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2006年8月

「姐さん、姫さん、お久しぶりです」

「やあ、久しぶり」

鮮やかな水色の髪を振り、裏のありそうな笑顔を向ける1級呪術師の冥冥と緋袴が映える巫女装束の2級呪術師の庵歌姫。
東京高専ではあまり見かけることのない2人組が廊下を歩いていたものだから思わず声をかけた。

「準1級に上がったそうだね、おめでとう」

「あんまし嬉しくねえっすね。忙しくなるばっかだ。行方不明って聞いてた割に普通っすね」

「まあね、私たち自身はあまり自覚がなかったから」

「へー」

お疲れ様です、と言って軽く頭を下げる。
たいして思っていないことは向こうもわかっているだろうが、まあ、形だけでもというやつだ。

「世那!」

「はーい、なんすか、おひいさん」

「なんであんた居ないのよ!」

「後輩たちと任務だったんすよー、そんな振らねえでくだせー」

勢いよく肩を掴まれ、そのまま前後に揺さぶられる。多少なら耐えられるが、中々、酔いそうだ。

「あんたがいればアイツらだってー!」

「いやー、アイツらがオレの話なんざ聞くわけねえでしょうよ」

大方五条と夏油の問題児コンビに何か言われたんだろう。

「またなんかやらかしたんすか?」

「帳を下ろし忘れてたね」

「あー、そんぐらいなら…」

「よくないよ」

「うっす」

任務地の建物の半壊は日常、倒壊、全壊等々、賠償額ランキングのトップランカーたちのことだ、その程度ならいいんじゃないかと思ってしまう。

「今年の1年生達はあまり出来が良くないのかな?」

「んなことねえっすよ。非術師生まれにしちゃ上出来すぎるぐらいっすね。
2人しかいねえんでスリーマンセル組むのにオレが入れられてる感じっすね」

「君が入る必要があるのかな」

「…いや、ねえ…っすね」

七海は完璧主義っぽい。灰原はムラっけがある。
単体で見れば危なっかしい所もあるが、お互いに補い合えているので、大堰が一切手を出さずに任務が終了する事も少なくはない。

「そういや、最近悟達と任務組んでねえな」

だからといって何か支障があるわけでもないが、なんとなく癪に触る。
今回だって大堰を除いた3人が共に任務に就いていた。自分だけ省かれている気がしてならない。

「ちょっと夜蛾さんに文句言ってみよっかな」

「あんまり迷惑かけちゃダメだからね」

「はーい」

まあ到底無理な話である。
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