第七章
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「チッ・・・なんでそうしょっちゅう、偶然会ってんだよ・・・」
低く呟くその姿に大人の余裕など微塵も無く、自分に向けられたささやかな嫉妬にだんだんと銀時も笑いが込み上げてきた。
「なにつまんねー嫉妬してんの? 欲求不満じゃねえ? ちゃんと溜まってるモンすっきりさせてる?」
「うるせえ、ほっとけ。余計な世話だ」
苛立ちながら吐き捨てるように言う。だが銀時はお構い無しにニタニタといやらしい笑いを浮かべ、そしてまだからかい足りないとばかりに、顎を擦りながら土方を見やった。
「あーアレだよな、部屋には大抵紗己が居るんだろ。おまけにあんな大所帯じゃァ、一人で励める場所もねーよなァ」
「やかましいわっ! んなヤりたい盛りはとっくの昔に終えてんだよ!!」
「いやいや、お前今がまさにヤりたい盛りだろ。お、何なら週刊誌買うついでにそこのヤツも買っといたら?」
そう言って銀時が指差したのは、ラックの端に位置する男性誌のコーナー。それも、成人誌の一角だ。
まだしつこく週刊誌を買えとからかってくることに加えて、一人での処理の手助けを勧められるとは。こんな屈辱は耐えられないとばかりに、土方はラックを叩いて反論する。
「いらねーよっ! こんなモン使わなくても事足りてるわっ!!」
店内に響き渡る、恐らく今日一番の大声を出した。これにはさすがに銀時も、少々面食らったようで。まさか、こんな反論をされるとは思っていなかったようだ。
「・・・お前さァ、いくらなんでも恥ずかしすぎだから。そんなデカイ声で、何発表してんだよ」
「ああっ?」
「その言い方じゃァ、ヤりまくってるか妄想で一人楽しんでるかってふうにしか聞こえねェよ」
「っ!」
言われて初めて、自分がいかに恥ずかしい事を大々的に発表したのか気付く。やや表情を固めて店内を見渡せば、レジにいる若い女性店員が顔を赤らめてこちらを見ているではないか。
「お、お前が変なこと言ってくるからだろうが・・・っ!」
文句は言うものの、その声は格段にトーンダウンしている。
歩く身分証明のような隊服のおかげで、少なくとも自分がどこの誰かは知られてしまう。このコンビニが屯所から一番近い店舗でなくて本当に良かったと、土方は内心微妙ながらも吐息した。
どうせなら、一人妄想に耽って処理しているよりも、ヤりまくっているお盛んな男だと思われる方が幾らかマシなのだが。
どちらにしても居心地の悪い土方は、早々に店内脱出を図りたくて、ぎこちなく上着の襟元を正して軽く咳払いをしながら、再度店内を見渡した。そしてそんな自分をニヤニヤと笑って見てくる銀時に、苛立ち紛れに言葉を投げる。
「テメーのせいでとんだ恥かいたじゃねえかクソッ! もう行くからなっ」
「そっちが勝手に恥かいてんだろ」
せかせかと歩く土方の背後で、銀時は笑いを噛み殺しながら言葉を返した。
レジからの視線を振り切るように、土方は勢いよく自動ドアをすり抜ける。
――ガッ
「っ・・・!」
思わず顔をしかめた。気持ちが逸っていたせいで、開いている途中の扉に思い切り肩をぶつけたのだ。
だが土方はすぐに無表情を取り繕い、そんなこと気にもしていないと言うような顔をつくり店外へと出た。だが、それを一部始終見ていた銀時が背後で含み笑いをしていて、その態度に土方は怒り心頭といった様子だ。
「いつまでも笑ってんじゃねえ! つーかその笑い方腹立つから止めろっ」
どうせなら、腹を抱えて盛大に笑われる方がマシというものだ。
とにかく早く気持ちを落ち着かせたい。これ以上苛立ちが爆発してしまわぬよう、土方はポケットから煙草を取り出すとそれを素早く咥え火を点けた。
夜の風に煙を乗せる。少し気が和らいだことで、そもそも自分は何を知ろうとしていたのかを思い出した。
そうだ、話がずれちまったから忘れてたが、そもそもコイツが紗己から何か聞いてるのかを訊くつもりだったんだ。それをこの腐れ天パが余計なことベラベラ喋りやがるから・・・・・・!
