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2006年8月

無機質なコール音が数回した後、かなり不機嫌な声が聞こえてきた。

「もっしもーし、お加減いかがー」

『世那、ふざけるなら切るよ』

「あ?巫山戯てんのはどっちだよ。あんなん流して処罰対象にでもなったらどうしてくれんだ」

『…すまない』

優等生の夏油が珍しい。
そこまで頭が回らないほどの緊急事態だろうか。

「ま、いいけどな。
本題だけどよ、写真の彼女、呪詛師の裏サイトで3000万だと。極秘情報垂れ流しか」

『3000万…』

怪しい教団というのは一体何処からそんな大金を捻出するのやら。
そして、そんな大金をかけてまで少女1人を殺したいか。

「もちっと調べるか?
賞金レース仕掛けたクソ野郎釣り上げるとか」

『いや、いい。
あまり危険なところまで首を突っ込むな』

「だーれのせいよ」

誤魔化してはいるが夏油の様子が気になる。
問題児ではあるが最強コンビだ。何も心配することなど無いはずなのに何故か引っかかる。

「無茶すんなよ。悟にも伝えとけ」

『分かった。ありがとう』

矢張り何かあったらしい。
早口で礼だけ言って切れた電話を睨みつける。そんなことをしても再び繋がることなど無いことは理解しているが、やってしまう事はしょうがない。

「なんだって?」

「よくわかんねえけど、一悶着あったらしいな」

いつの間にか火がつけられた2本目のタバコを抜き取り咥える。舌打ちが聞こえたが無視した。
煙が気管を通り肺胞一つ一つに染み渡ると共に掻きむしられるような焦燥感が消えていくような気がした。

「ま、アイツらなら大丈夫だろ」


続報が届くのはこれより3日も後だった。
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