✲ FF7 Short story ✲
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(Poppy love)
彼との出会いは私が22歳の時。 彼は17歳だった。
神羅の秘書課内の人事異動でまさかの私が社長秘書に大抜擢されて、社長室に挨拶に向かった時、社長から息子だと紹介されたのが最初。
お父様によく似たブロンドの髪に透き通る青い瞳の彼は、まだ十代と思えぬ美しさで思わず見惚れてしまったのをよく覚えている。
とても17歳の少年とは思えない紳士的な振る舞いで、私の手の甲にキスをした時の彼は本当に格好良いとしか言いようが無かった。
それからというもの、彼はことあるごとに私に甘い言葉を囁いてきたのだ。
今日も美しい、から始まり、年下は嫌いか?とかいつもナナシのこと考えてる、とか。
その他にも言われたけど沢山すぎて覚えてない。
でも私は年上へのお世辞の一つだと思って、すべて受け流していた。
彼が長期出張でミッドガルを離れた、と聞いた時も、「必ず会いに行く」なんてメッセージカードを添えた花束を贈ってくれて、さすがに胸がときめいてしまったけど気にしないようにしていた。
本当は、期待して後失望するのが怖かった、ていうのもある。
だって、どれだけ甘い言葉を投げられても、肝心な言葉を聞いてないんだから仕方ないじゃない。
そもそも、相手は若くて素敵な副社長様だし、こんなおばさん相手にされるわけないんだけど。
しかし初めて会った日から13年たったある日、神羅史上最大の事件が起こった。
私が離れている間に、殉職した筈の英雄セフィロスに社長が殺されたのだ。
私は少しでもその場を離れてしまった責任を取って、秘書課だけでなく会社すらいられなくなった。
ナナシは明日で退職することになった為、夜遅くまでデスクの荷物をまとめていた。
「はぁ、これからどうしよっかな。」
こないだ実家の母にいい加減いい人見つけて結婚しろって電話で言われたしな。
田舎の実家に帰って婚活もありなのかな。
「こんな行き遅れ女を誰が貰ってくれるんだっつーの!」
「ふっ、俺が貰う気でいたが?」
自分以外誰もいないはずのオフィスで、急に声が聞こえて慌てて振り向く。
するとそこには、今まで忘れたくても忘れるはずもなかった人、ルーファウスが立っていて、ナナシは驚きを隠せなかった。
久しく見ない間にまた男らしさが増して、また見惚れてしまいそうになる。
「副社長…どうしてここに…」
「もう、社長になったんだがな。」
「あ…失礼致しました、社長…」
「必ず会いに行く、と言っただろう?ナナシ。」
本気だったんだ、あれ。
久しぶりに聞いた彼の優しい声にどこか安心する。
困ったな、会えただけでこんなに嬉しくなるとは。
知らない間に彼の存在が大きくなっていたことに今更気づいて、思わず苦笑いをする。
「…社長、申し訳ありません。お父様のこと、お守りできなくて」
「ナナシが悪いとは思っていない。むしろ、その場にいなくて良かった。」
ナナシが死んでしまったらそれこそ耐えられない。と社長が優しく言ってくれて、いい歳して涙が出そうになってしまった。
「ふふ…お優しいですね。」
「そうか?」
「えぇ、昔からそう、いつも気にかけてくださってました。」
「それは、ナナシだからなんだけどな。」
「またまた、おばさんにお世辞言っても何も出ませんよ?」
「…俺は昔からずっと本気だったんだがな」
「…はい?」
意外な言葉に耳を疑っていると、突然社長は私の腰に素早く手を回し抱き寄せてきた。
待って、何その色気。腰が抜けそうになる。
年下の癖にスマートすぎるんだけど!
「13年も口説き続けたんだ。いい加減落ちてくれないか?」
あぁ、もう。
この透き通るブルーの瞳に間近で見つめられたら、もう年齢だとか、立場とか、そんなことどうでもよくなる。
「愛してる、ナナシ。」
更に色気を増した甘い囁きに、心まで溶けてしまいそうな程酔いしれた。
もはや彼に抗う事なんて不可能だったのだと、ゆっくり近づく彼の唇に大人しく身を委ねた。
(もう、落ちるしかないみたいです。社長。)
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