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( 起きてたでしょ )
部屋のカーテンは昨夜しっかり締め切ったと思っていた。
なのにカーテンの間には少しだけ隙間があって、そこから容赦なく差し込む朝の光が眩しくて目を覚ました。重たい瞼を上げてぼんやりと部屋を眺める。
徐々にはっきりしてきた視界の先には、自分のものではない、すらりと伸びた手。頭の下の違和感で、誰か腕を枕にして寝ていたことに気付く。
誰かなんて、一人しかいないんだけど。
昨夜、レノは突然連絡も無しに私の部屋を訪れた。会ったのは久しぶりで、私もずっと会いたくて。
お互いに溜まりに溜まっていた情欲をぶつけるかのような熱すぎる夜を過ごした。
いつ寝たのかなんて覚えてない。きっと、情事を終え気を失うと同時に眠りについたんだろう。今何も身に着けていないのがその証拠。彼は私を後ろから抱き込みながら寝息を立てている。
ふと、目の前にあるレノの右手が気になって、自分の左手をそっと上に重ねた。
ゆっくり滑らすようにその手を開いてピッタリ合わしてみる。私より大きいのに、ごつごつし過ぎてなくてしなやかな手。大好きだな、この手。
するり、と指の間に自身の指を絡ませながら、やんわりと握って、少しだけ、昨夜の事を思い出す。彼は時折、手を握りながら果てることがある。それは昨夜も同じで。あの時の彼の劣情に満ちた目を思い出して、思わず身体が疼いてしまう。
この疼きを紛らわしたくて、レノの手の平を指の腹で少し荒めに掻くと、ピクっと指が動いた気がした。普段から眠りが浅い人だから起きたかな?だけどそれ以上の反応は無い。これくらいでは起きないのか、今度は指のラインに沿って、優しく撫でるように指先を滑らすと、突然、ガシ、と手を掴まれた。
「…なぁ」
後ろから気だるげな声が聞こえて、後ろを振り向こうとしたけど彼の空いている左手が私の腹部をホールドしていて動けない。素肌が直接当たって、恥ずかしさが込み上げてきた。
「レノ、お、おはよ…」
「ん…何?誘ってんのか、と」
私の腰回りを彼の指がするりと這って、ゾクっと体が反応した。乳房に触れるか触れないかギリギリの場所を指で優しく撫でられる。起きたばかりとは思えないいやらしい触れ方に、思わず湿った声が漏れた。これは絶対、最初から起きてたな。
「んん…っ」
「朝っぱらからやらしーな、お前」
グルン、と後ろにいたはずのレノが体制を変えて上に覆いかぶさる。彼の燃えるような赤い髪がサラリと頬を掠めて、その先に見えた意地悪気に細めている彼の瞳に、きゅんと胸が高鳴った。どうやら、スイッチが、入ってしまったようで。
「昨夜、散々しましたけど…?」
「俺は、まだ足りないぞ、と」
「うそでしょ…」
「それに、こーんなやらしい撫で方してきてよ…」
さっき、私が寝ているレノの手にしていたように、指先で私の手の平を撫で上げる。ちょっと、私、そんなにいやらしくしてない。筆で撫でられているような官能的な触れ方に、自分の手が全身の性感帯になったんじゃないかと思うほど興奮する。時折、爪で指の間を刺激してくると、ビリっと体にまた、電流が走った。
「ふ…んっ」
「ほら、これでも、その気が無いなんて、言えんのか?」
その聞き方は、意地悪だ。
手を愛撫されて、こんなに興奮してしまうなんて初めてだけれど、相変わらずニヤニヤと笑って私を見下ろしているレノに、最早逆らえる気がしない。
「一回、だけだよ?」
「お前が途中で気、失わなきゃな、と」
朝っぱらから激しいのは勘弁してほしい。と思いながらも、こうなったレノを止めることなんて私にはできないから、頑張るね、とだけ言って、彼に身を任せた。
最初から、私もスイッチが入ってたなんて、今更言えないんだけれど。