Story.05≪Chapter.1-5≫
今のエンドルと6時限目のエクセリオンが言った通り、通信が出来ないと確定される何かがないのならば、通信による援護要請は無駄ではない筈。
それなのにミシェルがそう感じたのは、同級生達の戦力や事情と、自身や敵との相性によるモノだった。
「あんたが戦った事のある2年生はほんの僅かだから知らねぇ部分があると思うが、四王座の一人のエクセリオンが持ってる属性は地と鋼。頭脳戦が得意なんだがリアンの属性は風みてぇだから、どんな策があっても相性との関係で押されちまう。同じく四王座のステファニーは、風に強い氷属性を持ってるけどそいつはどちらかというと回復寄りだ」
「ステファニーが成績優秀者だって事は知ってたけど、エクセリオンもかぁ…。けど属性の相性が悪い人がいても、その二人をサポートとして付けるとしたら…」
「サポート扱いしても厳しいだろうな。向こうはこっちの情報不足を知って、あえて道化会の事を喋ったんだと思う。…“力”に自信があるとしたら、ますますやべぇ事になるんじゃねぇか?」
リアンはセロンの封殺術を、他人の助けを求めずに短時間で打ち破った。
“剣帝”と呼ばれる人物に対してそこまで対抗出来るという事は、どれだけの生徒や教職員を呼んでも実力だけで押されてしまうのは、一度戦ったミシェルがよく感じていた。
彼女は一応、風属性に強い氷属性を所持してはいるものの、今のままでは勝機は遥かに薄い。
「それだけ、リアンっていうヒトは強いのね…」
「道化会のボスの代行者、っていうだけあるのは確かだな。今の俺らじゃ奴らの本拠地を見つけても…」
「まだ分からんのか愚民共!!」
これでは早期解決は難しいと思った時、左の方から男性の叫び声が聞こえた。
3人が足を止めてその方向に視線を向けた先は、考古学者や冒険家達が遺跡調査の為によく訪れる施設―≪エクスプローラーギルド≫であり、出入口前には多くの人が集まっていた。
「学院や神子様を襲った犯人がいるかもしれないからって、遺跡の出入口を全部封鎖する事はねぇだろ!!」
「犯人が捕まるまでっていつなんですか!?こっちは早く調査のレポートを完成させないといけないのに!!」
「あの遺跡はまだ未知の部分がたくさんあるんだ!しかも中には、一国を壊滅させたって言われる程の武器が深く眠っているっていう情報がある!それを犯人の手に渡らせない為にも、その真意の確認だけさせてくれ!!」
今日の学業が終わった後、エリザベートはすぐさまエクセリオンの案に従って父親にアイドライズの遺跡の封鎖を求めていた。
その結果、やはり調査に参加する者達から多くの抗議が飛び交っていた様だ。
これらのクレームは誰が処理しているのか、ミシェル達は気になって隙間から覗き込むと、金髪のショートカットに青い瞳、そして白を基調とした高貴な存在を思わせる様な服装を纏った40代の男性が苛立っていた。
「そんなデタラメな情報をこの私に言い放ち、調査の許可を得ると思っていたか!道化会の会員として持ち場に戻りたいだけなのだろう?」
「ちげーよ!!俺は別に学院に恨みなんか持っちゃいねぇ!!」
「お願いしますアロガント様!ほんの1時間だけで良いんです!遺跡の出入りの許可を!自分は道化会の会員の証を所持しておりません!」
「会員ではない証拠もなかろう?ならばその要求には応えられんな」
男性の正体は、このアイドライズを統べる有力貴族の一人、アロガント・F・ビューティリスだった。
ミシェルは彼の娘であるエリザベートとの不仲が原因で何かしら言われるかもしれないと思い、リヴマージとエンドルに神殿へ向かうよう促す。
「俺とリヴとエンドルは、遺跡封鎖に関しては何も触れてねぇ。さっさと帰るぞ」
「エクスプローラーギルドはあのままで良いのかい?」
「…あのオッサンと今の冒険家達に見つかると面倒臭ぇんだ。リヴも捕まると色々とマズい」
「え?う、うん。そうね…」
アイドライズを守る神子も、現在は遺跡調査を阻む厄介な存在だと言われる可能性も否定出来ない。
それに人だかりの中に道化会の会員が混ざっているかもしれないので、ミシェル達3人は彼らに見つからない様に≪エクスプローラーギルド≫を通り過ぎ、速やかに≪ワーシップ≫の神殿へと向かって行ったのだった…。
