終えると、またがっくりと肩を落とした。
新八の熱弁を受けて銀時は、手にしたままだったスプーンを最後にひと舐めしてから、それを空の器に入れた。
いつも通りの気怠げな表情で、頬杖を付き吐息する。
「いやまあ、言いたいことは分かったけど。でもなんで、お前がそこまでムキになってんの」
「いや、なんか不条理だなぁって思っちゃったんですよね。僕らは美味しい料理を台無しにしたりしないのに、二枚目で金がある人には絶対勝てないんですよ」
「そんなの不条理でもなんでもないネ」
肩を落とす新八を尻目に、プリンを食べ終わった神楽があっさりとした口調で言った。
「紗己にとっては、あのマヨラーが特別なんだヨ。仮にお前や銀ちゃんの見た目が良くて金持ってても、料理にマヨネーズぶっ掛けるアイツの方をきっと紗己は選ぶアル。ね、紗己」
隣に座る紗己に問い掛けると、彼女はふふっと笑ってから、控え目に「そうね」と答えた。
「新八ィ、男の価値は見た目や金じゃねーぞ。それに好みは人それぞれなんだから、いつかお前みたいな地味なメガネでも救われる日は来るよ」
「なんですか、それ。全然慰めになってねーんだけど。ハァ・・・それでも見た目とお金があるに越したことはないですよ。ねえ紗己さん、紗己さんだって土方さんの見た目が良くなくて真選組でも無かったら嫌でしょう?」
銀時の雑な慰めに愚痴をこぼす新八だが、土方を羨む気持ちを抑えることが出来ず、無茶な例えを紗己にぶつける。
だが紗己は、一瞬眉を寄せて何やら考えている様子を見せたが、すぐにいつもの穏やかな笑顔で問いに答える。
「見た目も違って、真選組でもない土方さん・・・・・・。なかなか想像出来ないけど、でも、中身は今の土方さんのままでいてほしいですね」
はにかんでそう言った紗己に、銀時がやる気の無い双眸を向けて言葉を放つ。
「アイツの中身なんて、ただのニコチン中毒のマヨネーズ馬鹿だろ」
「えっ、紗己さんは土方さんの中身が好きなんですか!?」
「え、私何か変なこと言いましたか?」
夫への銀時の軽口は、まあいつものことなので特に何も思わないが、夫の中身が好きなのかと新八に驚かれたことに、紗己は驚きの顔を見せる。
紗己にしてみれば、土方は尊敬する優しい夫なので、何故驚かれるのかが全く理解出来ないのだ。
「ああその、変ってわけじゃないんですけど・・・・・・。ちょっと僕らには、土方さんの性格にそういう要素を見つけられなくて」
あまりはっきり言うとただの悪口になってしまうので、少し焦りながら新八は言葉を濁す。
すると紗己は、食べかけのプリンの器にそっとスプーンを置いて、新八を見つめにっこりと微笑んだ。
「私ね、確かに土方さんの見た目も素敵だと思ってるし、真選組の、侍としてのあの人が好きですよ。でもそれ以上に、土方さんの優しいところが大好きなんです」
両手を太腿の上できれいに揃え、彼女らしい穏やかな笑みを湛えて、はっきりとそう告げた。
だがそれを聞いた新八は、驚きの感情を隠すことが出来なかった。
「えっ、え、ちょ・・・ちょっと待ってください! 優しいってあの土方さんが!?」
言葉に詰まる程の驚きように、銀時が呆れたような表情を浮かべつつ新八を見やる。
「案外そんなモンじゃねえ? ああいうヤツほど、惚れた女にはとことん甘かったりすんだよ」
「そ、そうなんですか? あの土方さんが甘いとか、ちょっと想像出来ないよ・・・・・・」
「まあ、甘いっていうよりは酸っぱいって感じアルな」
「神楽ちゃん、それじゃただの連想ゲームだから」
普段通りの突っ込みを入れたところで、新八はにこやかな表情を崩さない紗己に疑問をぶつける。
「ねえ紗己さん、僕ら優しい土方さんがどうしても想像出来ないんですけど、例えばどういうところが優しいんですか?」
「え、どういうところ・・・・・・? うーん、色々ありますけど・・・そうですね、私のことをいつも気遣ってくれたりしますよ」
「気遣う・・・って、例えばどんな?」
いまいちピンとこなかった新八が、気遣いの内容を知ろうと問い掛ける。
「そうですね、私先月まではつわりと貧血で、結構寝込んだり倒れたりしてたんですけど・・・・・・」
記憶を辿るように視線を上に向けて、ゆっくりと話し出す。
その内容に、新八が心配そうな表情を見せた。
「そうなんですか? え、もう体調は大丈夫なんですか?」
「ええ。今月に入ってからは、もう安定期だしつわりも落ち着いてて、元気ですよ」
そう言って自身の腹をそっと右手で撫で、話を続ける。
「でも、先月までの具合が悪くて寝込んでた時とかは、土方さんが看病してくれてたんです」
「看病・・・ってあの土方さんが!?」
「ええ。部屋まで食事を運んでくれたり、寝るまで側に居てくれたりして」
「マジでか! あのマヨラー、意外にマメな男アルな」
「ププッ・・・てか何、アイツお前が寝るまで側に居てくれんの? なになに、手とか握ってくれたりすんの?」
紗己が明かした、土方の妻への優しい態度に、どうにも我慢が出来ずに吹き出してしまった銀時は、ニヤニヤとした笑いを浮かべてからかうように紗己を見やった。
だが紗己には、銀時のからかいの意味がいまいち通じていないらしい。
「すごい銀さん! 当たりです。銀さんも誰かを看病する時は、同じことするんですか?」
「えっ! そ、それは相手が誰かとか時と場合によるけども・・・」
これには銀時もつい口籠ってしまった。まさかこんな返り討ちに遭うとは。
少し気まずそうに新八と神楽に視線をやってから、銀時はわざとらしく咳払いをして口を開く。
「ンンッ、お、俺のことはいいんだよ。で、アイツ他にはどんな看病してくれたんだよ」
「他に、ですか? そうですね、あ・・・結婚前で部屋が別々だった頃、私寝込んじゃったことがあったんですけど。その時は、ご自身の部屋から文机を持ち込んで、私の部屋でずっと書類仕事されてました」
紗己がにこやかに言い終えた次の瞬間。
彼女の話を聞いていた万事屋三人が、とうとう堪えきれずに腹を抱えて笑い出した。