Story.03≪Chapter.1-3≫
3年生を守る為に2階に残ったユリアンとステファニーとアンナも、後に聖冥諸島の脅威となるであろう存在だと考えている為、セロンの話に耳を傾ける。
彼もそれが目的でこの教室に入ったので、全員がこちらに目を向けているのを確認してから話し始める。
「君達は、バックドラフト・カウンターっていう魔法を知っているかい?」
「炎属性の上級魔法ですね」
最初の問いに答えたのはエクセリオン、それを聞いてレヴィンとカイザー、ステファニーと云った四王座が反応を見せた。
≪バックドラフト・カウンター≫とは、このサクレイド学院で学ぶ事の出来る魔法の一つだが、上級と言われる程のコントロールが難しい補助魔法の一種として挙げられる。
それを発動するにはまず防御態勢の状態で魔力を集中し、相手が接近して攻撃を仕掛けたと同時に中規模の爆発を起こす。
補助魔法にカテゴリーされながらもダメージを与える事が出来るのだが、あまりに近すぎると術者自身も巻き込まれる。
これが理由で最終学年である3年生の生徒も使いこなす者はおらず、レヴィンもこの魔法の行使に苦労しているとミシェルは聞いた事がある。
「けどそれ、接近戦用だろ?俺の銃撃は関係ねぇし」
「これだけ聞いてればね。……でもそれを派生させた独自魔法だったら、話は変わる」
間接攻撃の多いカルロスにとっては無意味かと思いきや、セロンの後半の一言で生徒達は真剣な表情になった。
独自魔法という言葉(ワード)は、この学院だと基本魔法をベースとして生徒が技術力と魔力を駆使し、その人物だけが使うオリジナルの魔法を編み出すという意味を示すが、外を出ればプロの魔導師や傭兵、更には各国の軍人もそういう風に利用する姿がよく見られる。
つまりグラウンドにいた“粛正の炎”が行使してもおかしくはない、という事になる。
「独自魔法ねぇ…」
「“粛正の炎”が最後に放った炎は、“反撃(カウンター)”の効果が含まれてるってか?」
「んー、それはちょっと違うね」
ミシェルの答えにセロンが考える仕草をしながら否定すると、エクセリオンは確信を持って答える。
「“反撃(カウンター)”でなければ、“反射(リフレクト)”の類ですね」
「ご名答」
これにセロンが頷くと、聞いていたカルロスが「うわぁ…」と苦い顔をした。
間接攻撃を得意とする者にとって、“反射(リフレクト)”の効果が含まれる技や魔法を相手が行使するのは非常に厄介なのだ。
特に連続して発砲、尚且つ広範囲となれば自分だけでなく周囲の仲間にも巻き込まれる危険性を持ち合わせており、彼自身もそれを理解している。
これならウォルフがカルロスを止めたのも納得がいく上、リヴマージも危なかったと思わせる様に大きく息を吐いた。
「ただ単に撤退したワケじゃなかったのね…」
「面倒な事してくれるぜ…」
こちらの攻撃を許さず、確実に逃げられる手段を相手に使われたら、捕まえるどころか追跡も困難になるだろう。
「じゃあ、俺の攻撃が効かなかったのも、それを応用したって言うんですか?」
「それに関しては私は見ていないから、何とも言えないね」
レヴィンは≪ファイア・レイザー≫を放った時の事を振り返るが、その時はセロンがいなかったので答えは出ないままだった。
するとここで、カルロスが何かに気付いてカイザーに視線を送る。
「そういや、カイザーも風属性の魔法使えるんだったよな?」
「…それがどうした」
「電波が妨害された時でもよ、テレポートで学院の外に逃げれば良かったんじゃね?レヴィンとリヴを連れて」
彼はミシェル達と共に屋上でジャミングアーマーを停止させ、自らが≪テレポート≫を行使して一気にグラウンドまで移動した。
あの魔法は中級の基本魔法である為、風属性の魔法が使える上に高い戦闘能力を持つカイザーならば、たとえ学院内で通信出来なくとも一旦それで3人をまとめて外まで飛ばし、直前自警団や傭兵に助けを求めてから戻るという手段を取れた筈だ。