思い出してはまた怒りが沸々と込み上げてきて、指に挟んでいた煙草を近くにあった灰皿に乱暴に押し付けた。瞬間、自動ドアが開き、明るいチャイムの音が景気良く響いた。灰皿が扉のすぐ側に設置されていたため、反応してしまったらしい。
再びコンビニの店員と目が合ってしまい、気まずそうに顔を逸らした土方は、手持ち無沙汰の手に新たな煙草を取り出すと、特に火を点けるわけでもなく指に摘んだ状態で銀時を一瞥した。
「おい。さっきの話の続きだが、お前今日紗己に会って何か・・・聞いたのか?」
「何かって、なに」
「だからその『何か』が分かってたらわざわざ訊かねーだろ・・・って、その切り返しされたらまたさっきと同じやり取りになるだろうが!」
わざとなのか、同じ言葉を繰り返す銀時についつい突っ込みを入れてしまう。
しかしここでこれ以上掘り下げたら、それこそまた話の方向がずれてしまうだろう。そう思った土方は、少し冷静に脳内軌道修正を図った。
「アイツ、お前に何か言ってなかったのか? 俺のこと・・・何かしら聞いたから、お前の態度も普段と違ってんじゃねェのか」
先程よりも具体性を帯びた内容。紗己と会っていたという事実に基づき、そこから考えられる可能性を彼なりに想定しての質問だ。
低く呟くその姿に大人の余裕など微塵も無く、自分に向けられたささやかな嫉妬にだんだんと銀時も笑いが込み上げてきた。
「なにつまんねー嫉妬してんの? 欲求不満じゃねえ? ちゃんと溜まってるモンすっきりさせてる?」
「うるせえ、ほっとけ。余計な世話だ」
苛立ちながら吐き捨てるように言う。だが銀時はお構い無しにニタニタといやらしい笑いを浮かべ、そしてまだからかい足りないとばかりに、顎を擦りながら土方を見やった。
「あーアレだよな、部屋には大抵紗己が居るんだろ。おまけにあんな大所帯じゃァ、一人で励める場所もねーよなァ」
「やかましいわっ! んなヤりたい盛りはとっくの昔に終えてんだよ!!」
「いやいや、お前今がまさにヤりたい盛りだろ。お、何なら週刊誌買うついでにそこのヤツも買っといたら?」
そう言って銀時が指差したのは、ラックの端に位置する男性誌のコーナー。それも、成人誌の一角だ。
まだしつこく週刊誌を買えとからかってくることに加えて、一人での処理の手助けを勧められるとは。こんな屈辱は耐えられないとばかりに、土方はラックを叩いて反論する。
「いらねーよっ! こんなモン使わなくても事足りてるわっ!!」
店内に響き渡る、恐らく今日一番の大声を出した。これにはさすがに銀時も、少々面食らったようで。まさか、こんな反論をされるとは思っていなかったようだ。
「・・・お前さァ、いくらなんでも恥ずかしすぎだから。そんなデカイ声で、何発表してんだよ」
「ああっ?」
「その言い方じゃァ、ヤりまくってるか妄想で一人楽しんでるかってふうにしか聞こえねェよ」
「っ!」
言われて初めて、自分がいかに恥ずかしい事を大々的に発表したのか気付く。やや表情を固めて店内を見渡せば、レジにいる若い女性店員が顔を赤らめてこちらを見ているではないか。
「お、お前が変なこと言ってくるからだろうが・・・っ!」
文句は言うものの、その声は格段にトーンダウンしている。
歩く身分証明のような隊服のおかげで、少なくとも自分がどこの誰かは知られてしまう。このコンビニが屯所から一番近い店舗でなくて本当に良かったと、土方は内心微妙ながらも吐息した。
どうせなら、一人妄想に耽って処理しているよりも、ヤりまくっているお盛んな男だと思われる方が幾らかマシなのだが。
どちらにしても居心地の悪い土方は、早々に店内脱出を図りたくて、ぎこちなく上着の襟元を正して軽く咳払いをしながら、再度店内を見渡した。そしてそんな自分をニヤニヤと笑って見てくる銀時に、苛立ち紛れに言葉を投げる。
「テメーのせいでとんだ恥かいたじゃねえかクソッ! もう行くからなっ」
「そっちが勝手に恥かいてんだろ」
せかせかと歩く土方の背後で、銀時は笑いを噛み殺しながら言葉を返した。
レジからの視線を振り切るように、土方は勢いよく自動ドアをすり抜ける。
――ガッ
「っ・・・!」
思わず顔をしかめた。気持ちが逸っていたせいで、開いている途中の扉に思い切り肩をぶつけたのだ。
だが土方はすぐに無表情を取り繕い、そんなこと気にもしていないと言うような顔をつくり店外へと出た。だが、それを一部始終見ていた銀時が背後で含み笑いをしていて、その態度に土方は怒り心頭といった様子だ。
「いつまでも笑ってんじゃねえ! つーかその笑い方腹立つから止めろっ」
どうせなら、腹を抱えて盛大に笑われる方がマシというものだ。
とにかく早く気持ちを落ち着かせたい。これ以上苛立ちが爆発してしまわぬよう、土方はポケットから煙草を取り出すとそれを素早く咥え火を点けた。
夜の風に煙を乗せる。少し気が和らいだことで、そもそも自分は何を知ろうとしていたのかを思い出した。
そうだ、話がずれちまったから忘れてたが、そもそもコイツが紗己から何か聞いてるのかを訊くつもりだったんだ。それをこの腐れ天パが余計なことベラベラ喋りやがるから・・・・・・!
思い出してはまた怒りが沸々と込み上げてきて、指に挟んでいた煙草を近くにあった灰皿に乱暴に押し付けた。瞬間、自動ドアが開き、明るいチャイムの音が景気良く響いた。灰皿が扉のすぐ側に設置されていたため、反応してしまったらしい。
再びコンビニの店員と目が合ってしまい、気まずそうに顔を逸らした土方は、手持ち無沙汰の手に新たな煙草を取り出すと、特に火を点けるわけでもなく指に摘んだ状態で銀時を一瞥した。
「おい。さっきの話の続きだが、お前今日紗己に会って何か・・・聞いたのか?」
「何かって、なに」
「だからその『何か』が分かってたらわざわざ訊かねーだろ・・・って、その切り返しされたらまたさっきと同じやり取りになるだろうが!」
わざとなのか、同じ言葉を繰り返す銀時についつい突っ込みを入れてしまう。
しかしここでこれ以上掘り下げたら、それこそまた話の方向がずれてしまうだろう。そう思った土方は、少し冷静に脳内軌道修正を図った。
「アイツ、お前に何か言ってなかったのか? 俺のこと・・・何かしら聞いたから、お前の態度も普段と違ってんじゃねェのか」
先程よりも具体性を帯びた内容。紗己と会っていたという事実に基づき、そこから考えられる可能性を彼なりに想定しての質問だ。