Story.02≪Chapter.1-2≫

それに反応するかの様に細長い銃も彼に向けられ、その銃口から雷属性の魔力が溢れ始める。


「機械と言ったらコレだろ!!」


するとバーンがこげ茶を背景に金色のラインで囲い、長方形の真ん中に円があってその中に六芒星が描かれたカードを1枚取り出し、その裏面である黄色い背景に黒い稲妻のマークが描かれている方を前にして上に掲げる。


「エレメントカードの力をくらえ!!コール・サンダー!!」


彼が持つカード―≪エレメントカード≫が黄色く光ったと同時に、黒い機械の真上から雷が落ちて来た。
科学技術がどれ程進歩したとしても、雷属性の攻撃は機械に対して多大なダメージを与えると同時に障害(エラー)を起こす事が出来る。
たとえ巨大でも例外ではなく、あらゆる機能の停止も有り得るかと思いきや、黒い機械の銃口に魔力が消えず、むしろ増幅している。


「効いてねぇのかコイツっ!?」

「へぇ…」


まさかの出来事にバーンは驚き、カルロスは一度二丁拳銃に纏わせた風の魔力を消しながら右に移動する。
その間にエクセリオンは≪ブラウン・ガード≫を唱え、彼らにもクリアブラウンのシールドを包み込ませた。


「ミシェル、そいつの仕組みはどうなっている?」

「ちょっと待ってろよ…」


この現象には何らかの仕組みがあると見て、ミシェルは左に移動しながら黒い機械の背後に回り込む。


「カルロス、バーン。ミシェルの援護を頼む」

「おっしゃー!やってやるぜ!」


援護の意味を分かっているのか、呆れた目でバーンを見ながらもエクセリオンは次の魔法の準備に取り掛かる。
そうしている内に細長い銃のチャージが終わったのか、右腕がゆっくりと最初に攻撃を仕掛けたバーンに向けられる。


「…ピアシング・ショット…」


すると機械から左方向に小さな弾丸が2発放たれると、細長い銃口の一部がひしゃげて爆発し、電流が右腕の全体にまで広がっては次々と小さな爆発を起こしている。
その先にいたカルロスが予め装填した貫通性の高い弾丸を撃ち込み、相手の武器そのものの破壊に転じたのだろう。


『右腕(ライトアーム)が機能不全!右腕が機能不全!修復機能(リカバリーシステム)を起動…』

「おっと、そうはさせねぇぜ。凍刺撃(トウシゲキ)!!」


機械が何かしようとした矢先、ちょうどその背後にいたミシェルが氷の魔力を纏わせた≪斬蒼刀≫を横に振るい、それによって飛ばされた氷の針を金属部分に差し込んだ。
腹部まで貫通とまではいかないが、これにより盾と化した左腕が元の形に戻っていく。
しかし目の部分と赤紫の結晶に光は消えていない為、動きが停止したとは言い切れないのは誰の目にも明らかだ。
ミシェルは引き続き黒い機械を調べると、氷の針が刺さった位置よりも上、頭部よりも少し下に小さな丸いボタンを見つけた。
ただこのままでは届かない為、この事を他の3人に告げる。


「頭の下辺りにボタンがあった。押すには全然届かねぇから、足狙って良いか?」

「それが緊急停止用のスイッチであれば良いんだが…、今はそれに賭けるしかないか」


他に停止のきっかけとなりそうな部分が見つからない為、エクセリオンは彼女の案に「分かった」と了承した。
バーンも次の狙いが決まった所で、銀色に輝く≪セイバープロミネンス≫の持ち手の部分にあるスイッチを押し、赤いレーザー状の剣の刃を出現させる。


「足だな!任せとけ!」

「デカブツでも弱点さえ分かればこっちのモンだ。行くぜ」


カルロスは先程の攻撃で十分効いたと知ると、再び鋭く尖った貫通性の高い弾丸を5発ずつ二丁拳銃に装填し、笑みを浮かべながら構えた。


『4人の人類を危険人物と認定。これより破壊体制(デストロイドモード)に移行』


すると黒い機械は電流が走る右腕をそのまま黄金色に帯びた雷の剣へと形を変え、左腕は巨大な黒いハンマーへと変形した。
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