Story.02≪Chapter.1-2≫
☆☆☆
時刻は16時40分、グラウンドの芝生は大小の炎に包まれ、その中に多くの怪物達がレヴィンとカイザー、そしてリヴマージを囲い込む。
3人はそれぞれの武器を構え、荒げた息を整えながら相手の出方を窺う。
「こいつら…、一体何体いるんだ…!」
怪物達の奥にいる、髑髏の仮面を被った人物が現れてから30分以上の戦闘を強いられ、魔力のみならず体力も消耗している。
リヴマージの補助(サポート)もあって大した傷は負っていないが、こちら側の援軍は来ぬまま。
「消耗戦狙いなら、もう少し強めのヤツを用意すりゃ良いんじゃねぇのか?」
「カイザー…?」
疲労を隠すかの様に無表情を保たせるカイザーの挑発に、レヴィンはその意味が分からずにいる。
この場に現れた怪物達は、人型から変貌する光景こそ驚きはあったが、ここまで10体倒し、残すは髑髏の仮面を被った人物との間に5体と、横と背後を取り囲む様に配置された20体。
ただ単に戦うだけとなると大した事はないものの、こちらはリヴマージを守りながら討伐している。
ここから脱出する為の活路を開こうとしても、髑髏の仮面を被った人物による炎属性の魔法により行く手を阻まれている。
一見こちらが優勢に見えるが、敵の狙いが神子のみとなれば、こういった戦況は返って追い込まれやすく、下手に挑発すれば一気に不利に傾いてしまうからだ。
「……その女は言った。『自分の身を守れる“力”を身に付けたい』…とな」
すると髑髏の仮面を被った人物がレヴィン達に語り掛け、腕を組みながらリヴマージに視線を送る。
「それがどうした…?」
「これまで男二人に癒しの効果を持つ歌と防御術ばかり与え、自らは攻撃を仕掛けぬ」
「…どういう意味よ」
グラウンドでの戦いを振り返る様な言葉に、彼女は≪ピースリード≫をギュッと握り締める。
「何故攻撃をしない?世界最高峰の軍事学院の生徒ならばこの程度の雑魚、恐るるに足らず。……経験のない実戦で死を恐れたか?」
不協和音の声から発する一言にレヴィンとカイザーはチラッとリヴマージに目を向け、動揺は見られないと確認すると再び髑髏の仮面を被った人物に戻す。
「それとも、ここで“力”を出せば何か都合の悪い事でも起こるのかな?」
「な、何でそんな事を言うのよ!都合が悪いワケないじゃないっ!」
予想外の問い掛けに、リヴマージは慌てながらも必死に否定する。
カイザーがもう一度彼女を見る一方、レヴィンは≪シャインエッジ≫を強く握りながら炎属性の魔力を集中する。
「たとえリヴが攻撃しなくても、リヴを殺そうとする奴は俺が倒す!」
黄色と白のグラデーションの刃が激しい炎に包まれた状態で、剣を思い切り振り上げる。
同時にカイザーも、≪ティアマット・エンペラー≫の黄金の刃の部分を上に掲げ、矛先から雷属性の魔力が溢れ始める。
「この程度の雑魚を使って囲ませた所で、俺らがくたばると思わねぇ事だ。サンダー・ストーム!!」
彼の叫びにより雷属性の魔力は天へと昇り、後に無数の稲妻が降り注いで25体の怪物達に何度も直撃する。
息の根はあっても当たっただけで感電して身動きが取れない所を見たレヴィンは、髑髏の仮面を被った人物に目掛けて≪シャインエッジ≫を勢いよく縦に振り下ろす。
「ファイアー・レイザー!!」
真っ直ぐに飛ばされた大きな炎の斬撃は、眼前の怪物達を焼き切りながらその人物に襲い掛かる。
すると直撃した影響で大きな爆発と煙を起こし、火の粉が僅かにこちらまで飛び散る中、効いたのかと思いながらそちらをじっと見つめる。
