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2006年12月

「つっかれたー」

行動開始からかれこれ40分以上は走り回っていた気がする。
呪霊1体ずつは大したことないにも関わらず、すばしっこいものだから捕まえるのに苦労させられた。
予定通り2級を速攻で祓った最強コンビが合流した後も制限の多い場所では立ち回りが難しいのか、中々思い通りに進まない。
その上、五条の術式を使わせない様にすることに頭を回したものだから、重っ苦しい空気に包まれた送迎車も苦にならないほど疲れた。

「んで、なんでいるのよ」

「尋問するって言っただろうが!」

「チッ…覚えていやがったか」

逃げる様にホテルの部屋に立て籠った筈だった。
しかし、備え付けのシャワーを浴びて戻ってみれば何故か3人が部屋に揃って酒盛りを始めてる始末。(一名ノンアルコール)

「尋問ったって何すんのさ」

勢いのまま言っていただけで何も考えていなかったのだろうか、3人が目を合わせて固まっているのをお気に入りのパックジュースを飲みながら眺める。

さて、何を聞かれるだろうか。

「じゃあ、はい」

「はい硝子」

「いや、お前がさすんか」

「特級呪霊討伐経験っていつの話」

飲んでいたジュースが気管に流れ込み思わず咳込んだ。
聞かれれば答えるつもりではいたが、初っ端から斜め上の切り口だったな。

「あー…東京に来る2ヶ月ぐらい前かな」

「北海道での話だったんだ」

「そーですよ、なんで知ってんすか」

「秘密」

この人の情報元は本当によく分からない。

「術式について私たちに隠していることは」

「ねえな」

コレは本当。むしろ実験段階のモノも話している。

「大堰の家ってどんな」

五条の目にサングラスが無いことに今更気がついた。
普段薄いガラス越しに覗いている恐ろしいほど蒼い硝子玉のようなふたつの瞳が自分を捕らえているということに背筋が薄寒くなる。

「クソみたいな家」
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