2007年6月
「そういや、こんなん拾ったんだけど、悟わかるか?」
感知に掛かった動かない方の呪力の塊がそれだった。
「多分呪物だと思うんだけど、オレこーゆーのは詳しくねえからさ、とりあえず悟に聞きゃいいかなって」
奇妙な枝の様なソレは見方によってはミイラ化した人間の指にも見える。
廃墟とはいえ工場の中に転がっていたソレは強烈なまでの違和感を放っていた。
危険を感じるほどの呪力は感じなくとも絶対にここにあっていいものではないということだけは感じとれた。
「すくな…?」
「は?」
「捨てろ!」
「何言ってん…っつあ゛」
痛い…いや、熱い。
「世那!」
身体を内側から焼く様な痛みが全身を駆け巡る。
痛みの根元に目を向ければ、およそ人のものとは思えない腕が腹から生えているのが見えた。
どうやら気紛れに拾ったこの棒切れみたいな何かは思ったよりも大物だったらしい。
(ぜってえやらねえ)
強烈な痛みのせいで思うように動かない身体の変わりに頭は良く回るらしい。
取り落とした棒切れを追って引き抜かれそうになった腕に結界を突き刺し、己の身体に縫い付ける。
「ぐっぁ…いってえじゃねえの…」
背後にいる呪霊がどんな姿かは分からない。
それでも五条ならば簡単に片付けられる程度の相手だろうことは分かる。
そして、今問題なのは、呪霊と彼の間にいる大堰の存在だ。
ならばせめて邪魔だけはしてはいけない。
「悟、やれ」
「はあ?!できるわけないだろ!」
「うるせえな!できるできねえじゃねえんだよ!やれ!」
絵画か何かの様な顔を歪める五条の顔を焼き付ける眩しいまでの呪力を全身に感じながら、大堰の意識は沈んでいく。
感知に掛かった動かない方の呪力の塊がそれだった。
「多分呪物だと思うんだけど、オレこーゆーのは詳しくねえからさ、とりあえず悟に聞きゃいいかなって」
奇妙な枝の様なソレは見方によってはミイラ化した人間の指にも見える。
廃墟とはいえ工場の中に転がっていたソレは強烈なまでの違和感を放っていた。
危険を感じるほどの呪力は感じなくとも絶対にここにあっていいものではないということだけは感じとれた。
「すくな…?」
「は?」
「捨てろ!」
「何言ってん…っつあ゛」
痛い…いや、熱い。
「世那!」
身体を内側から焼く様な痛みが全身を駆け巡る。
痛みの根元に目を向ければ、およそ人のものとは思えない腕が腹から生えているのが見えた。
どうやら気紛れに拾ったこの棒切れみたいな何かは思ったよりも大物だったらしい。
(ぜってえやらねえ)
強烈な痛みのせいで思うように動かない身体の変わりに頭は良く回るらしい。
取り落とした棒切れを追って引き抜かれそうになった腕に結界を突き刺し、己の身体に縫い付ける。
「ぐっぁ…いってえじゃねえの…」
背後にいる呪霊がどんな姿かは分からない。
それでも五条ならば簡単に片付けられる程度の相手だろうことは分かる。
そして、今問題なのは、呪霊と彼の間にいる大堰の存在だ。
ならばせめて邪魔だけはしてはいけない。
「悟、やれ」
「はあ?!できるわけないだろ!」
「うるせえな!できるできねえじゃねえんだよ!やれ!」
絵画か何かの様な顔を歪める五条の顔を焼き付ける眩しいまでの呪力を全身に感じながら、大堰の意識は沈んでいく。