このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

2005年7月

「思ったより遠かったな」

遠目にでも見えていた帳の元に辿り着く頃には日が傾き始めていた。
電車に車、徒歩での長距離移動に五条の機嫌は夕日より早く沈んでいく。

「お待ちしていました」

帳の前で五条、夏油両名を迎えたのは黒いスーツを纏い黒いサングラスをかけた補助監督官だった。
訂正しよう。補助監督官は大抵同じ様な服装をしている。その中で考えるとあまり特徴的な人物ではないかもしれない。

「世那…大堰がこちらを担当していると伺っていますが、彼が入ってからどのぐらいですか?」

「1時間弱程でしょうか」

夏油の問いに特に考える素振りもなく答えが帰ってきた。

(1時間…思ったよりも早く到着できたか?
いや、ここまでの道のりを考えると計算が合わない)

「どーせ小手調のつもりなんだろうよ、上のクソジジイどもは。
死なれちゃ困るが実力を測るには丁度いいってな」

べーっと舌を出し凡そ綺麗とは言えない表情をする五条を咎めつつも夏油も同じ様な考えに行き当る。
そもそも大堰に2級のランク付をしたのは上層部のはずであり、実力も把握しているはずではないのか。

「さっさと片付けて、世那奢りでなんか食いに行こうぜ」

「いいね、賛成」

形ばかりのお気をつけてを聴きながら帳の中へ足を踏み入れた。
内部はあちこちに残穢を伺えるものの比較的普通の寺院に見える

「ヤバいぞ傑!生きてる奴がいない!」

「は?」

そんな馬鹿な。
資料によれば要救助者が少なくとも5人は居たはずだ。それに何より先行している大堰がいるはずだ。
しかし、五条の持つ特殊な目“六眼”の性能も夏油は理解していた。
それ故に一瞬最悪の想像が脳裏を巡る。
3/8ページ
スキ