Story.07≪Chapter.1-7≫
噴水があった位置から少し歩くと、数々の建物らしきモノと既に壊されたであろう壁の残骸が見られる場所が並んでいるエリアに入り、ここで分かれ道が多く見られた。
どうやらクリアトラックス王国時代の街だった様で、広場らしき場所もその一部だと考えられる。
これはいつか他の生徒達にも見せたい所だが、今ははぐれた傭兵達を探し、道化会の会員を見つけ出すのが優先。
……とはいえ、まだ破壊されずに残っている建物は扉も閉まったままの場所も多く見られるので、ここでアロガントは再びタブレット端末に表示されている地図(マップ)に目を通す。
「傭兵さん達も、きっと私達の事を心配しているわ…。あの人達もここに向かうとしたら、何処から来ると思います?」
「少々お待ちを。……おそらくここではないかと」
リヴマージの問いにアロガントは画面を操作し、落下する前の階層に繋がる上り階段の場所はここから3つ目の十字路を左に曲がった先の大きな建物にあると分かった。
「そこに行けば合流出来そうですわね」
「…地図(マップ)があるって事はここも踏破済みなんだろ?なのに細かい位置が把握出来てねぇわ、初めて見たようなリアクションするわで」
「し、仕方ないだろうっ!遺跡の調査は考古学者や傭兵共に任せっきりだし、私も別の公務があってだな…、実際にここに来る余裕などなかったのだっ!」
踏破遺跡のデータがあるにしては進むペースが遅い事を指摘するカイザーに対し、アロガントは焦りながら有力貴族としての多忙さをアピールしている。
「ま、まぁまぁカイザー様。私もお父様もこれを機にここを把握しておきますわ。また何かあった時の為に」
「カイザー、それくらいにしておけよ。アロガントさんも急な出来事でパニックになってたかもしれないから。ほら、砂に足を取られて下に落ちた時なんか特に」
エリザベートはこの遺跡の内部を頭に入れておく事を告げ、レヴィンはこういう時こそ悪い空気を作ってはいけないとカイザーを宥めた。
相手が≪クロスラーン≫を統治する有力貴族とはいえ、「どいつもこいつも甘い事を言いやがって…」と溜め息を漏らしながら視線を逸らした。
それを見たエンドルは、何だか若干機嫌の悪そうなミシェルみたいだと思い苦笑いをしていた。
「と、とにかく行きましょう!」
リヴマージは早く傭兵達との合流をと、他の5人を呼び掛けた所で再び歩き出す。
この階層は分かれ道が非常に多く、何も知らずに初めて訪れるのならばすぐに迷うだろう。
しかしアロガントが残したデータのおかげで順調に進み、道化会の遭遇や罠(トラップ)が発動する事もなく辿り着いたのは、いかにも貴族や富豪が住んでいそうな豪邸だった。
「こ…ここが…、上り階段に繋がる場所…?」
「こんな凄い場所の上にいたのか…?俺達…」
予想外の建物にエンドルとレヴィンは唖然とし、リヴマージに至っては言葉が出てこなかった。
「そういえば…、下の階層が見つかった時に“壁を爆弾で壊したら下の階段が出てきた”っていう、エクスプローラーギルドからの報告があったな」
「そこは覚えてたのかよ」
アロガントはふと思い出したかの様にこの階層の発見の連絡が来た事を話した途端、カイザーが人を怪しむ様な目で彼を見ていた。
「だっ、だからってそれがこの豪邸の壁だとは言ってなかったぞっ!本当なんだっ!」
「カイザー、お前またアロガントさんに酷い事を言ったのか?」
「このオッサン、遺跡のこの階層の存在を予め知っていやがった」
「……それは早く言ってくださいよアロガントさん…」
今回に関しては庇う余地はないと見做されたのか、レヴィンにそう言われて「す、すまん…」と返すしかなかったアロガント。
