序章
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どうにもかみ合っていない会話に、土方はこのままじゃ埒が明かないとだんだん思い始めてきた。
(俺が切り出さなきゃ、おそらくコイツは何も言ってこないだろう)
彼女が何を考えているのか、海千山千の彼にもさっぱり読めない。だが、ひょっとしたらとてつもなく鈍いタイプの女なのではないかとも思えてきた。
土方は意を決して、重たい口を開く。
「下手に言い訳する気はねえよ。俺がお前にやっちまった事は、強姦罪にも値する。紗己、お前は俺にどうしてほしい」
覚悟を決めているようで決断を紗己に委ねているあたり、無意識の狡猾さが垣間見える。しかし決断を委ねられたところで、彼女には何の意思も無いのだ。
「どうって・・・よく分からないんですけど、こういう場合、私はどうしたらいいんですか?」
「質問返しかよ・・・・・・」
見事なまでのすれ違いっぷりに、土方は嘆息した。
その様子を見て、紗己は自分が何かおかしな事を言ったのだろうかと不安に思い、また怒らせてしまったのではと慌てて言葉を付け足した。
「あ、あのっ・・・女の人ってこういう時どうするものなんですか!」
これを、男側に訊ねるのもいかがなものかと思うが。しかし本当にどうすべきか分からない紗己は、特に深い意味もなく目の前の男に助けを求めたのだ。
そんな彼女の言葉に、土方は片眉を上げる。
「人を常習犯みたいに言うんじゃねえ! 俺だって、こんなん初めてなんだからなっ」
少しきつめに言い放ってしまった。ひどい事をしたとはいえ、この言われ方は土方としては不本意だ。
だが彼女は、何故土方が語気を荒らげたのか分かっておらず、疑問符たっぷりの困り顔を浮かべている。
「あ、ごめんな、さい・・・・・・?」
「・・・・・・」
(まんま、ガキじゃねーか・・・・・・)
ムキになってしまった自分を馬鹿らしく思い、温くなった茶で喉を潤すと、一般論だが・・・と話し始めた。
「まあ・・・犯罪って形で言うとすれば強姦は当然実刑だ。それにお前未成年だろ? この場合、淫行も加わって罪状はさらに重くなる」
言いながら、なんて大それたことをしてしまったのかと、自身の不始末に頭が痛くなる。
これ、もしコイツが訴え出たとしたらかなりマズイ事になるな・・・・・・。それだけの事しちまったんだから、腹括るしかねェけど・・・・・・。
局中法度を掲げておいて、よもや自分が法度を犯すとは。情けないにも程がある。
これが愛ある行為ならば、ここまで頭を悩ませずとも済むのだが。
「あの・・・副長さん」
土方の言葉に黙って耳を傾けていた紗己が、おずおずと口を開いた。
「それって、私が何も訴え出なくても犯罪確定なんですか? もし私が、これを強姦だと捉えていなければ、問題ないんですか?」
「・・・全く問題ねえとは言えねーが、少なくとも犯罪としての立証は出来なくなる。だが・・・」
「いいんです!!」
言いかけた土方の言葉を遮って、紗己は両手で自身の着物をギュッと掴んだ。
「紗己・・・・・・?」
「いいんです、私強姦されたなんて思ってませんから! 昨日も言ったけど、あれは事故なんです!! だから、副長さんは何も気にしないでくださいっ」
「・・・いや、そういうわけにもいかねーだろ・・・」
「私ほんとに平気ですから! 副長さんが犯罪者になっちゃうとか、真選組辞めちゃうとか・・・そっちの方が嫌です・・・っ、どうしてほしいとか、そんなの考えてないしほんといいですから!!」
泣きそうな顔をして切に訴える紗己を見て、土方は複雑な気持ちになった。
なんでコイツこんなに必死なんだ? あんな目に遭っときながら、どうして俺を庇う? ひょっとして、俺の事――。
「・・・そう言ってくれると、正直助かる。だからせめて、俺にどうしてほしいか言ってくれ。けど・・・あんな事しといてなんだが、俺ァ生きるか死ぬかの毎日を送ってんだ。だから・・・おいそれと他人を受け入れるなんてこたァ出来ねえ」
