* SS集 (鬼滅) *
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(派手派手なキミ)
キメ学に通う女の子達はみんな可愛い。
そんじょそこらの学校より圧倒的にレベルが高い。
毎朝嫌々ながらも門前で真面目に風紀の仕事をこなすのは、確実に目の保養を得られるからだ。
今日も俺は、校則違反をしている生徒がいないかチェックをしながら登校してくるキラキラした女子達を眺める。あ〜幸せだなぁ〜
あの人さえ絡んでこなきゃ、もっと最高なのに。
「今日も真面目に励んでるねぇ〜ぜーんちゃん!」
「げっ!」
あああやっぱりきた!ヘラヘラとしながら誰よりも近い距離で挨拶をしてくるこの人が、俺は苦手だ。
苦手を全面に出した返事をしても尚、彼女は余裕の笑みを浮かべている。
「先輩に向かってげっとは頂けないなぁ〜!」
「あのね、先輩いつも近すぎるんですよ!ソーシャルディタンスって知ってます?!」
今日も今日とてべったりくっついてこられて、他の女子なら飛んで喜ぶのにこの人のスキンシップはどうしても喜べない。それにはちょっとした理由がある。
「先輩、髪明るすぎますよ!スカートも短いしピアスもしてるし、今日もがっつり校則違反!」
「えーこれでも抑えた方なんだけどな。お兄ちゃんには『もっとド派手にやれ!』って言われたし」
「あんのクソ美術教師…!」
イライラとしながら脳内であのド派手な教師を思い浮かべる。あの人ホントに教師の自覚ある?!
適当なこと吹き込むせいでこっちがいちいち振り回されるんですけど!
先輩も先輩でお兄ちゃんの言うことは大体正しいって全部真に受けるし。誰か、この兄妹にガツンと言ってくれませんか。二人して顔が良いのがまたムカつく。
それに先輩の髪、綺麗な黒髪だったのにもったいな…じゃない。何考えてんの俺。
「とっとにかく、早く髪色戻してくださいよ!」
「はーーい、あーあ、残念」
「派手にしたいなら他でやってもらえます?」
「ううん、そうじゃなくって」
「?」
キョトンとする俺に先輩はふふっと微笑む。そして、すっと伸びた細い手が俺の短い髪の毛をひと房掬った。
「善逸と一緒の色だからお気に入りだったんだけどな」
「〜〜っ!!」
至近距離からの天使の微笑みに、不意打ちをくらった俺の顔はぼわっと燃えるように熱くなる。
バクバクと激しく心臓が鳴って、声にならない声で叫ぶと先輩は至極満足した様子で手を離した。サラリと俺と同じ金髪が頬を擽る。
「すぐには戻せそうにないからそれは多めに見て〜!」
そう言って、手をヒラヒラさせながら先輩は軽やかに校舎の中へと歩み出す。
太陽の光に反射した長い髪がキラキラと輝いて思わず見蕩れてしまった。
「あーもう、だから苦手なんだ!冨岡先生に見つかって追いかけられろ!」
吐き捨てた毒は届くことなく、自由奔放な彼女にいつも心を掻き乱されてしばらく機能できなくなる毎日。これに慣れるまで、いくら時間を費やせばいいんだろう。
そんな事を言いながら俺はまた、彼女の派手な姿を目で追ってしまう。