2006年4月
「おつかれー」
「お疲れ様です!」
「お疲れ様です」
任務は無事終了。
報告を受けた補助監督は一足先に高専に戻り、学生3人は自由時間を言い渡された。
「つってもオレ、この後追加任務だけどな」
「頑張ってください!」
「あーマジでいい子じゃん、七海くんも見習わない?」
「結構です」
呪術師にしては真面目すぎる七海と呪術師では絶滅危惧種並みの根明、灰原。なかなか良いコンビかもしれない。
「ま、時間はあるし飯でも行くか。ラーメンでいい?」
「そんな悪いですよ、ご馳走様です!」
「素直か!」
灰原は先輩に好かれるタイプだろう。もちろんいい意味でだ。表裏が少なく素直。少し犬っぽいところがあるが、まあそれも可愛さだろう。
きっかけは知らないが、夏油を慕っていることを公言している。
「七海くんはハーフ?」
「クウォーターです。母方の祖父がデンマーク人なので」
「デンマークってーとヨーロッパか」
「北欧です」
当たらない。
中学の真面目に受けてもいない授業の内容など1年経たずに抜け落ちているものだ。
「大堰先輩は、後輩も君付けで呼ぶ人ですか?」
「別にそんなこともねえけど、なんつーか、初対面から呼び捨てするより感じがいい気がすんじゃん?」
五条や夏油にも初めは敬称を付けていたが、速攻で呼び捨てになったことを思い出した。
「呼び捨てでもいいですよ!なんなら雄でも!」
「んじゃ、雄な。呼びやすくていいな。
七海くんは?健人っつったら怒る?」
「怒りはしませんけど、大堰先輩って結構気安い人なんですね」
柄が悪いとか口が悪いとかはよく言われるが、気安いとは初めて言われたかもしれない。
褒められてはいないだろうが、自身に対する悪意の無い評価は嬉しいものだ。
「その先輩ってのやめようぜ、世那でいいよ」
「はい、世那さん!炒飯とか頼んでもいいですか!?」
「どーぞー」
食べ盛りの学生3人、机から溢れるほど頼んだ料理はものの30分で完食された。