【長編】境界を越えて、 君に会いにいく。
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第33話
巨大な腕が石を掴み、装甲の擦れる音が壁の上まで響いてくる。砕けた石片が落ちるたび、下から上がる蒸気と土埃の匂いが風に混じった。
オリアナは息を詰める。
その背後で、閃光が走った。
エレンが巨人化し、爆ぜた蒸気が一瞬で街の空気を白く染める。鎧が反応し、壁上でこちらへ向けていた体を、エレンの方へ向き直した。
狙い通りだった。
鎧は壁から滑り降り、そのままエレンを追って落ちていく。壁から離れるために、エレンは瓦礫の街の中央へ向かって走った。
二体の巨人が、崩れた街へ突っ込む。
エレンの巨体が街の中央で止まった。
その正面から、鎧の巨人が迫ってくる。
重い足音が石畳を割り、瓦礫を踏み潰しながら、一直線に距離を詰めてきた。
エレンが拳を構える。
鎧が腕を振る。
衝突。空気が揺れた。
拳と装甲がぶつかる音が、街の奥まで響く。
エレンの拳が鎧の肩を打ち、硬質化した白い結晶が拳に集中した瞬間、衝撃に耐えきれなかった装甲がひび割れた。
だが倒れない。
鎧はすぐに体勢を立て直し、腕を回してエレンの胴を掴もうとする。エレンはそれをかわし、瓦礫を蹴って距離をずらした。
拳を振る。またぶつかる。
オリアナは屋根の端で軌道を調整した。
まだ撃てない。近すぎる。
タイミングを誤れば、エレンごと吹き飛ばす。
周囲の兵も同じだった。
誰も雷槍を撃たず、屋根や壁面に散ったまま、巨人同士の動きを見ている。
エレンの拳がもう一度、鎧の胸へ入る。
硬質化の衝撃で装甲が砕け、白い破片が煙の中へ飛び散った。鎧の巨体が、わずかに体勢を崩す。
次の瞬間。
鎧の腕が、エレンの足首を掴んだ。
「っ……!」
巨体が持ち上がる。
エレンの体が地面へ叩きつけられ、石畳が砕けた。衝撃で近くの建物の壁が崩れ、砂煙が一気に立ち上がる。
鎧の拳が振り下ろされる。エレンは倒れた姿勢のまま体をひねってかわし、その腕を鎧の腕に絡めた。
そのまま締め上げる。
巨体が横へ投げ飛ばされた。鎧は地面を転がり、瓦礫を巻き込みながらようやく止まる。
そして。
膝をついた。
その瞬間、ハンジの声が裂けた。
「今だ!!」
ミカサとハンジが最初に動いた。
黒い軌道が一直線に走り、雷槍が鎧の目へ突き刺さる。
爆発。
煙が弾けた。
鎧の巨人が絶叫し、視界を奪われた巨体が大きく揺れる。
「撃て!!」
兵たちが一斉に飛び込む。
オリアナもアンカーを撃ち込み、鎧の背後へ回り込んだ。風が耳元で裂け、煙の中から覗く項だけが視界の中心に残る。
項。そこへ狙いを合わせる。
——ほんの一瞬。
脳裏に浮かぶ。
訓練兵団の朝。
整列する背中。
誰より声が通る男。
ライナーの声。
オリアナは瞬きした。
指はもう引き金に掛かっている。
撃つ。
雷槍が飛ぶ。
他の兵の雷槍と重なり、爆発が鎧の項を包んだ。
装甲が剥がれ、煙が裂ける。
「やっ……やったぞ」
ジャンの声が震える。
「効果ありだ!!項の鎧が剥がれかけてる!!」
ハンジが叫ぶ。
「もう一度だ!!雷槍を撃ち込んで止めを刺せ!!」
再び斉射。
爆発が重なり、煙の中で鎧の項が大きく裂けた。
その奥から、ライナーの体が露出する。
頭部が吹き飛んでいた。
