Story.07≪Chapter.1-7≫
だがその名を聞いた瞬間、扉を開けた途端に大量の砂が自分に押し寄せた事を思い出したアロガントは、顔を強張らせながら言い放つ。
「さっきの砂を2回も大量に放出したのは貴様か!?」
「ええ、そうよ。そこに神子がいたかと思ったから」
「1回目に狙われたのはアイドライズの統治者であるこの私、アロガント・F・ビューティリスなのだぞ!間違えたとはいえ正気か!?」
「あら、そうなの?……それはラッキー」
1回目の放出にアロガントが巻き込まれたのを知ると、“黒の砂地獄”は嬉しそうな反応を見せたその姿に、アロガントは叫ぶ。
「貴様…、私に何の恨みがある!?私は民を導いてきた有力貴族だぞ!!」
「ええ、そうね。……島民から集めた税金を他国に横流ししておきながらその地位を維持している。何てタチの悪い貴族なのかしら」
彼女の返答にアロガントは驚きのあまり目を見開き、他の5人はどういう事なのかと一斉に彼に視線を送った。
「なっ…、なっ何を言っているんだ貴様っ!そんな証拠何処にあるっ!?」
「証拠ねぇ…。提示しろって言われても今じゃもう不可能だわ。だって…、“横流しの調査をするな”って言ったのは神子の方だもの」
更なる衝撃な一言に、今度はほぼ全員がリヴマージへと視線が変わる。
「ちょっと何を言ってるの!?私、そんなの誰も話した事がない!」
「そ、そうですわ!リヴ様はアイドライズを守る立場ですけど、政治に関われる立場ではありませんもの!」
リヴマージは必死に“黒の砂地獄”の証言を全面的に否定し、エリザベートもうろたえながらも彼女が無実である事を告げた。
これは昨日の朝、ミシェルが対峙したリアンが神子を悪者扱いの如く発言をしていた時と同じような対話だ。
もしかしたら“黒の砂地獄”も、何者かにそう言い聞かされていたのではないだろうか。
レヴィンは緊張の面持ちで彼女に目を向け、質問を始める。
「その話、誰から聞いたんだ?」
「誰から?別に誰でもないわよ。私が道化会に入る前から自分でその情報を入手出来た。けどその過程がそこのアロガントにバレちゃってね…。今じゃ記者達の間で私はただの泥棒扱いよ」
「私にバレた…?貴様は私と何処かで会ったと言うのか?」
「そこまでは教えてあげなーい!けど私の条件を受け入れてくれたら、教えてあげても良いわ。お前達、出て来て良いわよ!」
彼とアロガントの問いに答えつつ、“黒の砂地獄”は振り向きながらその視線の先にいる“誰か”に声を掛けた。
言葉からして複数かと思った矢先、何と剣を持った傭兵と短剣を持った傭兵が傷だらけの拳銃を持った傭兵を引きずりながら彼女の側へ歩み寄った。
「なっ…!?お前達、これは一体どういう事だっ!?」
裏切り者が更に二人いた、まさかの展開にアロガントは驚きの声を上げた。
それに気付いたのか、拳銃を持った傭兵が意識が朦朧とする様子を見せながらもレヴィン達6人に視線を送る。
「申し…訳……ございま…せん…。彼らの…裏切りまで……、気付けなかった…」
事前に目の前の二人の素性を知り、神子や有力貴族に恥じない姿で合流したかったのか。
その人物の目には涙を浮かばせ、悔しそうに歯を食いしばっていた。
一方で剣を持った傭兵と短剣を持った傭兵は、そんな姿にクスクスと笑っていた。
「お前の絶望した演技、かなり良かったな」
「こういう時の為に一生懸命練習した甲斐があったぜ。神子達が沈み切ったのを見て、『ああ…!そんな…!!神子様…』ってな!あはははははっ!!」
自分達が下の階層に落ちている間に、傭兵達の間でそんな事があったとは。
しかも助けられなかった悲しみの演技を、今度は合流してからバカにした気持ちで再現していた。