時刻は16時40分、グラウンドの芝生は大小の炎に包まれ、その中に多くの怪物達がレヴィンとカイザー、そしてリヴマージを囲い込む。
3人はそれぞれの武器を構え、荒げた息を整えながら相手の出方を窺う。
「こいつら…、一体何体いるんだ…!」
怪物達の奥にいる、髑髏の仮面を被った人物が現れてから30分以上の戦闘を強いられ、魔力のみならず体力も消耗している。
リヴマージの補助(サポート)もあって大した傷は負っていないが、こちら側の援軍は来ぬまま。
「消耗戦狙いなら、もう少し強めのヤツを用意すりゃ良いんじゃねぇのか?」
「カイザー…?」
疲労を隠すかの様に無表情を保たせるカイザーの挑発に、レヴィンはその意味が分からずにいる。
この場に現れた怪物達は、人型から変貌する光景こそ驚きはあったが、ここまで10体倒し、残すは髑髏の仮面を被った人物との間に5体と、横と背後を取り囲む様に配置された20体。
ただ単に戦うだけとなると大した事はないものの、こちらはリヴマージを守りながら討伐している。
ここから脱出する為の活路を開こうとしても、髑髏の仮面を被った人物による炎属性の魔法により行く手を阻まれている。
一見こちらが優勢に見えるが、敵の狙いが神子のみとなれば、こういった戦況は返って追い込まれやすく、下手に挑発すれば一気に不利に傾いてしまうからだ。
「……その女は言った。『自分の身を守れる“力”を身に付けたい』…とな」
すると髑髏の仮面を被った人物がレヴィン達に語り掛け、腕を組みながらリヴマージに視線を送る。
「それがどうした…?」
「これまで男二人に癒しの効果を持つ歌と防御術ばかり与え、自らは攻撃を仕掛けぬ」
「…どういう意味よ」
グラウンドでの戦いを振り返る様な言葉に、彼女は≪ピースリード≫をギュッと握り締める。
「何故攻撃をしない?世界最高峰の軍事学院の生徒ならばこの程度の雑魚、恐るるに足らず。……経験のない実戦で死を恐れたか?」
不協和音の声から発する一言にレヴィンとカイザーはチラッとリヴマージに目を向け、動揺は見られないと確認すると再び髑髏の仮面を被った人物に戻す。
「それとも、ここで“力”を出せば何か都合の悪い事でも起こるのかな?」
「な、何でそんな事を言うのよ!都合が悪いワケないじゃないっ!」
予想外の問い掛けに、リヴマージは慌てながらも必死に否定する。
カイザーがもう一度彼女を見る一方、レヴィンは≪シャインエッジ≫を強く握りながら炎属性の魔力を集中する。
「たとえリヴが攻撃しなくても、リヴを殺そうとする奴は俺が倒す!」
黄色と白のグラデーションの刃が激しい炎に包まれた状態で、剣を思い切り振り上げる。
同時にカイザーも、≪ティアマット・エンペラー≫の黄金の刃の部分を上に掲げ、矛先から雷属性の魔力が溢れ始める。
「この程度の雑魚を使って囲ませた所で、俺らがくたばると思わねぇ事だ。サンダー・ストーム!!」
彼の叫びにより雷属性の魔力は天へと昇り、後に無数の稲妻が降り注いで25体の怪物達に何度も直撃する。
息の根はあっても当たっただけで感電して身動きが取れない所を見たレヴィンは、髑髏の仮面を被った人物に目掛けて≪シャインエッジ≫を勢いよく縦に振り下ろす。
「ファイアー・レイザー!!」
真っ直ぐに飛ばされた大きな炎の斬撃は、眼前の怪物達を焼き切りながらその人物に襲い掛かる。
すると直撃した影響で大きな爆発と煙を起こし、火の粉が僅かにこちらまで飛び散る中、効いたのかと思いながらそちらをじっと見つめる。