Story.07≪Chapter.1-7≫

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時刻は19時、≪ヘルマッド≫付近の森では多くの調査員達が入り、少し奥の方へ進むと急所を一突きに刺された二人の傭兵の遺体が発見された。
それぞれ自らの武器であろう剣と短剣が握られており、抵抗の痕跡も見られた。
アロガントからスライムコアの仕業ではないかとの報告を受け、その周辺を徹底的に捜索するが、それらしき痕跡は見当たらなかった。
これにより二人の傭兵を殺したのは、殺害に関する技術の高い人類である可能性が高いと結論付けられた…。

その様子を離れた位置で見ているのは、仮面を被った二人の人物だった。
一人は微笑みを象徴させる仮面を被った男―“創生の地”で、もう一人は目の部分が丸く空いて口は微笑む様に曲線を描き、左半分が青で右半分が赤の仮面を装着し、髪や肌は一切露出させない様に全身に黒いローブに覆われた者。


「“黒の砂地獄”、結局神子の殺害に失敗したらしいぜ」


“創生の地”は他の会員から受けた報告を、青と赤の仮面を装着した人物に伝えた。


「神子の側にはあの人もいる。その状況の中でこなすには彼女じゃ難しいだろうね」

「それでも命令したのかよ」

「今の神子はほとんどの島民達から神聖視されている。ただ単に死なせては我々の怒りが伝わらないだろうから、悪事に繋がる“証”を残せとも命じられた様だ」


青と赤の仮面を装着した人物は、“黒の砂地獄”に与えた抹殺任務は失敗するだろうと見越していた。
だからこそその者が重要視しているのは、神子や有力貴族が島民の見えない所で行った数々の暗躍。
これのせいでどれだけの民が幸福から絶望に突き落とされ、苦しんでいるのか。
その人物の話を聞いた時、“創生の地”も怒りを感じたのか両方の拳を強く握り締めていた。


「ああ、俺達の怒りな…。あの女のせいで俺とお前は…」

「今は言わなくて良い、“創生の地”。その言葉は、直接本人と会った時に」


この場でぶつけても意味がない、ある日突然絶望を味わう事になった自分達の怒りは必ず本人の前でぶつけると決めた時、“創生の地”が握る拳の力を緩めた。


「そろそろ“虚偽の水”の報告が来る頃だ。戻ろう」

「ああ。ちょうど今の生徒の実力がどんなモンか聞きたかったよ」


そうして仮面を被った二人の人物は、風に吹かれた複数の木の葉が舞ったと同時に姿を消した。


再び起こった≪サクレイド学院≫内での事件と、≪クロスラーン≫の地下道に潜んでいた道化会の会員による襲撃。


この二つの事件は、聖冥諸島の裏に隠された真実が明かされる予兆となるのか。


そう感じているのはほんの僅か、何も知らない島民達は翌朝になるまで普段通りの日常を過ごすだけ。


「学院長、疑わしい生徒に監視を付けてはいかがでしょう。スパイを炙り出す、確実な証拠を得る為に」


ウォルフがファウンダットに提示したこの案を機に、渦中に巻き込まれる人物がまた何人も増えていく。
当人の許しもなく、認識もなく強制的に…。


To be continued.
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