✲ FF7 Short story ✲
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( Crazy girl )
私の彼氏は可愛い。
可愛い、なんて言ったら不機嫌になるのは分かってるんだけど。
もうホントに、たまんないの。
***
「ありがとうございましたー!」
場所はかつて巨大都市として栄えたミッドガルに寄り添う形で存在しているエッジと呼ばれる街。
この街に住む人たちの憩いの場として建てられたバー「セブンスヘブン」から、明るい声が響いた。
声の主である私は一通り客がはけたのを確認して、ふぅと一息つきながら店じまいを始める。
その様子を見ていたこの店の店主、ティファが優しく声をかけてくれた。
「ナナシが手伝ってくれてホントに助かったわ。」
「いえいえ、ティファの為ならお安い御用だよ~」
「ふふ、ありがとう」
あと少しだからもうゆっくりしててと、ティファが言ってくれたので素直に甘えてカウンターに腰を掛けさせてもらう。
普段はティファ一人で回せるのだが、忙しくなる時だけこうして私が手伝いに来ている。
それに、今日は久しぶりにあいつが帰ってくるし。
ここで待ちたいと思っていたから都合がいい。
その瞬間、ピンっと私の中の何かが反応した。
「………くる……!」
「え?何がなの?ナナシ」
ティファが不思議そうに私を見ていたその時、ガチャっと店の入り口ドアが開いて、私はカウンターから飛び出した。
「おっっっかえりー!!クラウドーー!」
「ナナシ……ただいま……」
入った瞬間、力いっぱいに抱き着かれたクラウドは嫌そうな顔をしているが特に驚く様子もなく静かに返事をした。
傍から見ると異様な光景をティファは呆れ顔で見つめていた。
「ほんと、ナナシのクラウドセンサーはさすがね…」
「クラウドのことなら何でもわかるよ!エッジの外にいてもどこにいるかわかると思う!」
「さすがにそれは無いだろ。…いい加減に離れてくれ、中に入れない。」
素っ気なく引き剥がされて、えーーーっと名残惜しそうに文句を言う。
久しぶりのクラウドをもうちょっと堪能したかったのに!
するりと私の横をすり抜けて、クラウドはティファの方に歩いていき、カウンターに座ることもしないまま静かに声を掛けた。
「ティファ、もう店は終わりか?」
「もう片付けも終わるところよ。」
「じゃあ、こいつを連れてってもいいか」
「…ん?こいつって私?」
「ええ、大丈夫よ」
どうぞどうぞ、とティファが言ったのと同時に、クラウドは行くぞ、と言って素早く私の手を引いて外に歩き出した。
どこに行くのか告げられないまま向かった先は店から歩いてすぐの所にある私の家だった。
***
家の鍵を開けて部屋に入るなり、クラウドにぎゅっと強く抱きしめられる。
おぉ、クラウドったら大胆!
久しぶりの恋人の抱擁に喜びを感じながら、自分もクラウドの背に手を回すと、更に抱きしめる力が増して、思わず身じろぎしてしまった。
それを感じたクラウドはすぐに体を離して、申しなさげに眉を下げて私の顔を伺ってきた。
「わるい、痛かったか?」
「え?痛くないよ。クラウドなら目に入れても痛くない自信ある!」
「…普通に痛いからやめとけ。」
私の冗談にため息をついた後、今度は優しく抱きしめて、コツンと私の肩に頭を乗せるクラウド。
金色の柔らかい髪が首を撫でて、何とも擽ったい。
いつもだったら彼からこんなことされた時には悲鳴を上げて喜びの舞でもかます所なのだが、今日はどうもいつもと様子が違うので止めておく。
「……なんか、あった?」
「…いや、少し、疲れただけだ」
「そっか、お疲れ様。」
まだ23歳にも関わらず数えきれない程の経験をしてきたクラウドの抱えるものは膨大すぎて、時折こうしてどうしようもない感情を整理できず苛まれる時がある。
そんな時は深く聞かず、ただひたすらクラウドを抱きしめて、私が傍にいる、一人じゃない、と実感させるのだ。
今回もクラウドを抱きしめ合う事で彼の心が落ち着くのを待つ。
するとしばらくして、クラウド体勢を変えないまま言葉を発し始めた。
「すまない…ナナシ。」
「ぜーんぜん、頼ってもらえて、嬉しいよ。」
「ナナシといると、安心する。」
「ヒエ·····!クラウドがデレてる·····!」
「で·····?」
クラウドは私の言葉の意味がわからず首を傾げている。
良かった、ちょっと元気になったみたいだ。
役に立てたと嬉しくて、へへ、と照れ笑いすると、クラウドも少し笑って私の頭を撫でてくれた。
「いつもありがとな。ナナシが傍に居てくれて良かった。」
「ううん!こんなんで良ければずーーっとお傍にいますから!いやいさせてください!」
「…そのやかましいのを少しでも落ち着かせてくれると助かるが」
え!無理!
クラウド見ちゃうと愛が溢れて止まらないんだもん。
あ!その困った顔も可愛い!好き!
どうやったらこの愛を落ち着かせられるのかうーんと考えていたら、顎を掬われ不意打ちで唇を奪われた。
一瞬の出来事に頭が追い付かず目をぱちくりさせていると、目の前のクラウドは余裕の顔でこう言った。
「やかましいナナシも可愛くて好きだけどな。」
その時のクラウドが超絶カッコよくて、辛うじて存在していた私の理性は綺麗に吹っ飛んでしまい勢いよく彼の胸に抱き着いた。
「クラウドぉーーーー!大好きーー!!!」
「…やっぱり少し落ち着いてくれ……」
(うちの彼氏、ほんとたまんないでしょ!)
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