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2007年9月

響き渡る甲高い悲鳴が目覚ましがわりとは、何ともいえない目覚めだ。
夏油と話していた途中から記憶がない。
疲れてると酒が回りやすいとはいうけど、ここまでだったろうか、いらん事まで言っていなければいいのだが…

「それより悲鳴だ」

思考とともに明後日に飛んでしまった意識を引き戻すと地味に重い体を引き摺って、部屋へ駆け出した。
人の少ない寮だ、声の主は簡単に特定できる。
起きる前には戻ろうと思っていたのだが、当てが外れてしまった。

「菜々子、美々子」

自室の前で見つけたのは見覚えのある白と寄り添う金と黒。
振り返った双子はマジ泣き3秒前の顔をしていた。

「大堰さま!」

ちょっと待て今なんつったよ
抱きついてきた菜々子は号泣。美々子もしゃくりあげていて、何があったかはわからないが少なくとも悟がなんかしたんだろう。

「おい世那、何だよそれ」

「何じゃねえわ、せめて誰っていえや。
悪いな、あの馬鹿に何もされんかったか」

「起きたら、居なくて」

「勝手に、出てきて、ごめんなさい」

目が覚めたら知らない場所にいたんだ。
外にも出たくなるものだろう。

「いや、怒っちゃいねえよ。でかい壁があって怖かったろ」

「誰が壁だコラ」

「壁だろうが、でけえんだよテメェは」

双子と同じ目線になって改めて実感した。
首が痛い。後、上から話しかけられると結構威圧感がある。

「朝から道を塞がないでくれ」

「傑」

「おはようさん。今日は顔色良さそうだな」

「誰かさんがデートに誘ってくれたおかげかな」

「なにそれ俺知らない」

「悟くんはお仕事だったでしょーが」

回復したというより少し浮上したといった感じだろうか。
とりあえず一山越えたようで一安心だ。

「それで、結局誰なんだよソイツら」

「…昨日保護した」

何と話すか考えて、それ以降の言葉が出てこなかった。
どこまでいうべきだ。詳細を言って昨日のことを蒸し返して、双子や夏油を刺激したくない。

「それだけ?」

「うーん…あーっと、菜々子と美々子っつーんだけど、なんていうかなって…」
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