第七章
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――――――
間食を終えた二人は、途中紗己が自動販売機で購入してきたジュースを飲みながら談笑していた。
紗己とは祝言の前日に会って以来だったので、途中ハプニングはあったものの、無事に終わった式の話を聞いて、銀時は他人事ながら深く安堵した。
「そっかー、もう式から一週間経ったか。んで、新婚生活は順調か」
半分程飲み終えたジュースの缶を手の中で遊ばせながら、隣に座る紗己に話し掛ける。すると、彼女から思いもよらない答えが返ってきた。
「そうですね・・・あ、こないだ過労で倒れちゃいましたけど」
「はっ? 過労!?」
思わず驚きの声を上げてしまった。
それもそのはず、大して深い意味もなく、世間話として訊いただけなのだ。とはいえ、「これ、イヤらしく聞こえてないか」と思う気持ちが全くないわけではなかったが。
しかし、こんなにも鈍感な紗己がそこまで深読みするわけもないだろう。そう踏んでいたからこそ、彼女の口から出てきた発言に心底驚いたのだ。
え、ちょっと待ておいおい、新婚早々過労で倒れるって・・・どんなけ激しいんだよあのマヨネーズ野郎ォォッ!!!
脳内で一気に膨らんだ妄想につい興奮してしまった自分を落ち着かせようと、銀時は咳払いをしてから紗己を見やった。
「あの、紗己ちゃん? え、過労って・・・ナニ?」
「え? ああえっと、ちょっと寝不足がたたっちゃって」
「寝っ・・・そそそれはちょっとアレじゃねえ? いや、他人が口出しするのもどうかとは思うけど、お前妊婦なわけだしさー・・・」
最後の方、やや口ごもり気味になってしまった。
あまり首を突っ込まない方がいいとは思うのだが、もし紗己が辛いのであれば知らぬ顔をするのも気が引ける。困惑する銀時に対し紗己は、分かりやすくシュンとした表情を見せる。
「そう、ですよね・・・私が悪いんです・・・」
「いやいや、お前は悪くないからね? 悪いのは全部あの絶倫野郎だからね」
慰めるつもりなのか、それとも単なる土方批判なのか。しかし落ち込む紗己の耳に、隣の男の声は届いていなかったようだ。
「私が悪かったんです。土方さんにも、叱られちゃいました・・・・・・」
「あ? 叱られたって、え、なんで?」
「そこまで無理するなって・・・自分だけの身体じゃないんだからって。すごく心配掛けちゃったから、何だか申し訳なくって」
「え、あれ・・・え? 心配掛けたって、え? 何それ、お前がアイツに無理させられたんじゃねーの?」
紗己の口から語られるその内容に、銀時はまるで意味がわからないといった風に首を傾げる。そんな彼の問い掛けに、紗己もまた驚いたように首を振った。
「まさか! 無理させられるなんて、そんなこと全然ないです!!」
「え? それじゃあなんで倒れ・・・え? 寝不足と過労って、そういうんじゃねーの?」
どうにも繋がらない会話に、何か勘違いがあるのではと思い始めた銀時は、少し顎を引き気味に眉を寄せて紗己を一瞥した。
すると彼女は、銀時の発言を特に深読みすることもなく、あっさりと真相を語り出した。そもそも、話がずれている認識すら無かったのだ。
――――――
紗己から事の詳細を訊き出し、先程まで大いなる勘違いをしていたと気付いた銀時は、心持ちホッとしたような表情で紗己に笑ってみせた。
「そーゆーことだったか、なるほどねー。んで、身体はもう大丈夫なのか?」
「はい、もうすっかり。疲れが出ただけなんで、たっぷり寝たら、すぐに元気になりました」
缶ジュースを持っていない方の手で、軽くガッツポーズをつくって見せる。そんな彼女の笑顔に安心しつつ、銀時は組んだ足先を軽く揺すりながら話し出した。
「そっかそっか、そりゃァ良かったわ。でもまァあれだよ、もうそんな無茶すんなよ。俺だってアイツの立場だったら、そりゃ怒るって」
言葉ほどはそうきつい言い方でもないが、信頼している銀時にもやんわりと叱られ、紗己は落ち込むまではいかないものの少し顔を伏せた。
「はい・・・私が悪かったんです・・・・・・」
「いや別に、お前が悪いとかそういうことじゃなくてさあ。なんつーか、そこまで頑張らなくてもいいんだって。言ってる意味、分かるか?」
「・・・無理をするなってことですか?」
その答えに、銀時は軽く唸りながら首を鳴らすと、彼女に伝えたい言葉が見つかったのか、背もたれに預けていた背中を起こして紗己を見つめた。
「何でも一人で抱え込んで頑張らなくても、ちゃんと相談する相手がいるだろって話だよ。お前がアイツを思いやってるってのは分かるけど、その分アイツだってお前のこと同じように思ってんじゃねーのか」
「銀さん・・・」
「何にも知らねェままお前が倒れたりしたら、気付かなかった自分に対してすげェ惨めな気持ちになると思うけどな」
表情自体は比較的やる気が無さげなのだが、その声も言葉も真剣なものだ。土方の気持ちを代弁され、紗己は口元をキュッと引き締めると隣に座る銀時に顔を向けた。
間食を終えた二人は、途中紗己が自動販売機で購入してきたジュースを飲みながら談笑していた。
紗己とは祝言の前日に会って以来だったので、途中ハプニングはあったものの、無事に終わった式の話を聞いて、銀時は他人事ながら深く安堵した。
「そっかー、もう式から一週間経ったか。んで、新婚生活は順調か」
半分程飲み終えたジュースの缶を手の中で遊ばせながら、隣に座る紗己に話し掛ける。すると、彼女から思いもよらない答えが返ってきた。
「そうですね・・・あ、こないだ過労で倒れちゃいましたけど」
「はっ? 過労!?」
思わず驚きの声を上げてしまった。
それもそのはず、大して深い意味もなく、世間話として訊いただけなのだ。とはいえ、「これ、イヤらしく聞こえてないか」と思う気持ちが全くないわけではなかったが。
しかし、こんなにも鈍感な紗己がそこまで深読みするわけもないだろう。そう踏んでいたからこそ、彼女の口から出てきた発言に心底驚いたのだ。
え、ちょっと待ておいおい、新婚早々過労で倒れるって・・・どんなけ激しいんだよあのマヨネーズ野郎ォォッ!!!
