2006年12月
「本家があったのは、大堰の関係者しか住んでねえ小さい村だった。
関係者以外は施設にガキがいたぐらいだ」
「子ども?」
「そ、子ども。
北海道中から呪力のあるガキを集めてきて囲ってたんだ」
「なにそれ、慈善事業ってこと?」
「はっ!んなわけねえだろ」
呪力があれば呪霊が見えるし、場合によっては狙われやすくもなる。
そういう子供が非術師の家系に生まれれば迫害されることも少なく無い。
保護といえば聞こえはいいだろうが、そんないい話になろうはずもない。
「大堰は呪力持ちも殆ど生まれなくなった様な家だ。術師界隈で権力なんざ地に落ちたもんだ。
なのに立場なんてものに縋ってたクソジジイどもは、呪力を持ったガキを集めてきて術師の家に売ってたんだよ」
術師の人数は年々減少している。
呪力を持った者も呪霊が見える者さえも少なくなっている今、大堰のような家は増える一方だ。
外からの血を入れてなんとか術式を保とうとする家と他家に恩を売って権力を保とうとした大堰の利害が一致した結果だったのだろう。
「だからバチが当たったんだ」
「なんだか嫌な言い方だね」
嫌な言い方、そうだろうか。でも、そうとしか思えない。
「…雪崩か」
「よくわかったな」
呟いたのは誰だったか。
一体どこでバレたのだろうか。思い当たるのは一つしかないのだが。
「名称不明の特級呪霊の影響で発生したと思われる雪崩により村一つが消えた。
術式のおかげでオレだけ生き残った。
…またオレだけだ」
覚えてもいない両親も屋敷を抜け出して遊びに行った施設の子供たちも、誰1人生きていない。
自分だけが生き残ってしまった。
「討伐したって言ったって、どうやったかなんざ覚えてねえ。
気がついたら俺は病院のベッドの上にいて、村は潰れたって聞かされた。
そっからはとんとん拍子さ。
アイヌのお偉方と高専のお偉方との間で協定が組まれて、俺はここに放り込まれた」
「北海道の管轄は別なんだっけ」
「そ、北海道はアイヌ呪術連の管轄。
ただ今はオレが東京高専にいるから、今回の件もこっちに回されたわけだ」
いい迷惑だねー
別に高専に送られたことが嫌だと思ったことはない。
同じ腐った世界でもこっちの方が何十倍もマシだ。
ただ気に食わないのは、勝手に取引材料にされ、勝手に生贄にされたこと。
「大して面白くもない上にこの世界じゃ良くある話だろ」
関係者以外は施設にガキがいたぐらいだ」
「子ども?」
「そ、子ども。
北海道中から呪力のあるガキを集めてきて囲ってたんだ」
「なにそれ、慈善事業ってこと?」
「はっ!んなわけねえだろ」
呪力があれば呪霊が見えるし、場合によっては狙われやすくもなる。
そういう子供が非術師の家系に生まれれば迫害されることも少なく無い。
保護といえば聞こえはいいだろうが、そんないい話になろうはずもない。
「大堰は呪力持ちも殆ど生まれなくなった様な家だ。術師界隈で権力なんざ地に落ちたもんだ。
なのに立場なんてものに縋ってたクソジジイどもは、呪力を持ったガキを集めてきて術師の家に売ってたんだよ」
術師の人数は年々減少している。
呪力を持った者も呪霊が見える者さえも少なくなっている今、大堰のような家は増える一方だ。
外からの血を入れてなんとか術式を保とうとする家と他家に恩を売って権力を保とうとした大堰の利害が一致した結果だったのだろう。
「だからバチが当たったんだ」
「なんだか嫌な言い方だね」
嫌な言い方、そうだろうか。でも、そうとしか思えない。
「…雪崩か」
「よくわかったな」
呟いたのは誰だったか。
一体どこでバレたのだろうか。思い当たるのは一つしかないのだが。
「名称不明の特級呪霊の影響で発生したと思われる雪崩により村一つが消えた。
術式のおかげでオレだけ生き残った。
…またオレだけだ」
覚えてもいない両親も屋敷を抜け出して遊びに行った施設の子供たちも、誰1人生きていない。
自分だけが生き残ってしまった。
「討伐したって言ったって、どうやったかなんざ覚えてねえ。
気がついたら俺は病院のベッドの上にいて、村は潰れたって聞かされた。
そっからはとんとん拍子さ。
アイヌのお偉方と高専のお偉方との間で協定が組まれて、俺はここに放り込まれた」
「北海道の管轄は別なんだっけ」
「そ、北海道はアイヌ呪術連の管轄。
ただ今はオレが東京高専にいるから、今回の件もこっちに回されたわけだ」
いい迷惑だねー
別に高専に送られたことが嫌だと思ったことはない。
同じ腐った世界でもこっちの方が何十倍もマシだ。
ただ気に食わないのは、勝手に取引材料にされ、勝手に生贄にされたこと。
「大して面白くもない上にこの世界じゃ良くある話だろ」