だが仕掛けなどと云った細かい部分は本当に聞かされていないと付け足し、そしてそんな事よりも早く傭兵達を見つけなければと逃げる様に豪邸の中に入ろうとする。
どうやらクリアトラックス王国時代の街だった様で、広場らしき場所もその一部だと考えられる。
これはいつか他の生徒達にも見せたい所だが、今ははぐれた傭兵達を探し、道化会の会員を見つけ出すのが優先。
……とはいえ、まだ破壊されずに残っている建物は扉も閉まったままの場所も多く見られるので、ここでアロガントは再びタブレット端末に表示されている地図(マップ)に目を通す。
「傭兵さん達も、きっと私達の事を心配しているわ…。あの人達もここに向かうとしたら、何処から来ると思います?」
「少々お待ちを。……おそらくここではないかと」
リヴマージの問いにアロガントは画面を操作し、落下する前の階層に繋がる上り階段の場所はここから3つ目の十字路を左に曲がった先の大きな建物にあると分かった。
「そこに行けば合流出来そうですわね」
「…地図(マップ)があるって事はここも踏破済みなんだろ?なのに細かい位置が把握出来てねぇわ、初めて見たようなリアクションするわで」
「し、仕方ないだろうっ!遺跡の調査は考古学者や傭兵共に任せっきりだし、私も別の公務があってだな…、実際にここに来る余裕などなかったのだっ!」
踏破遺跡のデータがあるにしては進むペースが遅い事を指摘するカイザーに対し、アロガントは焦りながら有力貴族としての多忙さをアピールしている。
「ま、まぁまぁカイザー様。私もお父様もこれを機にここを把握しておきますわ。また何かあった時の為に」
「カイザー、それくらいにしておけよ。アロガントさんも急な出来事でパニックになってたかもしれないから。ほら、砂に足を取られて下に落ちた時なんか特に」
エリザベートはこの遺跡の内部を頭に入れておく事を告げ、レヴィンはこういう時こそ悪い空気を作ってはいけないとカイザーを宥めた。
相手が≪クロスラーン≫を統治する有力貴族とはいえ、「どいつもこいつも甘い事を言いやがって…」と溜め息を漏らしながら視線を逸らした。
それを見たエンドルは、何だか若干機嫌の悪そうなミシェルみたいだと思い苦笑いをしていた。
「と、とにかく行きましょう!」
リヴマージは早く傭兵達との合流をと、他の5人を呼び掛けた所で再び歩き出す。
この階層は分かれ道が非常に多く、何も知らずに初めて訪れるのならばすぐに迷うだろう。
しかしアロガントが残したデータのおかげで順調に進み、道化会の遭遇や罠(トラップ)が発動する事もなく辿り着いたのは、いかにも貴族や富豪が住んでいそうな豪邸だった。
「こ…ここが…、上り階段に繋がる場所…?」
「こんな凄い場所の上にいたのか…?俺達…」
予想外の建物にエンドルとレヴィンは唖然とし、リヴマージに至っては言葉が出てこなかった。
「そういえば…、下の階層が見つかった時に“壁を爆弾で壊したら下の階段が出てきた”っていう、エクスプローラーギルドからの報告があったな」
「そこは覚えてたのかよ」
アロガントはふと思い出したかの様にこの階層の発見の連絡が来た事を話した途端、カイザーが人を怪しむ様な目で彼を見ていた。
「だっ、だからってそれがこの豪邸の壁だとは言ってなかったぞっ!本当なんだっ!」
「カイザー、お前またアロガントさんに酷い事を言ったのか?」
「このオッサン、遺跡のこの階層の存在を予め知っていやがった」
「……それは早く言ってくださいよアロガントさん…」
今回に関しては庇う余地はないと見做されたのか、レヴィンにそう言われて「す、すまん…」と返すしかなかったアロガント。
だが仕掛けなどと云った細かい部分は本当に聞かされていないと付け足し、そしてそんな事よりも早く傭兵達を見つけなければと逃げる様に豪邸の中に入ろうとする。