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2005年7月


「あ、ちょっと待って、…なんか、チラチラ動いてんのがいるんだよな…なんだアレ?」

「…とりあえず、その動くもののところに行ってみようか」

まだ1ヶ月少々、されど数少ない同期である。欠けてしまうには心苦しいものがある。
五条の視界を頼りに足早に辿り着いた先はこの寺院の本堂と思われる一際大きな建物だった。

人の気配はない。血の匂いなども感じないが、一抹の不安が手を湿らせる。

「世那っ!」

「あれー、SGコンビじゃん」

飛び込んだ2人とは裏腹にやけにのんびりとした声が室内に響く。

「えす…なんて?」

「五条悟に夏油傑でイニシャルSGのコンビ。
我ながらいいセンスだと思ったんだよなあ」

「どこがだよ!こっちがどれだけ…」

「え、何、心配でもしたか?!
やっぱ可愛いなー悟ー」

ケラケラと笑う大堰の姿に肩の力が抜けていく。
ここまで大階段を駆け上がって来たことが馬鹿らしく成る程いつも通りの大堰が一人、部屋の真ん中に浮いていた。

「何それ!どうなってんの!」

「コレ?ここになー、結界があんのよ」

指差す先には矢張り何も見えないが、叩くと透明な壁の様なものがあることが分かる。

「世那、状況は?」

「生存者は住職をはじめとした8名。多少怪我人はいるが急を要する様なものは無し。
回収目標だった特級呪物・照魔鏡も回収済み。
ここまで何体か無視したが、3級を5体祓った。
後は多分2級以上が一体いる」

「その根拠は」

「勘。
でも、こーゆーときのオレの勘は外れねえよ」

ちょっと自慢気な態度の割に殆ど変わらない表情がなんとも笑いを誘う。
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