脳内で一気に膨らんだ妄想につい興奮してしまった自分を落ち着かせようと、銀時は咳払いをしてから紗己を見やった。
「あの、紗己ちゃん? え、過労って・・・ナニ?」
「え? ああえっと、ちょっと寝不足がたたっちゃって」
「寝っ・・・そそそれはちょっとアレじゃねえ? いや、他人が口出しするのもどうかとは思うけど、お前妊婦なわけだしさー・・・」
最後の方、やや口ごもり気味になってしまった。
あまり首を突っ込まない方がいいとは思うのだが、もし紗己が辛いのであれば知らぬ顔をするのも気が引ける。困惑する銀時に対し紗己は、分かりやすくシュンとした表情を見せる。
「そう、ですよね・・・私が悪いんです・・・」
「いやいや、お前は悪くないからね? 悪いのは全部あの絶倫野郎だからね」
慰めるつもりなのか、それとも単なる土方批判なのか。しかし落ち込む紗己の耳に、隣の男の声は届いていなかったようだ。
「私が悪かったんです。土方さんにも、叱られちゃいました・・・・・・」
「あ? 叱られたって、え、なんで?」
「そこまで無理するなって・・・自分だけの身体じゃないんだからって。すごく心配掛けちゃったから、何だか申し訳なくって」
「え、あれ・・・え? 心配掛けたって、え? 何それ、お前がアイツに無理させられたんじゃねーの?」
紗己の口から語られるその内容に、銀時はまるで意味がわからないといった風に首を傾げる。そんな彼の問い掛けに、紗己もまた驚いたように首を振った。
「まさか! 無理させられるなんて、そんなこと全然ないです!!」
「え? それじゃあなんで倒れ・・・え? 寝不足と過労って、そういうんじゃねーの?」
どうにも繋がらない会話に、何か勘違いがあるのではと思い始めた銀時は、少し顎を引き気味に眉を寄せて紗己を一瞥した。
すると彼女は、銀時の発言を特に深読みすることもなく、あっさりと真相を語り出した。そもそも、話がずれている認識すら無かったのだ。
――――――
紗己から事の詳細を訊き出し、先程まで大いなる勘違いをしていたと気付いた銀時は、心持ちホッとしたような表情で紗己に笑ってみせた。
「そーゆーことだったか、なるほどねー。んで、身体はもう大丈夫なのか?」
「はい、もうすっかり。疲れが出ただけなんで、たっぷり寝たら、すぐに元気になりました」
缶ジュースを持っていない方の手で、軽くガッツポーズをつくって見せる。そんな彼女の笑顔に安心しつつ、銀時は組んだ足先を軽く揺すりながら話し出した。
「そっかそっか、そりゃァ良かったわ。でもまァあれだよ、もうそんな無茶すんなよ。俺だってアイツの立場だったら、そりゃ怒るって」
言葉ほどはそうきつい言い方でもないが、信頼している銀時にもやんわりと叱られ、紗己は落ち込むまではいかないものの少し顔を伏せた。
「はい・・・私が悪かったんです・・・・・・」
「いや別に、お前が悪いとかそういうことじゃなくてさあ。なんつーか、そこまで頑張らなくてもいいんだって。言ってる意味、分かるか?」
「・・・無理をするなってことですか?」
その答えに、銀時は軽く唸りながら首を鳴らすと、彼女に伝えたい言葉が見つかったのか、背もたれに預けていた背中を起こして紗己を見つめた。
「何でも一人で抱え込んで頑張らなくても、ちゃんと相談する相手がいるだろって話だよ。お前がアイツを思いやってるってのは分かるけど、その分アイツだってお前のこと同じように思ってんじゃねーのか」
「銀さん・・・」
「何にも知らねェままお前が倒れたりしたら、気付かなかった自分に対してすげェ惨めな気持ちになると思うけどな」
表情自体は比較的やる気が無さげなのだが、その声も言葉も真剣なものだ。土方の気持ちを代弁され、紗己は口元をキュッと引き締めると隣に座る銀時に顔を向けた。