「やったぞ!!頭を吹っ飛ばした!!」
兵の声が上がる。
「鎧の巨人を仕留めたぞ!!」
歓声が重なる。
その横で。
サシャとコニーが膝をついていた。
肩が震え、二人の顔は涙で歪んでいる。
オリアナは目を逸らした。
ジャンが二人の胸ぐらを掴む。
「何泣いてんだてめぇら!?」
声が怒鳴りというより、割れていた。
「泣くな!!俺たちが殺したんだぞ!?」
そのときだった。
鎧の巨人が叫んだ。
頭を失っているはずの巨体が、なお声を絞り出す。音になりきらない咆哮が、瓦礫の街に低く響いた。
オリアナの背を、冷たいものが走った。
異様だった。
首がない。それでも巨体が動いている。
まだ終わっていない。
ハンジが叫ぶ。
「雷槍を撃ち込め!!」
「こうなったら体ごと全部吹き飛ばすぞ!!」
兵たちが再び雷槍を構える。
その瞬間。
アルミンの声が街を裂いた。
「ダメです!!ライナーから離れてください!!」
「え!?」
アルミンが空を指差した。
「上です!!」
声が震える。
「上から超大型が降ってきます!!ここは丸ごと吹き飛びます!!」
ハンジの顔が一瞬で変わる。
「クソッ!!全員鎧の巨人から離れろ!!」
兵たちが一斉に散った。ワイヤーが飛び、屋根と街路へ軌道がばらける。
オリアナも鎧から距離を取るため、近くの屋根へ向けて飛んだ。
その視界の端。
空の高い場所で、何かが割れた。
樽。
いや。
中から人影が飛び出していた。
「ライナアアアア!!」
声が街を震わせる。
オリアナの体が、一瞬だけ止まる。
——あの声。
長い手足。
あの背格好。
(……ベルトルト)
胸の奥が強く打った。
そして。
戦場の空気が、さらに冷えた。
兵は屋根から屋根へ移動し、十分な距離を取った位置でようやく止まった。遠くで鎧の蒸気が細く上がり、崩れた街の中に白く滲んでいる。
しばらくして。
人影が立体機動でこちらに向かってきた。
その隙を、モブリットの声が裂いた。
「目標前方より接近!!ベルトルトです!!」
すぐにハンジの指示が飛ぶ。
「リヴァイ班はアルミン指揮の下、エレンを守れ!!」
「その他の者は全員で目標二体を仕留める!!」
「鎧に止めを刺せ!!超大型巨人は作戦通り!!力を使わせて消耗させろ!!」
兵たちが動き出す。
だが、その中で一人だけ前へ出た。
アルミンだった。
「待って下さい!!」
声が響く。
兵たちの軌道が、ほんの一瞬だけ止まる。
「これが最後の交渉のチャンスなんです!!」
アルミンはそのまま飛び出した。
屋根を越える。
瓦礫を越える。
ベルトルトの前で止まる。
「ベルトルト!!そこで止まれ!!」
風が吹く。
オリアナは別の屋根へ移動しながら、その光景を見ていた。
遠い。だが、声は届く。
アルミンが息を吸い込む。
そして叫んだ。
「ベルトルト!!話をしよう!!」
短い沈黙。
次の瞬間。
ベルトルトの声が街へ落ちた。
「話をしたら!!全員死んでくれるか!?」
オリアナの足が、一瞬だけ止まった。
耳が熱くなる。
その声は、よく知っている声だった。
優しくて。
いつも少し遠慮がちで。
人を傷つけることを、怖がっているように聞こえた声。
その声が、続く。
「僕たちの要求はわずか二つ!!」
風が瓦礫を転がす。
「エレンの引き渡しと!!」
そこで言葉が切れる。
「壁中人類の死滅!!」
胸の奥で、何かが砕けた。
