2007年9月
喚き散らしていた猿どもの声が不意に聞こえなくなった。
降って湧いた無音の世界に響いた音が世那が檻の鍵を壊した音だと気づくまでに数秒要した。
「来るのが遅くなってごめんな。もう大丈夫だよ」
開いた檻には決して入らず、少し離れた場所から声をかける世那に少女たちは警戒心を剥き出しにして睨みつけている。
「だよなー急に信用しろとか難しいよな…」
少女たちを見ていた世那がくるりと振り返る。
なあ、傑
「アイツら、殺したい?」
世那の視線の先は私の背後を指していた。
そこで漸く猿どもの声が途切れたのは世那の術式によるものだと気がついた。
「やる?やっちゃう?」
楽しそうな声と裏腹に世那の目には何も宿らないのを見た。
怒りも憎悪も嫌悪も憐憫も、何も無い。
唯只管に凪いだ瞳が私を写している。
「…この子達に見せるわけにはいかないよ」
口から溢れた正論は無意識だった。
降って湧いた無音の世界に響いた音が世那が檻の鍵を壊した音だと気づくまでに数秒要した。
「来るのが遅くなってごめんな。もう大丈夫だよ」
開いた檻には決して入らず、少し離れた場所から声をかける世那に少女たちは警戒心を剥き出しにして睨みつけている。
「だよなー急に信用しろとか難しいよな…」
少女たちを見ていた世那がくるりと振り返る。
なあ、傑
「アイツら、殺したい?」
世那の視線の先は私の背後を指していた。
そこで漸く猿どもの声が途切れたのは世那の術式によるものだと気がついた。
「やる?やっちゃう?」
楽しそうな声と裏腹に世那の目には何も宿らないのを見た。
怒りも憎悪も嫌悪も憐憫も、何も無い。
唯只管に凪いだ瞳が私を写している。
「…この子達に見せるわけにはいかないよ」
口から溢れた正論は無意識だった。