それなのにミシェルがそう感じたのは、同級生達の戦力や事情と、自身や敵との相性によるモノだった。
「あんたが戦った事のある2年生はほんの僅かだから知らねぇ部分があると思うが、四王座の一人のエクセリオンが持ってる属性は地と鋼。頭脳戦が得意なんだがリアンの属性は風みてぇだから、どんな策があっても相性との関係で押されちまう。同じく四王座のステファニーは、風に強い氷属性を持ってるけどそいつはどちらかというと回復寄りだ」
「ステファニーが成績優秀者だって事は知ってたけど、エクセリオンもかぁ…。けど属性の相性が悪い人がいても、その二人をサポートとして付けるとしたら…」
「サポート扱いしても厳しいだろうな。向こうはこっちの情報不足を知って、あえて道化会の事を喋ったんだと思う。…“力”に自信があるとしたら、ますますやべぇ事になるんじゃねぇか?」
リアンはセロンの封殺術を、他人の助けを求めずに短時間で打ち破った。
“剣帝”と呼ばれる人物に対してそこまで対抗出来るという事は、どれだけの生徒や教職員を呼んでも実力だけで押されてしまうのは、一度戦ったミシェルがよく感じていた。
彼女は一応、風属性に強い氷属性を所持してはいるものの、今のままでは勝機は遥かに薄い。
「それだけ、リアンっていうヒトは強いのね…」
「道化会のボスの代行者、っていうだけあるのは確かだな。今の俺らじゃ奴らの本拠地を見つけても…」
「まだ分からんのか愚民共!!」
これでは早期解決は難しいと思った時、左の方から男性の叫び声が聞こえた。
3人が足を止めてその方向に視線を向けた先は、考古学者や冒険家達が遺跡調査の為によく訪れる施設―≪エクスプローラーギルド≫であり、出入口前には多くの人が集まっていた。
「学院や神子様を襲った犯人がいるかもしれないからって、遺跡の出入口を全部封鎖する事はねぇだろ!!」
「犯人が捕まるまでっていつなんですか!?こっちは早く調査のレポートを完成させないといけないのに!!」
「あの遺跡はまだ未知の部分がたくさんあるんだ!しかも中には、一国を壊滅させたって言われる程の武器が深く眠っているっていう情報がある!それを犯人の手に渡らせない為にも、その真意の確認だけさせてくれ!!」
今日の学業が終わった後、エリザベートはすぐさまエクセリオンの案に従って父親にアイドライズの遺跡の封鎖を求めていた。
その結果、やはり調査に参加する者達から多くの抗議が飛び交っていた様だ。
これらのクレームは誰が処理しているのか、ミシェル達は気になって隙間から覗き込むと、金髪のショートカットに青い瞳、そして白を基調とした高貴な存在を思わせる様な服装を纏った40代の男性が苛立っていた。
「そんなデタラメな情報をこの私に言い放ち、調査の許可を得ると思っていたか!道化会の会員として持ち場に戻りたいだけなのだろう?」
「ちげーよ!!俺は別に学院に恨みなんか持っちゃいねぇ!!」
「お願いしますアロガント様!ほんの1時間だけで良いんです!遺跡の出入りの許可を!自分は道化会の会員の証を所持しておりません!」
「会員ではない証拠もなかろう?ならばその要求には応えられんな」
男性の正体は、このアイドライズを統べる有力貴族の一人、アロガント・F・ビューティリスだった。
ミシェルは彼の娘であるエリザベートとの不仲が原因で何かしら言われるかもしれないと思い、リヴマージとエンドルに神殿へ向かうよう促す。
「俺とリヴとエンドルは、遺跡封鎖に関しては何も触れてねぇ。さっさと帰るぞ」
「エクスプローラーギルドはあのままで良いのかい?」
「…あのオッサンと今の冒険家達に見つかると面倒臭ぇんだ。リヴも捕まると色々とマズい」
「え?う、うん。そうね…」
アイドライズを守る神子も、現在は遺跡調査を阻む厄介な存在だと言われる可能性も否定出来ない。
それに人だかりの中に道化会の会員が混ざっているかもしれないので、ミシェル達3人は彼らに見つからない様に≪エクスプローラーギルド≫を通り過ぎ、速やかに≪ワーシップ≫の神殿へと向かって行ったのだった…。