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2006年12月

「鬼ごっこ?!」

「そ、鬼ごっこ。やったことある?」

まあ聞かなくともないだろうが。
大きく首を振る五条が一瞬犬の様に見えたのはご愛嬌。こういう時に垣間見える普通でない幼少期が少し辛くも感じるのは己には確かに存在する経験値ゆえの哀れみなのだろうか。

「すばしっこい奴らを纏めて囲えりゃ楽なんだろうが、生憎オレはそんな芸当できねえから、片っ端から捕まえる。
悟と傑は2級を優先で祓ってくれ。
ま、どうせすぐ終わんだろ」

「もっちろん!」

「任せて」

嬉しそうに頷く2人に壊すなよー、と一応の注意をしておく。
どの程度効果があるか分からないが、ないよりマシだろう。

「私は待機?」

「んにゃ、硝子さんも参加してくれ」

腰のポーチを探って、手に当たった袋を引っ掴んで家入の方へ放った。
ガチャガチャと金属がぶつかり合う音がなる袋をなんなく掴み上げた家入は、中を一瞥すると分かりやすく顔を顰めた。

「何これ、五寸釘?趣味わる〜」

「改良版・嘱託式結界!
それが1番勝手がよかったんだよ。文句言いなさんなって」

使いやすいようにと小さく軽くした結果、五寸釘に細くした呪符を巻くのが最適だった。
まあ、確かに、見た目的にも趣味がいいとはとても言えないが、汎用性は高いのだ。あまり言われると傷つく。

「呪力は呪符に込めた分で賄えっから、軽くでも刺されば結界が展開される。
取り敢えず4級なら間違えなく捕まえられる。
3級もまあ、何本か打てばいけるだろ」

抜き取った1本を目についた呪霊に向かって投げると上手いこと当たり、呪霊が結界に閉じ込められる。
因みに捕らえた呪霊は蠅頭だった。

「んで、後は爆結で終わりってね」

「なる」

結界と共に霧散した呪霊を無表情で見送った家入は、煙草に火を灯し、ニヤリと大堰を見上げる。

「いいじゃん」

「お褒めにあずかり光栄だよ。
んじゃ、とっとと始めて、さっさと帰りますか」

「んで、世那の尋問な」

「それはいらねぇけど…お仕事はじめますか」
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