(俺が切り出さなきゃ、おそらくコイツは何も言ってこないだろう)
彼女が何を考えているのか、海千山千の彼にもさっぱり読めない。だが、ひょっとしたらとてつもなく鈍いタイプの女なのではないかとも思えてきた。
土方は意を決して、重たい口を開く。
「下手に言い訳する気はねえよ。俺がお前にやっちまった事は、強姦罪にも値する。紗己、お前は俺にどうしてほしい」
覚悟を決めているようで決断を紗己に委ねているあたり、無意識の狡猾さが垣間見える。しかし決断を委ねられたところで、彼女には何の意思も無いのだ。
「どうって・・・よく分からないんですけど、こういう場合、私はどうしたらいいんですか?」
「質問返しかよ・・・・・・」
見事なまでのすれ違いっぷりに、土方は嘆息した。
その様子を見て、紗己は自分が何かおかしな事を言ったのだろうかと不安に思い、また怒らせてしまったのではと慌てて言葉を付け足した。
「あ、あのっ・・・女の人ってこういう時どうするものなんですか!」
これを、男側に訊ねるのもいかがなものかと思うが。しかし本当にどうすべきか分からない紗己は、特に深い意味もなく目の前の男に助けを求めたのだ。
そんな彼女の言葉に、土方は片眉を上げる。
「人を常習犯みたいに言うんじゃねえ! 俺だって、こんなん初めてなんだからなっ」
少しきつめに言い放ってしまった。ひどい事をしたとはいえ、この言われ方は土方としては不本意だ。
だが彼女は、何故土方が語気を荒らげたのか分かっておらず、疑問符たっぷりの困り顔を浮かべている。
「あ、ごめんな、さい・・・・・・?」
「・・・・・・」
(まんま、ガキじゃねーか・・・・・・)
ムキになってしまった自分を馬鹿らしく思い、温くなった茶で喉を潤すと、一般論だが・・・と話し始めた。
「まあ・・・犯罪って形で言うとすれば強姦は当然実刑だ。それにお前未成年だろ? この場合、淫行も加わって罪状はさらに重くなる」
言いながら、なんて大それたことをしてしまったのかと、自身の不始末に頭が痛くなる。
これ、もしコイツが訴え出たとしたらかなりマズイ事になるな・・・・・・。それだけの事しちまったんだから、腹括るしかねェけど・・・・・・。
局中法度を掲げておいて、よもや自分が法度を犯すとは。情けないにも程がある。
これが愛ある行為ならば、ここまで頭を悩ませずとも済むのだが。
「あの・・・副長さん」
土方の言葉に黙って耳を傾けていた紗己が、おずおずと口を開いた。
「それって、私が何も訴え出なくても犯罪確定なんですか? もし私が、これを強姦だと捉えていなければ、問題ないんですか?」
「・・・全く問題ねえとは言えねーが、少なくとも犯罪としての立証は出来なくなる。だが・・・」
「いいんです!!」
言いかけた土方の言葉を遮って、紗己は両手で自身の着物をギュッと掴んだ。
「紗己・・・・・・?」
「いいんです、私強姦されたなんて思ってませんから! 昨日も言ったけど、あれは事故なんです!! だから、副長さんは何も気にしないでくださいっ」
「・・・いや、そういうわけにもいかねーだろ・・・」
「私ほんとに平気ですから! 副長さんが犯罪者になっちゃうとか、真選組辞めちゃうとか・・・そっちの方が嫌です・・・っ、どうしてほしいとか、そんなの考えてないしほんといいですから!!」
泣きそうな顔をして切に訴える紗己を見て、土方は複雑な気持ちになった。
なんでコイツこんなに必死なんだ? あんな目に遭っときながら、どうして俺を庇う? ひょっとして、俺の事――。
「・・・そう言ってくれると、正直助かる。だからせめて、俺にどうしてほしいか言ってくれ。けど・・・あんな事しといてなんだが、俺ァ生きるか死ぬかの毎日を送ってんだ。だから・・・おいそれと他人を受け入れるなんてこたァ出来ねえ」