その者達だけ蟻地獄に巻き込まれなかったのは、二人の仲間が人質を一人取る為に仕組んだモノだと知ると、レヴィンは剣を握っていない左の拳を強く握り締めた。
「さっきの砂を2回も大量に放出したのは貴様か!?」
「ええ、そうよ。そこに神子がいたかと思ったから」
「1回目に狙われたのはアイドライズの統治者であるこの私、アロガント・F・ビューティリスなのだぞ!間違えたとはいえ正気か!?」
「あら、そうなの?……それはラッキー」
1回目の放出にアロガントが巻き込まれたのを知ると、“黒の砂地獄”は嬉しそうな反応を見せたその姿に、アロガントは叫ぶ。
「貴様…、私に何の恨みがある!?私は民を導いてきた有力貴族だぞ!!」
「ええ、そうね。……島民から集めた税金を他国に横流ししておきながらその地位を維持している。何てタチの悪い貴族なのかしら」
彼女の返答にアロガントは驚きのあまり目を見開き、他の5人はどういう事なのかと一斉に彼に視線を送った。
「なっ…、なっ何を言っているんだ貴様っ!そんな証拠何処にあるっ!?」
「証拠ねぇ…。提示しろって言われても今じゃもう不可能だわ。だって…、“横流しの調査をするな”って言ったのは神子の方だもの」
更なる衝撃な一言に、今度はほぼ全員がリヴマージへと視線が変わる。
「ちょっと何を言ってるの!?私、そんなの誰も話した事がない!」
「そ、そうですわ!リヴ様はアイドライズを守る立場ですけど、政治に関われる立場ではありませんもの!」
リヴマージは必死に“黒の砂地獄”の証言を全面的に否定し、エリザベートもうろたえながらも彼女が無実である事を告げた。
これは昨日の朝、ミシェルが対峙したリアンが神子を悪者扱いの如く発言をしていた時と同じような対話だ。
もしかしたら“黒の砂地獄”も、何者かにそう言い聞かされていたのではないだろうか。
レヴィンは緊張の面持ちで彼女に目を向け、質問を始める。
「その話、誰から聞いたんだ?」
「誰から?別に誰でもないわよ。私が道化会に入る前から自分でその情報を入手出来た。けどその過程がそこのアロガントにバレちゃってね…。今じゃ記者達の間で私はただの泥棒扱いよ」
「私にバレた…?貴様は私と何処かで会ったと言うのか?」
「そこまでは教えてあげなーい!けど私の条件を受け入れてくれたら、教えてあげても良いわ。お前達、出て来て良いわよ!」
彼とアロガントの問いに答えつつ、“黒の砂地獄”は振り向きながらその視線の先にいる“誰か”に声を掛けた。
言葉からして複数かと思った矢先、何と剣を持った傭兵と短剣を持った傭兵が傷だらけの拳銃を持った傭兵を引きずりながら彼女の側へ歩み寄った。
「なっ…!?お前達、これは一体どういう事だっ!?」
裏切り者が更に二人いた、まさかの展開にアロガントは驚きの声を上げた。
それに気付いたのか、拳銃を持った傭兵が意識が朦朧とする様子を見せながらもレヴィン達6人に視線を送る。
「申し…訳……ございま…せん…。彼らの…裏切りまで……、気付けなかった…」
事前に目の前の二人の素性を知り、神子や有力貴族に恥じない姿で合流したかったのか。
その人物の目には涙を浮かばせ、悔しそうに歯を食いしばっていた。
一方で剣を持った傭兵と短剣を持った傭兵は、そんな姿にクスクスと笑っていた。
「お前の絶望した演技、かなり良かったな」
「こういう時の為に一生懸命練習した甲斐があったぜ。神子達が沈み切ったのを見て、『ああ…!そんな…!!神子様…』ってな!あはははははっ!!」
自分達が下の階層に落ちている間に、傭兵達の間でそんな事があったとは。
しかも助けられなかった悲しみの演技を、今度は合流してからバカにした気持ちで再現していた。
その者達だけ蟻地獄に巻き込まれなかったのは、二人の仲間が人質を一人取る為に仕組んだモノだと知ると、レヴィンは剣を握っていない左の拳を強く握り締めた。