Story.07≪Chapter.1-7≫
しかしそれを見たエリザベートは止める様に彼の左手をそっと触れ、「私に任せて下さいな」と言った後に傭兵達の方に顔を向ける。
「今のでよぉく分かりましたわ。傷だらけの方はともかく、お前達二人はヒトの命を何とも思わない存在だと」
「はっ!それがどうした!」
「お前達は人類じゃない、魔物だと言ってますの」
確信を持った彼女の一言に、剣を持った傭兵と短剣を持った傭兵は拳銃を持った傭兵を離し、背中から灰色の半透明な液状の物質が飛び出した。
その二人の傭兵の身体が見る見ると同じ色の液体と化し、大きさは約1m、液体の中に赤い核が入ったモノが動いている。
「スライムコアか…」
「おいオッサン。遺跡に入る直前にヒトか魔物かどうかを調べたんだろうな?」
「5時間くらい前に調べたともっ!!その時はちゃんと“人類”だって言ってたからな!エクスプローラーギルドのマスターが!!」
灰色の半透明な液体―スライムコアは、魔物の中でも知能はある方でヒトの言葉を話す事が出来る数少ない魔物の一種。
厄介な所は赤い核から光を発して人類に変身する能力を持っており、見ただけで判断するのは難しい。
遺伝子検査さえすればすぐに判別が出来るのだが、こうも簡単に入られたという事は…、
「ここに、来る…2時間前……。あの人達は…、森で…薬草を……取る依頼が…あった、そうです……。もしかしたら…、その間に…」
「事情は後で聞きます!すぐに助けますから、もう喋らないで!」
どうやら拳銃を持った傭兵が本物の二人の事情を知っている様だが、喋る事すら苦労している。
それを見てリヴマージが、今は生きる事に専念して欲しいと必死に頼み込んだ。
するとその様子を見ていた“黒の砂地獄”が、微笑みながらレヴィン達6人に話し掛ける。
「どうやら本気でこの人を助けたいようね。だったら条件を言うわ」
人質を解放する条件、それは一体何なのかと緊張感のある空気を漂わせながらこう提示された。
「……リヴマージ・C・クロムヘル。貴様の命と引き換えに、この傭兵と交換してやる」
言葉遣いが女性らしさから強めの口調に変わり、“黒の砂地獄”の雰囲気も穏やかなモノから怒りを感じさせるモノに変わった。
レヴィンとエリザベートが目を見開きながら驚くリヴマージに視線が移動する一方、エンドルは溜め息を漏らしていた。
「そんな条件、彼女が呑むと思うかい?その傭兵が生きた状態で交換するとは言ってないじゃないか」
「…っ!何で貴方が口を挟むの?私は神子に聞いてるのよ」
その一言に“黒の砂地獄”は一瞬言葉を詰まらせたが、すぐさま持ち直すかの様にリヴマージに答えを促した。
対する彼女は一度拳銃を持った傭兵の状態を見て俯き、そして意を決して“黒の砂地獄”に目を向ける。
「……分かったわ。その代わり、傭兵さんを生きたまま返して」
「リヴ!?」
「大丈夫よ。私は死ぬつもりはないし、皆で生きて帰る気持ちは変わらないわ。…この場を切り抜ける方法を思い付いたの。黙って見てて」
リヴマージの決断にレヴィンは驚き、他の4人も衝撃を隠せないが、どうやら彼女なりの策があるらしい。
しかも誰も助けはいらないとの事で、彼とエンドルとエリザベートに心配そうな視線が送られる中、リヴマージはゆっくりと“黒の砂地獄”達の方に近付く。
「何をするつもりかは知らないが、貴様がここで死ぬ事に変わりはない」
「神子様…」
その姿に拳銃を持った傭兵は2体のスライムコアから離れ、痛みに耐えながら立ち上がる。
