2006年12月
日も落ちた閉園時間後、補助監督と合流した4人は旧網走監獄の放射状舎房の前に立っていた。
「確認された呪霊は3級以下が6体、2級が2体の計8体です。
今のところ一般人への被害は確認されていませんが、3級から2級への移行が非常に早いことが認められた為、駆除依頼が立ちました」
気弱そうな補助監督が早口に伝えてくる任務内容を頭の中にメモし、立てたところで2割も機能しないであろう作戦を計画する。
「文化財ですから、くれぐれも壊さないようにお願いしますよ!」
「へーへー、わかってますよー」
あまりに適当な返答に夏油から脇腹に制裁が降るが、五条が気にした様子はない。
まあ、いつものことだ。
「帳を下ろします。皆様お気をつけて」
闇より出て闇より黒く その穢れを禊ぎ祓え
どろりと黒い闇が覆う舎房は薄絹を纏ったような暗闇が立ち込めていた。
「あー、早く帰りてえ」
お決まりの台詞を放った大堰の背中に3人分の拳が突き刺さる。
「痛って!は?何、めっちゃ痛い!多分傑のが1番痛え」
「ああ、ごめん、結構本気で殴った」
「はあ?!」
「今のは大堰が悪い」
「そうだそうだ!世那が悪い!」
「マッジで意味わかんねえ!」
大騒ぎしながら舎房に入っていく4人を補助監督はため息と共に見送った。
「悟、どうなってる?」
「あー、いるね」
僅かに下げられた黒すぎる色眼鏡の下から吸い込まれそうなほどに蒼い瞳が顔を出す。
硝子玉の様な瞳が舎房を右から左へ、ゆっくりと動くのをぼんやりと眺めていた。
夜目が効くなんてレベルでない特殊な目を持つ五条にこの景色は一体どう見えているのだろうか。
「すばしっこいのが何体か、雑魚だな。
んで、2級があっちの端とあっちの端」
五条が指差す先は舎房のおよそ端と端は、暗すぎて目視はできないが、呪力は感じられた。
「雑魚は面倒いから蒼で一気する?」
気軽に手印を切る真似をする五条に3人が揃って胡乱げな目を向ける。
「今さっきダメだって言われたところだろうが」
「えーだってダルいじゃん」
「悟、この建物は文化財なんだ」
「だから?」
「壊したら夜蛾さんの拳骨じゃ済まない」
一瞬のうちに五条が静かになった。
さすが夏油、扱いをよく理解している。
「じゃあ、どうすんだよ世那」
「え、何オレに聞く?」
「だって世那の役割だろ、こーゆーの」
さも当然のように言われ、夏油や家入からも同調された大堰は、雑に頭を掻きため息をついた。
「んじゃ、鬼ごっこすっか」
「確認された呪霊は3級以下が6体、2級が2体の計8体です。
今のところ一般人への被害は確認されていませんが、3級から2級への移行が非常に早いことが認められた為、駆除依頼が立ちました」
気弱そうな補助監督が早口に伝えてくる任務内容を頭の中にメモし、立てたところで2割も機能しないであろう作戦を計画する。
「文化財ですから、くれぐれも壊さないようにお願いしますよ!」
「へーへー、わかってますよー」
あまりに適当な返答に夏油から脇腹に制裁が降るが、五条が気にした様子はない。
まあ、いつものことだ。
「帳を下ろします。皆様お気をつけて」
闇より出て闇より黒く その穢れを禊ぎ祓え
どろりと黒い闇が覆う舎房は薄絹を纏ったような暗闇が立ち込めていた。
「あー、早く帰りてえ」
お決まりの台詞を放った大堰の背中に3人分の拳が突き刺さる。
「痛って!は?何、めっちゃ痛い!多分傑のが1番痛え」
「ああ、ごめん、結構本気で殴った」
「はあ?!」
「今のは大堰が悪い」
「そうだそうだ!世那が悪い!」
「マッジで意味わかんねえ!」
大騒ぎしながら舎房に入っていく4人を補助監督はため息と共に見送った。
「悟、どうなってる?」
「あー、いるね」
僅かに下げられた黒すぎる色眼鏡の下から吸い込まれそうなほどに蒼い瞳が顔を出す。
硝子玉の様な瞳が舎房を右から左へ、ゆっくりと動くのをぼんやりと眺めていた。
夜目が効くなんてレベルでない特殊な目を持つ五条にこの景色は一体どう見えているのだろうか。
「すばしっこいのが何体か、雑魚だな。
んで、2級があっちの端とあっちの端」
五条が指差す先は舎房のおよそ端と端は、暗すぎて目視はできないが、呪力は感じられた。
「雑魚は面倒いから蒼で一気する?」
気軽に手印を切る真似をする五条に3人が揃って胡乱げな目を向ける。
「今さっきダメだって言われたところだろうが」
「えーだってダルいじゃん」
「悟、この建物は文化財なんだ」
「だから?」
「壊したら夜蛾さんの拳骨じゃ済まない」
一瞬のうちに五条が静かになった。
さすが夏油、扱いをよく理解している。
「じゃあ、どうすんだよ世那」
「え、何オレに聞く?」
「だって世那の役割だろ、こーゆーの」
さも当然のように言われ、夏油や家入からも同調された大堰は、雑に頭を掻きため息をついた。
「んじゃ、鬼ごっこすっか」