Pearl番外編
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( カフェタイム )
「ねぇねぇ、あの人カッコよくない?」
「わ、ホントだ。どこの部署の人かなー」
数いる神羅社員の憩いの場であるカフェテラスを歩いていると、ある女性社員が話している声が偶然耳に入った。
黄色い声で楽しげにしている女性社員の視線の先に自分も目を向けると、気だるげに椅子に座って携帯を弄っている赤毛の男。
スラリと伸びた足を組んでコーヒーを飲んでいる姿は様になっているし、男なのに色気も醸し出していて、女性達の目を引いてしまうのも頷ける。
「彼女、いるのかなー?」
すみません。私なんです。
一応、彼の仕事のこともあって関係は親しい人以外には秘密にしているから、大きな声では言えないけど。
だから、こういう場面に出会ってしまったら、少しだけ不安な気持ちになる。
神羅の女性社員は美人が多いから、すぐレノも心変わりしてしまうのではないだろうか、なんて考えてしまったり。あぁ、イヤだ。
するとそんな不安を煽るかのように、さっきの女性社員は早速レノに声を掛けていて、私は遠目で少し慌ててしまった。
女性社員に声をかけられたレノは、最初は彼女達に目を合わすが、すぐに携帯に目を向け、適当な返事をしているように見える。
·····あ。目が合った。
遠目とはいえ見すぎていたか、レノはこちらに気づいた途端ニヤリと笑って、その場にいる女性社員などまるで居なかったかのように無視してこちらに向かってきた。
さっきまで騒がれてた張本人が突然前にきて思わずドキドキしてしまった。
「ナナシ〜そんなとこから見つめんなよ照れんだろ」
「ちょ、レノ!こんなとこで話しかけたら目立つ·····!」
「あ?話しかけるくらいフツーだろフツー」
あああ、さっきの女性社員がこっちを睨んでる·····
でも、レノがそんな女性社員達を気にもとめずに私の元へ真っ直ぐ来てくれたのは、ちょっと気分が良かったかな。
なんて考えちゃって、逞しくなったんだか意地悪くなっただけなのか、何だかよくわからななってははっと笑ってしまった。
それを見たレノが訝しげにこちらを見ていた。
「何笑ってんだよ、変な奴だな、と」
「や、私も変わったなーって思って」
「は?意味わかんねぇ」
こんな歪んだ女心、わからなくていいよ。
頭に?を浮かべて首を傾げているレノが、余計に可笑しかった。
分からないのが嫌なのか、バカにされてると勘違いしたのか、レノが仕返しとばかりに私の両頬をぐにぐにと弄ぶ。い、痛い·····!
「あ、ナナシ、今日も仕事遅くなんのか?」
「今日は会議用の資料集めだけだからいつもよりは早いかも。」
「おっけ、迎えにいくぞ、と」
「うん、待ってるね」
ふっと優しく笑みを浮かべたレノは私の頭を軽く撫でてから、持っていたコーヒーをやる、と渡して軽やかに去っていった。
飲みかけもらってもと困ったけど、よく見たらそれは空。ゴミ渡すな!!
まぁでも、時々こうやって意地悪をしてくるのは彼の機嫌が良い証拠で。
調子がいいならいいか、と許してしまう。
付き合うようになっても、関係を隠している私達の社内デート場所はやっぱりいつものベンチで。
今日は来てくれるのか、と嬉しくなった私は、さっきまで不安になっていたことなんてすっかり忘れて、少しでも早く仕事を終わらすため足早にオフィスへ歩いていった。
(ところで、あの女の子達と何話してたの?)
(彼女いるのか聞かれたから、世界一可愛い彼女がいるって答えたぞ、と)
(·····ホントに隠す気ある?)
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