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2005年7月

「甲斐さーん、終わったー腹減ったー」

任務完了を確認した補助監督官の仕事は多い。
生存者の保護と場合によっては搬送の手配。
犠牲者が出れば形式上警察を呼び報告義務がある。
また、任務にあたっていた術師が学生である場合はその送迎も仕事に含まれる。
要するに忙しいのだ。

「おーお疲れさん、無事だな」

「うっす」

甲斐に撫でられた大堰の雰囲気が分かりやすく華やいだ。

「どこ行きたいんだ?」

「ど、「ファミレス!」…らしい」

「ファミレス知らねえとか信じらんねえわ」

「悟だって最近まで知らなかったじゃないか」

「世那が住んでたところはだいぶ田舎だったからな」

「コンビニが徒歩で行けるって素晴らしい」

車に乗り込んでからも盛り上がる学生たちに自然と口角が上がる。

「あの、先程の方ですよね、随分と雰囲気が違うような」

「そういや甲斐さん、口調戻ってんよ」

「まあいいだろ。上下関係どうこうってわけじゃないが、周りの大人がみんなして遜ってんのなんざキモいだろ」

不自然だとか奇妙だとか他に言いようがあると思うのだが、キモいの一言で片付けてよいものか。

「あーそうだ、世那」

「んあ?」

「俺らのこと無駄に呼んだから世那の奢りな」

「はあ?!呼んでねえし。つか、そんな金ねえわ」

「ははは、いいよ、世那に友達が出来た記念だ。出してやるよ」

「いや、それは…てか、いらん事言わんでくれ!」

後部座席と助手席とで器用に騒ぐ2人を喧しくも微笑ましく眺めていた甲斐は、ルームミラー越しに夏油と目があった。
困った様に眉を下げて笑っているが、彼は彼なりに楽しんでいる様に見えた。

「五条くんと夏油くんだったよな?
今年の一年は粒揃いだと聞いているよ。
よければ世那とも仲良くしてやってくれよ」
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