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2005年6月


「なんで入学遅れたの?」

「あー、交通手段が分断されたから?」

教室での顔合わせもそこそこにジャージに着替えた4人は校庭に出た。

「オレの住んでたとこさ、ちっせえ村で元々交通手段なんざ大してねえんだわ。それが冬になっと雪が凄くてなあ、道がなくなる」

「それは凄い」

「さみいだけよ?
本当だったら雪が降る前にこっちに出て来る予定だったんだけどなあ、まあ、色々あってコレよ」

こっちはあったけえな…

いくら東京と言えどまだ春先、気温は十分低いはずだが、日向に腰掛ける大堰は妙に薄着だ。

「世那ー!お前はこっちだ!!」

「うへー…家入さんは?」

「私は後方支援だから。硝子でいいよ」

「世那でいーよー
オレもこーほー支援がいいよー…」

夜蛾の怒声に渋々ながらも立ち上がる大堰は軽薄な見た目程不真面目では無いらしい。

ダラダラと校庭に降りていくと、先に組手をしていた2人が手を止めた。
術式なし、呪具使用不可。つまり、純粋な体術訓練と言うことらしい。

「悟と世那で組め」

「どうぞお手柔らかに」

「手加減とか面倒なことしねえから」

向かい合う五条に比べて低い身長。
細身の体躯は凡そ体術向きには見えない。

「始めっ!!」

夜蛾の掛け声と共に先に動いたのは五条だった。

リーチの長い足から繰り出された蹴りは大堰に軽くかわされる。
続いて低い姿勢から迫る拳を五条は最小限の動きでかわす。

精密な動きで攻める五条と軽業師の様な動きでいなす大堰。
型は違えど通常の組手が行われている。

…ように見えた。
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