オリアナは屋根の上で立ち尽くした。
(……彼が)
呼吸が浅くなる。
(私たちの死を……、望んでいる)
アルミンが叫ぶ。
「だ、誰が!!そんなことを決めた!?」
ベルトルトが何か言った。
だが、そこだけ風がさらった。
聞こえない。
次の言葉だけが、はっきり届く。
「僕が決めた!!君たちの人生はここで終わりだ!!」
胃の奥が軋んだ。
残っていたものが、音もなく潰れる。
(……彼は、本当に……)
その先を、最後まで考えたくなかった。
胸の奥に沈んでいた声が蘇る。
——悪魔の末裔。
オリアナは目を閉じた。
(……悪魔は……あなたじゃない……)
オリアナは視線を前へ戻した。
鎧はまだ倒れている。
まだ終わっていない。
オリアナは屋根を蹴った。
ワイヤーが伸び、次の屋根へ飛ぶ。
その間も、背後ではアルミンの声とベルトルトの声が続いていた。
だが、もう言葉までは届かない。
風に切れて、断片だけが耳に残る。
オリアナは振り返らない。
前を見る。瓦礫の街。
鎧の巨体が、少しずつ近づいてくる。
屋根を越える。
煙の向こうで、誰かが叫んだ気がした。
直後、視界の端で空が白く弾けた。
遅れて、爆発。
空気が叩きつけてくる。
衝撃が全身を走り、街が崩れた。
屋根が砕け、石が弾け、音が一瞬で遠のく。
オリアナの体が宙へ投げ出された。
ワイヤーが引き裂かれる。
視界が回る。
空。
瓦礫。
炎。
肺から息が全部抜けた。
体が何かに叩きつけられる。
骨が軋む。
視界が暗く揺れる。
誰かが叫んでいる。
声が遠い。
世界がゆっくり傾いていく。
その中で、最後に耳に残ったのは。
ベルトルトの声だった。
そして。
オリアナの意識は、そこで落ちた。
…To be continued
終わりを告げる声
オリアナの視界の下で、鎧の巨人が壁へ手を掛けていた。巨大な腕が石を掴み、装甲の擦れる音が壁の上まで響いてくる。砕けた石片が落ちるたび、下から上がる蒸気と土埃の匂いが風に混じった。
オリアナは息を詰める。
その背後で、閃光が走った。
エレンが巨人化し、爆ぜた蒸気が一瞬で街の空気を白く染める。鎧が反応し、壁上でこちらへ向けていた体を、エレンの方へ向き直した。
狙い通りだった。
鎧は壁から滑り降り、そのままエレンを追って落ちていく。壁から離れるために、エレンは瓦礫の街の中央へ向かって走った。
二体の巨人が、崩れた街へ突っ込む。
エレンの巨体が街の中央で止まった。
その正面から、鎧の巨人が迫ってくる。
重い足音が石畳を割り、瓦礫を踏み潰しながら、一直線に距離を詰めてきた。
エレンが拳を構える。
鎧が腕を振る。
衝突。空気が揺れた。
拳と装甲がぶつかる音が、街の奥まで響く。
エレンの拳が鎧の肩を打ち、硬質化した白い結晶が拳に集中した瞬間、衝撃に耐えきれなかった装甲がひび割れた。
だが倒れない。
鎧はすぐに体勢を立て直し、腕を回してエレンの胴を掴もうとする。エレンはそれをかわし、瓦礫を蹴って距離をずらした。
拳を振る。またぶつかる。
オリアナは屋根の端で軌道を調整した。
まだ撃てない。近すぎる。
タイミングを誤れば、エレンごと吹き飛ばす。
周囲の兵も同じだった。
誰も雷槍を撃たず、屋根や壁面に散ったまま、巨人同士の動きを見ている。
エレンの拳がもう一度、鎧の胸へ入る。
硬質化の衝撃で装甲が砕け、白い破片が煙の中へ飛び散った。鎧の巨体が、わずかに体勢を崩す。
