2007年9月
言い渡された任務はさほど難しいものではなかった。
場所が遠く不便なことを除けば特級と一級が二人がかりで請け負うには難易度が低すぎる任務は何かの作為を感じるほど簡単に片付いた。
「これは、どういう事ですか」
木枠の大きな檻は簡素な見た目とは裏腹に嫌に頑丈にできていた。
その中では金髪と黒髪の少女が身を寄せ合い、怯え切った目でこちらを見ている。
「なにとは?この二人が一連の事件の原因でしょう?」
「違います」
孤立した集落で頻発していた怪事件の原因となっていた呪霊は大堰たちの手によって既に除伐されている。
見た目がキモいから、と問答無用で消滅させた大堰は夏油からもれなく突き刺さる視線と小言を頂戴した。
「この二人は頭がおかしい。
不思議な力で村人を度々襲うのです!」
「事件の原因はもう私たちが取り除きました」
「私の孫もこの二人に殺されかけたことがあります!!」
「それはあっちが…」
「黙りなさい化け物め!」
「やはり赤子の内に殺しておくべきだった!!」
口々に喚き散らす村人たちに夏油の声は届かない。
理解できないものを拒絶して、外的因子を迫害し、異分子を摘出する悪しき文化。文明が停滞しているいい証拠だ。
(うるせえし、くだんねえし…めんどくせえな)
状況を理解できない非術師がいくら騒ごうがどうでもいい。
檻の中の子供たちに何らかの能力がある事が分かった以上、高専で保護するべきだろう。適当なところで切り上げて、後で連れて帰ればいい。
ただそれだけのことなのだが、隣に立つ黒尽くめを見上げ大堰はため息をつく。
(なーんか変なんだよなあ、傑)
説明できない違和感をちゃんと整理して解消するほどの能力も実力も大堰は持ち合わせていないうえに、喚き散らすだけの騒音に纏まる思考も纏まらない。
「術式順転・結」
手印を振り上げると大堰たちの背後に不可視の壁が立ち上がる。
続いて手印を檻の錠へと向ける。
「術式反転・爆」
場所が遠く不便なことを除けば特級と一級が二人がかりで請け負うには難易度が低すぎる任務は何かの作為を感じるほど簡単に片付いた。
「これは、どういう事ですか」
木枠の大きな檻は簡素な見た目とは裏腹に嫌に頑丈にできていた。
その中では金髪と黒髪の少女が身を寄せ合い、怯え切った目でこちらを見ている。
「なにとは?この二人が一連の事件の原因でしょう?」
「違います」
孤立した集落で頻発していた怪事件の原因となっていた呪霊は大堰たちの手によって既に除伐されている。
見た目がキモいから、と問答無用で消滅させた大堰は夏油からもれなく突き刺さる視線と小言を頂戴した。
「この二人は頭がおかしい。
不思議な力で村人を度々襲うのです!」
「事件の原因はもう私たちが取り除きました」
「私の孫もこの二人に殺されかけたことがあります!!」
「それはあっちが…」
「黙りなさい化け物め!」
「やはり赤子の内に殺しておくべきだった!!」
口々に喚き散らす村人たちに夏油の声は届かない。
理解できないものを拒絶して、外的因子を迫害し、異分子を摘出する悪しき文化。文明が停滞しているいい証拠だ。
(うるせえし、くだんねえし…めんどくせえな)
状況を理解できない非術師がいくら騒ごうがどうでもいい。
檻の中の子供たちに何らかの能力がある事が分かった以上、高専で保護するべきだろう。適当なところで切り上げて、後で連れて帰ればいい。
ただそれだけのことなのだが、隣に立つ黒尽くめを見上げ大堰はため息をつく。
(なーんか変なんだよなあ、傑)
説明できない違和感をちゃんと整理して解消するほどの能力も実力も大堰は持ち合わせていないうえに、喚き散らすだけの騒音に纏まる思考も纏まらない。
「術式順転・結」
手印を振り上げると大堰たちの背後に不可視の壁が立ち上がる。
続いて手印を檻の錠へと向ける。
「術式反転・爆」