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2006年8月


「世那は!どっち?!」

「あん?」

騒いでいるのは廊下にも聞こえていたから知っていたが、内容を聞いていない者に振ってはいけない。
かなりドスの効いた声が出たが、それに怯えるような可愛げを持つ者も居ない。

「なんの話だよ」

「帳が必要か否か」

「そういや帳下さねえで暴れたって?馬鹿じゃん」

「暴れてないですー」

庵、冥冥の救出任務による被害はそこそこ歴史のある建造物の母屋が全壊。
大暴れしたか大喧嘩したかどちらかだろう。

「パンピーには見えねえんだし要らなくね?」

「ダメだよ」

なるほど。帳の下ろし忘れは五条の責任らしい。

「世那はどう思うよ」

「そら必要だろうよ」

勝ち誇った顔の夏油と綺麗な顔立ちを台無しにする五条。
悪巧みするときはいいコンビなのだがよく対立する2人だ。巻き込まれるのも面倒なので適当なところで逃げようと心に決めた。

「つっまんねーの。なんだよ、世那まで正論いっていい子ちゃんする感じなのかよ」

オエーと言いながら舌を出す五条に手刀を下す。

「正論かはどうかは知らんけどよ、帳がねえと野次馬があつまんだろ、面倒じゃん。
見えもしね奴らに質問責めにされんのって結構うぜえんだよ。説明したって理解できねえんだからくんなっつーの。終わったらさっさと帰りてえんだよ」

夏油がどんな正論を説いたのか知らないが、想定外な答えだったのだろうか。
反応は三者三様だが凡そ驚きと呆れといったところだ。

「そんな理由で」

「こいつが1番ダメじゃねえの?」

「ウケるー」

一体何がダメなのか。
釈然としないが殺伐とした空気は霧散した。
したけど…やっぱり納得いかない。
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