序章②
名前変換はこちら
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
――――――
「どうしたの、やけにご機嫌じゃない」
「え、そう?」
町の甘味処で、紗己は友人と談笑していた。同じ田舎から出てきた同士、たまにこうして会えるのを、紗己はとても楽しみにしている。
「心配されたり、少しでも気に掛けてもらえるのって、嬉しいね」
出掛けに声を掛けてきた土方を思い出し、紗己は頬を緩める。
「なんか雰囲気変わったよね、紗己。好きな人でも出来た?」
「好きなって・・・うーんわかんない・・・・・・」
手元のあんみつをスプーンで混ぜながら、曖昧に答えた。
「わかんないって・・・そんな事も本当にわかんないの? まあ、そういうとこもアンタらしいっちゃらしいけどねー」
友人は呆れたように笑うと、戸惑いの表情を見せる紗己に質問を続ける。
――憧れの人とは、親しくなれた?
「・・・どうなんだろ、世間話程度は出来るようになったかな」
「ふーん、その人の事は好きじゃないの?」
友人の言葉に、紗己は頭を悩ませた。むしろその答えを彼女自身、知りたくて仕方ないと思っている。
「ねえ、好きってどんな感じ? どうしたら好きってわかるの?」
驚くほどに無邪気な質問に、友人は少し間を置いてからそれなりの言葉を並べた。
「好きってのは、相手のことを思ってドキドキしたり、気が付けばいつでもその人のことを思い出しちゃうとか、じゃない?」
それを聞いた紗己は、自分の現状に照らし合わせてみる。
ずっとドキドキしてるわけでもないし、いっつも思い出すってことはないかなぁ・・・・・・。
「じゃあ、好きと憧れってどう違うの?」
「また面倒なことを・・・・・・。好きは好きで、憧れは憧れでしょうよ。なんかいいなぁってくらいが憧れなんじゃないのー」
「ふーん、そっか・・・・・・」
素直に頷きながら下を向いた紗己の顔を覗き込むように、友人は話す。
「あーんた、また思い込もうとしたでしょ! いっつも、そう。悲しいことがあっても良い様に思い込んで、無意識に予防線張ってんの。長所とも短所ともいえるわよねー、ポジティブだとは思うけど」
「だって得意なんだもん、思い込むの。これって、駄目なのかな・・・・・・」
「駄目ってことはないけど、損しちゃうかも知れないよ?」
友人の言葉に、紗己は不思議そうに首を傾げる。すると友人は、まるで内緒話でもするように、声を潜めて笑って言った。
「恋を逃しちゃうかも」
――――――
「なにチラチラ余所見してんでさァ、土方さん」
「べ、別にしてねーよ余所見なんてっ」
沖田の鋭い言葉に、土方はわかりやすく慌てふためいた。本当は余所見をしていたのだ。
町を巡回中に、偶然紗己に会えたら、自分の知らない紗己をこっそり知ることができたら、と思っていたけれど、年甲斐も無く自分に素直じゃない男は、どうしてもそんな自分を認めたくないようだ。
「・・・面白くねえ・・・・・・」
「だから俺は別に・・・って、何だ総悟、何か言ったか?」
「別に何も言ってませんよ。ああそうだ、土方さんの面が間抜けだって言ったんでェ」
「んだとぉっ!?」
自分たちが騒いでいる通りの一本隣に、紗己が歩いていたのを土方は当然知らない。
「どうしたの、やけにご機嫌じゃない」
「え、そう?」
町の甘味処で、紗己は友人と談笑していた。同じ田舎から出てきた同士、たまにこうして会えるのを、紗己はとても楽しみにしている。
「心配されたり、少しでも気に掛けてもらえるのって、嬉しいね」
出掛けに声を掛けてきた土方を思い出し、紗己は頬を緩める。
「なんか雰囲気変わったよね、紗己。好きな人でも出来た?」
「好きなって・・・うーんわかんない・・・・・・」
手元のあんみつをスプーンで混ぜながら、曖昧に答えた。
「わかんないって・・・そんな事も本当にわかんないの? まあ、そういうとこもアンタらしいっちゃらしいけどねー」
友人は呆れたように笑うと、戸惑いの表情を見せる紗己に質問を続ける。
――憧れの人とは、親しくなれた?
「・・・どうなんだろ、世間話程度は出来るようになったかな」
「ふーん、その人の事は好きじゃないの?」
友人の言葉に、紗己は頭を悩ませた。むしろその答えを彼女自身、知りたくて仕方ないと思っている。
「ねえ、好きってどんな感じ? どうしたら好きってわかるの?」
驚くほどに無邪気な質問に、友人は少し間を置いてからそれなりの言葉を並べた。
「好きってのは、相手のことを思ってドキドキしたり、気が付けばいつでもその人のことを思い出しちゃうとか、じゃない?」
それを聞いた紗己は、自分の現状に照らし合わせてみる。
ずっとドキドキしてるわけでもないし、いっつも思い出すってことはないかなぁ・・・・・・。
「じゃあ、好きと憧れってどう違うの?」
「また面倒なことを・・・・・・。好きは好きで、憧れは憧れでしょうよ。なんかいいなぁってくらいが憧れなんじゃないのー」
「ふーん、そっか・・・・・・」
素直に頷きながら下を向いた紗己の顔を覗き込むように、友人は話す。
「あーんた、また思い込もうとしたでしょ! いっつも、そう。悲しいことがあっても良い様に思い込んで、無意識に予防線張ってんの。長所とも短所ともいえるわよねー、ポジティブだとは思うけど」
「だって得意なんだもん、思い込むの。これって、駄目なのかな・・・・・・」
「駄目ってことはないけど、損しちゃうかも知れないよ?」
友人の言葉に、紗己は不思議そうに首を傾げる。すると友人は、まるで内緒話でもするように、声を潜めて笑って言った。
「恋を逃しちゃうかも」
――――――
「なにチラチラ余所見してんでさァ、土方さん」
「べ、別にしてねーよ余所見なんてっ」
沖田の鋭い言葉に、土方はわかりやすく慌てふためいた。本当は余所見をしていたのだ。
町を巡回中に、偶然紗己に会えたら、自分の知らない紗己をこっそり知ることができたら、と思っていたけれど、年甲斐も無く自分に素直じゃない男は、どうしてもそんな自分を認めたくないようだ。
「・・・面白くねえ・・・・・・」
「だから俺は別に・・・って、何だ総悟、何か言ったか?」
「別に何も言ってませんよ。ああそうだ、土方さんの面が間抜けだって言ったんでェ」
「んだとぉっ!?」
自分たちが騒いでいる通りの一本隣に、紗己が歩いていたのを土方は当然知らない。