彼もそれが目的でこの教室に入ったので、全員がこちらに目を向けているのを確認してから話し始める。
「君達は、バックドラフト・カウンターっていう魔法を知っているかい?」
「炎属性の上級魔法ですね」
最初の問いに答えたのはエクセリオン、それを聞いてレヴィンとカイザー、ステファニーと云った四王座が反応を見せた。
≪バックドラフト・カウンター≫とは、このサクレイド学院で学ぶ事の出来る魔法の一つだが、上級と言われる程のコントロールが難しい補助魔法の一種として挙げられる。
それを発動するにはまず防御態勢の状態で魔力を集中し、相手が接近して攻撃を仕掛けたと同時に中規模の爆発を起こす。
補助魔法にカテゴリーされながらもダメージを与える事が出来るのだが、あまりに近すぎると術者自身も巻き込まれる。
これが理由で最終学年である3年生の生徒も使いこなす者はおらず、レヴィンもこの魔法の行使に苦労しているとミシェルは聞いた事がある。
「けどそれ、接近戦用だろ?俺の銃撃は関係ねぇし」
「これだけ聞いてればね。……でもそれを派生させた独自魔法だったら、話は変わる」
間接攻撃の多いカルロスにとっては無意味かと思いきや、セロンの後半の一言で生徒達は真剣な表情になった。
独自魔法という言葉(ワード)は、この学院だと基本魔法をベースとして生徒が技術力と魔力を駆使し、その人物だけが使うオリジナルの魔法を編み出すという意味を示すが、外を出ればプロの魔導師や傭兵、更には各国の軍人もそういう風に利用する姿がよく見られる。
つまりグラウンドにいた“粛正の炎”が行使してもおかしくはない、という事になる。
「独自魔法ねぇ…」
「“粛正の炎”が最後に放った炎は、“反撃(カウンター)”の効果が含まれてるってか?」
「んー、それはちょっと違うね」
ミシェルの答えにセロンが考える仕草をしながら否定すると、エクセリオンは確信を持って答える。
「“反撃(カウンター)”でなければ、“反射(リフレクト)”の類ですね」
「ご名答」
これにセロンが頷くと、聞いていたカルロスが「うわぁ…」と苦い顔をした。
間接攻撃を得意とする者にとって、“反射(リフレクト)”の効果が含まれる技や魔法を相手が行使するのは非常に厄介なのだ。
特に連続して発砲、尚且つ広範囲となれば自分だけでなく周囲の仲間にも巻き込まれる危険性を持ち合わせており、彼自身もそれを理解している。
これならウォルフがカルロスを止めたのも納得がいく上、リヴマージも危なかったと思わせる様に大きく息を吐いた。
「ただ単に撤退したワケじゃなかったのね…」
「面倒な事してくれるぜ…」
こちらの攻撃を許さず、確実に逃げられる手段を相手に使われたら、捕まえるどころか追跡も困難になるだろう。
「じゃあ、俺の攻撃が効かなかったのも、それを応用したって言うんですか?」
「それに関しては私は見ていないから、何とも言えないね」
レヴィンは≪ファイア・レイザー≫を放った時の事を振り返るが、その時はセロンがいなかったので答えは出ないままだった。
するとここで、カルロスが何かに気付いてカイザーに視線を送る。
「そういや、カイザーも風属性の魔法使えるんだったよな?」
「…それがどうした」
「電波が妨害された時でもよ、テレポートで学院の外に逃げれば良かったんじゃね?レヴィンとリヴを連れて」
彼はミシェル達と共に屋上でジャミングアーマーを停止させ、自らが≪テレポート≫を行使して一気にグラウンドまで移動した。
あの魔法は中級の基本魔法である為、風属性の魔法が使える上に高い戦闘能力を持つカイザーならば、たとえ学院内で通信出来なくとも一旦それで3人をまとめて外まで飛ばし、直前自警団や傭兵に助けを求めてから戻るという手段を取れた筈だ。