次の瞬間。
鎧の腕が、エレンの足首を掴んだ。
「っ……!」
巨体が持ち上がる。
エレンの体が地面へ叩きつけられ、石畳が砕けた。衝撃で近くの建物の壁が崩れ、砂煙が一気に立ち上がる。
鎧の拳が振り下ろされる。エレンは倒れた姿勢のまま体をひねってかわし、その腕を鎧の腕に絡めた。
そのまま締め上げる。
巨体が横へ投げ飛ばされた。鎧は地面を転がり、瓦礫を巻き込みながらようやく止まる。
そして。
膝をついた。
その瞬間、ハンジの声が裂けた。
「今だ!!」
ミカサとハンジが最初に動いた。
黒い軌道が一直線に走り、雷槍が鎧の目へ突き刺さる。
爆発。
煙が弾けた。
鎧の巨人が絶叫し、視界を奪われた巨体が大きく揺れる。
「撃て!!」
兵たちが一斉に飛び込む。
オリアナもアンカーを撃ち込み、鎧の背後へ回り込んだ。風が耳元で裂け、煙の中から覗く項だけが視界の中心に残る。
項。そこへ狙いを合わせる。
——ほんの一瞬。
脳裏に浮かぶ。
訓練兵団の朝。
整列する背中。
誰より声が通る男。
ライナーの声。
オリアナは瞬きした。
指はもう引き金に掛かっている。
撃つ。
雷槍が飛ぶ。
他の兵の雷槍と重なり、爆発が鎧の項を包んだ。
装甲が剥がれ、煙が裂ける。
「やっ……やったぞ」
ジャンの声が震える。
「効果ありだ!!項の鎧が剥がれかけてる!!」
ハンジが叫ぶ。
「もう一度だ!!雷槍を撃ち込んで止めを刺せ!!」
再び斉射。
爆発が重なり、煙の中で鎧の項が大きく裂けた。
その奥から、ライナーの体が露出する。
頭部が吹き飛んでいた。
「やったぞ!!頭を吹っ飛ばした!!」
兵の声が上がる。
「鎧の巨人を仕留めたぞ!!」
歓声が重なる。
その横で。
サシャとコニーが膝をついていた。
肩が震え、二人の顔は涙で歪んでいる。
オリアナは目を逸らした。
ジャンが二人の胸ぐらを掴む。
「何泣いてんだてめぇら!?」
声が怒鳴りというより、割れていた。
「泣くな!!俺たちが殺したんだぞ!?」
そのときだった。
鎧の巨人が叫んだ。
頭を失っているはずの巨体が、なお声を絞り出す。音になりきらない咆哮が、瓦礫の街に低く響いた。
オリアナの背を、冷たいものが走った。
異様だった。
首がない。それでも巨体が動いている。
まだ終わっていない。
ハンジが叫ぶ。
「雷槍を撃ち込め!!」
「こうなったら体ごと全部吹き飛ばすぞ!!」
兵たちが再び雷槍を構える。
その瞬間。
アルミンの声が街を裂いた。
「ダメです!!ライナーから離れてください!!」
「え!?」
アルミンが空を指差した。
「上です!!」
声が震える。
「上から超大型が降ってきます!!ここは丸ごと吹き飛びます!!」
ハンジの顔が一瞬で変わる。
「クソッ!!全員鎧の巨人から離れろ!!」
兵たちが一斉に散った。ワイヤーが飛び、屋根と街路へ軌道がばらける。
オリアナも鎧から距離を取るため、近くの屋根へ向けて飛んだ。
その視界の端。
空の高い場所で、何かが割れた。
樽。
いや。
中から人影が飛び出していた。
「ライナアアアア!!」
声が街を震わせる。
オリアナの体が、一瞬だけ止まる。
——あの声。
長い手足。
あの背格好。
(……ベルトルト)
胸の奥が強く打った。
そして。
戦場の空気が、さらに冷えた。
