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2005年7月

「オレって今、2級ってことになってんだっけか…」

単独任務を言い渡された大堰が向かったのは山奥に聳える寺院。
なんでも昔の偉い人の墓があるとかでパワースポットやら心霊スポットやらに取り上げられた末、めでたく呪霊スポットに昇格したらしい。

「笑えねえ…
これさー準1級以上に見えるんすけど」

「可能性はありますね」

任務内容としては寺院に元々安置されていた呪物の回収と生存者の保護及び救助。
昨今、というよりかなり前より人手不足が叫ばれる呪術師の業界に於いても単独任務の範疇を超える内容だ。

「すぐに応援を呼びます」

「期待しねえですよ。オレを試したいってのがよくわかる」

「第一目標は要救助者の保護です。
危険だと判断したら交戦せず任務を中断して構いません」

「んな事言ってらんねえでしょ。
甲斐さんも無茶言いますね」

「命が1番大事だからな」

同行した補助監督官は北海道から大堰を連れてきた顔見知りだった。
初回任務で単独故に気を遣ってなのか…おそらく偶然だろう。

「大体な、幾ら世那に特級呪霊討伐経験があって将来有望だとしてもだ、最初っからコレじゃ使い潰しもいいところだ。
本当に無理はしなくていいからな」

「しねえっすよ、死にたくねえもん。てか言い過ぎっすよ」

口ではそう言いつつも褒められ、認められ悪い気がするわけがない。モゴモゴと動く口元が弓形に笑みを浮かべる。

「…甲斐さん、オレね、友達っつーのかな、そんなのができました」

サングラスの向こう側で三白眼が大きく開かれたのが見えた。

「そりゃ、よかったな。大事にしろよ」

「うっす」
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