序章
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――――――
朝、か・・・・・・?
瞼の向こう側に控え目な光を感じる。だが外は静かで、隊士達が動き回っている気配もない。
まだ夜明け前なんだろう、そう思い目を開けるのを止め、軽く寝返りを打って再度眠りにつこうとした、その時――。
――シュッ・・・
衣擦れの音に土方は即座に反応した。勢いよく身体を起こし、すぐ近くに感じた何者かの体温に手を伸ばす。
「きゃ・・・っ」
(「きゃ・・・っ」・・・・・・?)
起き抜けではあるものの、そこに聴こえるはずのない高い声に違和感を覚える。
そして、自身の手の内にも違和感が。
掴んだのはどうやら手首だ。だがそれはとても華奢で、どう考えても男のモノではない。
(え・・・・・・?)
土方は何とかこの状況を把握せねばと、真っ白になりかけた頭を必死に回転させる。自身の手の内の、何者かの手首。そこから伝わるのは、柔らかな皮膚の感触と高い体温、そしてかなり早く脈打っているということだけだ。
(女・・・)
「・・・っ!?」
掴んでいた手を慌てて放した土方は、布団の上を無様に片膝立ちの姿勢のまま後退った。
な、なななんだ何だよどうなってんだ!? どうして俺の部屋の俺の布団の中に女がいるんだっ!!?
跳ねる鼓動を落ち着かせようと思うが、穏やかな呼吸さえままならない。
それでもとりあえずここに居る自分以外の人物の把握をしようと、土方は薄闇に目を凝らす。
段々と慣れてきたその目に映るのは、今しがた自分が寝ていた布団の上に横座りになっている、まだ年若い女の姿だ。
「お前・・・確か・・・・・・」
こいつはうちの女中の・・・なんて名前だった? 山崎の知り合いだとか何とか聞いた気がするが・・・・・・。
記憶を辿るように、目の前の人物を鋭い双眸がジッと見据える。すると彼女は、怯えたのか焦っているのか、声を震わせ頭を下げた。
「ああ、あのっ! 私ふた月前からここでお世話になってる、紗己と言います!!」
「あー・・・」
そういやそんな名前だったか。素性が明らかになり少し安心するが、いやいやそれどころではないとすぐに思い直す。
どうして俺の部屋にいる――?
眉を寄せて見つめてくる土方に、紗己はおずおずと口を開く。
「あっ・・・あの、副長さん部屋の前で寝てらして・・・・・・。私たまたま通りかかったんです、余計な事とは思ったけどもし風邪引いちゃったらいけないって・・・あの、こんな事に・・・」
朝、か・・・・・・?
瞼の向こう側に控え目な光を感じる。だが外は静かで、隊士達が動き回っている気配もない。
まだ夜明け前なんだろう、そう思い目を開けるのを止め、軽く寝返りを打って再度眠りにつこうとした、その時――。
――シュッ・・・
衣擦れの音に土方は即座に反応した。勢いよく身体を起こし、すぐ近くに感じた何者かの体温に手を伸ばす。
「きゃ・・・っ」
(「きゃ・・・っ」・・・・・・?)
起き抜けではあるものの、そこに聴こえるはずのない高い声に違和感を覚える。
そして、自身の手の内にも違和感が。
掴んだのはどうやら手首だ。だがそれはとても華奢で、どう考えても男のモノではない。
(え・・・・・・?)
土方は何とかこの状況を把握せねばと、真っ白になりかけた頭を必死に回転させる。自身の手の内の、何者かの手首。そこから伝わるのは、柔らかな皮膚の感触と高い体温、そしてかなり早く脈打っているということだけだ。
(女・・・)
「・・・っ!?」
掴んでいた手を慌てて放した土方は、布団の上を無様に片膝立ちの姿勢のまま後退った。
な、なななんだ何だよどうなってんだ!? どうして俺の部屋の俺の布団の中に女がいるんだっ!!?
跳ねる鼓動を落ち着かせようと思うが、穏やかな呼吸さえままならない。
それでもとりあえずここに居る自分以外の人物の把握をしようと、土方は薄闇に目を凝らす。
段々と慣れてきたその目に映るのは、今しがた自分が寝ていた布団の上に横座りになっている、まだ年若い女の姿だ。
「お前・・・確か・・・・・・」
こいつはうちの女中の・・・なんて名前だった? 山崎の知り合いだとか何とか聞いた気がするが・・・・・・。
記憶を辿るように、目の前の人物を鋭い双眸がジッと見据える。すると彼女は、怯えたのか焦っているのか、声を震わせ頭を下げた。
「ああ、あのっ! 私ふた月前からここでお世話になってる、紗己と言います!!」
「あー・・・」
そういやそんな名前だったか。素性が明らかになり少し安心するが、いやいやそれどころではないとすぐに思い直す。
どうして俺の部屋にいる――?
眉を寄せて見つめてくる土方に、紗己はおずおずと口を開く。
「あっ・・・あの、副長さん部屋の前で寝てらして・・・・・・。私たまたま通りかかったんです、余計な事とは思ったけどもし風邪引いちゃったらいけないって・・・あの、こんな事に・・・」