身体がゆらりと揺れ、今でもまた倒れそうな様子にリヴマージはエンドルを呼び、その人物を一番後ろにいるアロガントの所まで送るよう指示を送った。
「今のでよぉく分かりましたわ。傷だらけの方はともかく、お前達二人はヒトの命を何とも思わない存在だと」
「はっ!それがどうした!」
「お前達は人類じゃない、魔物だと言ってますの」
確信を持った彼女の一言に、剣を持った傭兵と短剣を持った傭兵は拳銃を持った傭兵を離し、背中から灰色の半透明な液状の物質が飛び出した。
その二人の傭兵の身体が見る見ると同じ色の液体と化し、大きさは約1m、液体の中に赤い核が入ったモノが動いている。
「スライムコアか…」
「おいオッサン。遺跡に入る直前にヒトか魔物かどうかを調べたんだろうな?」
「5時間くらい前に調べたともっ!!その時はちゃんと“人類”だって言ってたからな!エクスプローラーギルドのマスターが!!」
灰色の半透明な液体―スライムコアは、魔物の中でも知能はある方でヒトの言葉を話す事が出来る数少ない魔物の一種。
厄介な所は赤い核から光を発して人類に変身する能力を持っており、見ただけで判断するのは難しい。
遺伝子検査さえすればすぐに判別が出来るのだが、こうも簡単に入られたという事は…、
「ここに、来る…2時間前……。あの人達は…、森で…薬草を……取る依頼が…あった、そうです……。もしかしたら…、その間に…」
「事情は後で聞きます!すぐに助けますから、もう喋らないで!」
どうやら拳銃を持った傭兵が本物の二人の事情を知っている様だが、喋る事すら苦労している。
それを見てリヴマージが、今は生きる事に専念して欲しいと必死に頼み込んだ。
するとその様子を見ていた“黒の砂地獄”が、微笑みながらレヴィン達6人に話し掛ける。
「どうやら本気でこの人を助けたいようね。だったら条件を言うわ」
人質を解放する条件、それは一体何なのかと緊張感のある空気を漂わせながらこう提示された。
「……リヴマージ・C・クロムヘル。貴様の命と引き換えに、この傭兵と交換してやる」
言葉遣いが女性らしさから強めの口調に変わり、“黒の砂地獄”の雰囲気も穏やかなモノから怒りを感じさせるモノに変わった。
レヴィンとエリザベートが目を見開きながら驚くリヴマージに視線が移動する一方、エンドルは溜め息を漏らしていた。
「そんな条件、彼女が呑むと思うかい?その傭兵が生きた状態で交換するとは言ってないじゃないか」
「…っ!何で貴方が口を挟むの?私は神子に聞いてるのよ」
その一言に“黒の砂地獄”は一瞬言葉を詰まらせたが、すぐさま持ち直すかの様にリヴマージに答えを促した。
対する彼女は一度拳銃を持った傭兵の状態を見て俯き、そして意を決して“黒の砂地獄”に目を向ける。
「……分かったわ。その代わり、傭兵さんを生きたまま返して」
「リヴ!?」
「大丈夫よ。私は死ぬつもりはないし、皆で生きて帰る気持ちは変わらないわ。…この場を切り抜ける方法を思い付いたの。黙って見てて」
リヴマージの決断にレヴィンは驚き、他の4人も衝撃を隠せないが、どうやら彼女なりの策があるらしい。
しかも誰も助けはいらないとの事で、彼とエンドルとエリザベートに心配そうな視線が送られる中、リヴマージはゆっくりと“黒の砂地獄”達の方に近付く。
「何をするつもりかは知らないが、貴様がここで死ぬ事に変わりはない」
「神子様…」
その姿に拳銃を持った傭兵は2体のスライムコアから離れ、痛みに耐えながら立ち上がる。
身体がゆらりと揺れ、今でもまた倒れそうな様子にリヴマージはエンドルを呼び、その人物を一番後ろにいるアロガントの所まで送るよう指示を送った。