兵は屋根から屋根へ移動し、十分な距離を取った位置でようやく止まった。遠くで鎧の蒸気が細く上がり、崩れた街の中に白く滲んでいる。
しばらくして。
人影が立体機動でこちらに向かってきた。
その隙を、モブリットの声が裂いた。
「目標前方より接近!!ベルトルトです!!」
すぐにハンジの指示が飛ぶ。
「リヴァイ班はアルミン指揮の下、エレンを守れ!!」
「その他の者は全員で目標二体を仕留める!!」
「鎧に止めを刺せ!!超大型巨人は作戦通り!!力を使わせて消耗させろ!!」
兵たちが動き出す。
だが、その中で一人だけ前へ出た。
アルミンだった。
「待って下さい!!」
声が響く。
兵たちの軌道が、ほんの一瞬だけ止まる。
「これが最後の交渉のチャンスなんです!!」
アルミンはそのまま飛び出した。
屋根を越える。
瓦礫を越える。
ベルトルトの前で止まる。
「ベルトルト!!そこで止まれ!!」
風が吹く。
オリアナは別の屋根へ移動しながら、その光景を見ていた。
遠い。だが、声は届く。
アルミンが息を吸い込む。
そして叫んだ。
「ベルトルト!!話をしよう!!」
短い沈黙。
次の瞬間。
ベルトルトの声が街へ落ちた。
「話をしたら!!全員死んでくれるか!?」
オリアナの足が、一瞬だけ止まった。
耳が熱くなる。
その声は、よく知っている声だった。
優しくて。
いつも少し遠慮がちで。
人を傷つけることを、怖がっているように聞こえた声。
その声が、続く。
「僕たちの要求はわずか二つ!!」
風が瓦礫を転がす。
「エレンの引き渡しと!!」
そこで言葉が切れる。
「壁中人類の死滅!!」
胸の奥で、何かが砕けた。
オリアナは屋根の上で立ち尽くした。
(……彼が)
呼吸が浅くなる。
(私たちの死を……、望んでいる)
アルミンが叫ぶ。
「だ、誰が!!そんなことを決めた!?」
ベルトルトが何か言った。
だが、そこだけ風がさらった。
聞こえない。
次の言葉だけが、はっきり届く。
「僕が決めた!!君たちの人生はここで終わりだ!!」
胃の奥が軋んだ。
残っていたものが、音もなく潰れる。
(……彼は、本当に……)
その先を、最後まで考えたくなかった。
胸の奥に沈んでいた声が蘇る。
——悪魔の末裔。
オリアナは目を閉じた。
(……悪魔は……あなたじゃない……)
オリアナは視線を前へ戻した。
鎧はまだ倒れている。
まだ終わっていない。
オリアナは屋根を蹴った。
ワイヤーが伸び、次の屋根へ飛ぶ。
その間も、背後ではアルミンの声とベルトルトの声が続いていた。
だが、もう言葉までは届かない。
風に切れて、断片だけが耳に残る。
オリアナは振り返らない。
前を見る。瓦礫の街。
鎧の巨体が、少しずつ近づいてくる。
屋根を越える。
煙の向こうで、誰かが叫んだ気がした。
直後、視界の端で空が白く弾けた。
遅れて、爆発。
空気が叩きつけてくる。
衝撃が全身を走り、街が崩れた。
屋根が砕け、石が弾け、音が一瞬で遠のく。
オリアナの体が宙へ投げ出された。
ワイヤーが引き裂かれる。
視界が回る。
空。
瓦礫。
炎。
肺から息が全部抜けた。
体が何かに叩きつけられる。
骨が軋む。
視界が暗く揺れる。
誰かが叫んでいる。
声が遠い。
世界がゆっくり傾いていく。
その中で、最後に耳に残ったのは。
ベルトルトの声だった。
そして。
オリアナの意識は、そこで落ちた。
…To be continued