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2005年12月

「あんなこと言ってよかったの?」

「あー、ま、いんじゃねえか?」

五条、夏油と別行動に移る前、大堰は2人にこう言った。

『ついでに呪霊も探してこいよ。応援に引き継ぐにしろ情報はあるに越したこたあねえ。
但し、戦闘しにいくんじゃねえぞ。あくまでついでだ。本分を忘れたら承知しねえからな』

「あのクズどもが忘れないと思うか?」

「忘れねえでくれるとありがてえなあ」

生存者が全員回収できりゃそれでいいんだけど。

予定通り、集合住宅のエントランスに治療拠点となる結界を展開する。
20人強を収容することを想定した結界はそれなりの大きさになる。

「大丈夫か」

「うん?」

結界の状態を確認していた大堰は、不意にかけられた言葉を反芻し、頭を掻いた。

「大丈夫だよ。寧ろ悪かったな、急にブチ切れて、我ながらありえねえと思うわ」

「それは別にいいんだけどさ、なんかあった?」

五条の眼が見た通り、エントランス部分にも気を失った生存者が2名いた。怪我は特になく、気絶は呪力に当てられたためと考えられる。
まるまるとした黒い眼に見つめられ、大堰は然りげ無く顔を背けた。

「悟とは何もねえよ。
アレが術師としちゃ普通の考えだってのも分かってるし、理解はしてるつもりだ。
俺が割り切れてねえだけだ」

夏油の使い魔でもあるトカゲのような呪霊が結界の周りを自由に動き回る。
4級にランク付されるこの呪霊に戦闘能力はほぼ無い。ただ結界も壁として知覚できるため、呪力を遮断した結界の目印として配置された。

「端的に言うなら、オレが術師ってのを好かねえってだけだ」

「へー」

「相変わらずで」

重症者が運び込まれることを想定した処置の用意が完了。これにて本作戦における活動拠点の設営が完了した。

「興味がないから聞かないけどさ、ブチギレてるときの大堰の顔は結構好きだった」

「なんだそりゃ」

「世那ーとりあえず5人連れてきたよ」

マンタのような呪霊に人を乗せた五条と夏油が降りてきたことによりこの奇妙な会話は幕を閉じた。

「怪我人は?」

「軽症2名、転んだかなんかの擦り傷だけだよ。
…それと、呪霊によると思われる怪死体が1体見つかったよ」

「そう…」
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