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愚者の王冠

『NEXT Re:vale!今夜の企画は?!』

『NEXTブレイクアーティストの発掘だよ』

「セーフ!」

「うるさい!」

いつもはリモコンの取り合いをする妹とも1週間に一度休戦する日が今日、NEXT Re:valeの放送日だった。
いつもはお風呂上がりにやる宿題も今日だけは帰宅後すぐにやることにしている。

『モモはインディーズにも詳しいよね』

『昔はライブハウスに通ってたからね!
そんなモモちゃんのイチオシの子たちだよ!』

じゃん!とモモくんの掛け声と共にスタジオのモニターに映し出されたのは変わった形の3つの仮面だった。

「え?何これ?」

『あのねー紹介用に宣材写真を下さいって送ったらコレがきたの。誰かわかんないじゃん!
ユキなんて笑いすぎてコメントできないんだけど?!』

『まさかの…仮面だけって』

『爆笑してるダーリンもイケメン!』

一瞬仕込みなのかと思ったけど、どうやら本物らしい。
並んだ仮面は仮面舞踏会などをイメージするような、顔の一部を隠すような形をしていた。

『みんなはクラウンって知ってる?
最近RabbiTubeで話題になってるグループなんだけど』

『この間MEZZO"くんたちのラジオでも取り上げられてたね』

『そうなの!モモちゃん不覚にも遅れをとってしまったのです!
でもでも、今回はみんなにダンスもお届けするからね!』

「ねえ、あんたRabbiTubeやってなかった?」

「待って今検索かけてるから!」

さすが天下のRe:vale。名前を出しただけでサーバー落ちしそうな勢いだ。

『まずはちゃんと紹介しなきゃだよね!』

ゴソゴソとセットの奥からモモくんがフリップを持ち出すと、ユキさんがスチャッとメガネをかけた。

「え、やばマジでイケメン」

『ダーリンイケメン!』

『うん。知ってる。クラウンの紹介をするんでしょ』

『え、ユキがするんじゃないの?』

『モモだよ』

『うっそ!そんなメガネまで持ち出したのに?!』

『似合うでしょ』

いつもの事だけど何を見せられてるんだろう。
かっこいいからいいんだけどさ。
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