Prologue

☆☆☆

等間隔に設置された数々の小さな灯火が明かりとして怪しく照らす、薄暗い空間。
そこに仮面を装着し、フードを被り全身を覆う様に纏った黒いローブ姿の者達が多く集まり、後から眼前に一人の人物が現れた。
その者は白いフード付きのローブを全身に覆い、笑顔を見せるピエロを思わせる様な仮面を付けていた。
黒いローブを纏った者達はその人物に跪き、頭を深々と下げる。


「皆の衆よ、ついにこの時が来た」


ピエロの仮面を被った者は冷静に、そして誇らしげに多くの者達に語り掛け、後に集結させた目的を発する。


「分断戦争以降、我ら闇の勢力が占領し損ねたアイドライズの地に、代々神子が守護しているのは知っているな?」


黒いローブを纏った者達は言葉を発する事なく、静かに続きに耳を傾ける。


「我々の標的(ターゲット)は当代の神子、リヴマージ・C・クロムヘルだ。その女さえ仕留めれば、850年越しの悲願が達成する。この……聖冥諸島の制覇をな」


そこへピエロの仮面を被った者の隣に瞬時に現れたのは、炎を連想させる様に立たせた赤い髪に大きな赤いロングコートを纏い、鋭い目付きに犬歯が鋭く尖った髑髏の仮面を付けた人物。
目の前にいる者の言葉が現実と化そうと、黒いローブを纏った者達からざわつきの声が上がる。


「この日の為に我らクアトロ・レイドが情報を集め、会議を重ねた末の結論だ。サクレイド学院という名の箱庭で平和に浸っている内がチャンスではないか…とな」


髑髏の仮面の人物から発する不協和音の声は不気味さを通り越し、真実を語る神の様に聞こえてしまう。


「皆の者よ。分断戦争以来の闇の時代再来の為、我に従い、我らの邪魔をする者は全て粛清せよ」


黒いローブを纏った者達は、その人物の言葉の後に歓声が上がり、「万歳!万歳!」と何度も連呼していた。


「我に続け!“粛清の炎”の名の元に、あの忌まわしき神子に制裁を!」


“粛清の炎”と名乗る髑髏の仮面の人物の司令に了承の声が巻き起こり、その人物と黒いローブの者達は瞬時に姿を消した。
この場所に残されたのは、ピエロの様な仮面を被った者ただ一人。


「全ては聖冥諸島を我ら闇の勢力のモノにする為。そして……」


今回の計画の目的を一通り語る、その者の笑い声が木霊(こだま)していった…。


≪サクレイド学院≫に静かに迫る、“仮面”の闇の手はまだ誰も気付いていない。


そしてこの軍勢の行動が、ミシェル達の運命に変化が訪れる事は、誰一人知らずにいる…。


To be continued.
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