Story.07≪Chapter.1-7≫
するとエリザベートが微笑みながらこちらへ歩み寄り、アロガントも周囲を見ながら気にしない素振りを見せる。
「まぁまぁ、そんなに気を落とさずに。道化会の会員はその者達だけではありませんわ」
「直接話してくれれば一気に真相は見えて来るのだが、そう簡単にいきそうにないのは分かった。それにリヴマージ様達が見た仮面の者はまだ見つかっていない。そいつを見つけ次第聞けば良いだけの事だ」
そう、道化会は全容こそ見えていないがこれで全員を目撃したワケではない。
この遺跡の何処かに別の会員、もしくはまだ見ぬ幹部がいる可能性もあるので落胆するのはまだ早い。
ビューティリス一族の二人の言葉に、生き残った3人の傭兵達は希望を取り戻したかの様に頷き、それを余所にカイザーは奥の壁を見つめていた。
「それに、この部屋での収穫はあったみてぇだしな」
そこには刃物で何度も切り刻まれたリヴマージの写真と、彼女を侮辱する数々の言葉が書かれた落書きがあった。
初めて見たエリザベートと3人の傭兵達は驚き、アロガントも驚愕の後に怒りの感情が露になる。
「何なんだこれは…!!」
「これもこの怪物がっ!?」
「いやっ、違う!これはあの二人も怪物になる前に見てたんだっ!」
エリザベートは倒れた怪物達の仕業ではないかと思っていたが、レヴィンが慌てながらこの部屋に付いた直後からカイザー達の合流までの出来事を説明した。
明らかにリヴマージの精神(メンタル)にダメージを受ける程の悪口に対しては、傭兵の身の人類だった二人も同じ様に驚いていた。
しかし今となってはそれが自分達を欺く為の演技の可能性もあるが、写真を切り刻んでまでというのは、余程リヴマージに強い憎しみを持っているだろうと予想出来る。
「リヴの事、“ブス魔女”だとよ。こりゃまた随分と幼稚な悪口だな」
「ツッコむ所は“嘘つき女”とか“偽りの神子”じゃないんですか…?」
「“アイドライズの真の敵”とは…、いくらリヴマージ様を憎んでいたとはいえ嘘も甚だしい!この怪物達じゃなければ、一体誰が書いたというのだ!?」
リヴマージの心の傷口に塩を塗るような発言がカイザーと拳銃を所持する傭兵、そして怒りのあまり声が徐々に大きくなるアロガントの口から出ているのを、レヴィンは両手で彼女の両耳を塞いだ。
見てしまっては既に遅いかもしれないが、落ち込んでいないかと思いながら顔を見ると逆に真剣な表情になっていた。
「レヴィン、私はもう大丈夫よ。今の戦いで分かったの。道化会の会員達…、怪物になってまで成し遂げたい目的があるのを」
「リヴ…」
「リヴ様、それは私も分かりますわ」
すると側で聞いていたであろうエリザベートが会話に入り、早くもこの戦いを振り返っていた。
「カイザー様が痺れさせたあの怪物の最後の攻撃は、後ろにいた私達に向けられた。それが何よりの証拠ですもの」
「そうだったのか?」
「ええ。レヴィン様達は別の怪物を相手してましたから気付いてないかもしれませんけど、あの時は確かにリヴ様と私とお父様を狙ってましたの。でもそれはヤケになったのではなく、ちゃんとした意味があったと私は感じましたわ」
リヴマージの抹殺は道化会に属する全ての会員達の使命だが、会員個人からすると真の目的は別にある。
それを考えると、まさかここにいるビューティリス一族に恨みを持つ会員がまだ潜んでいると言うのか。
「有力貴族に恨みがある線は間違っていなかったのか…」
「それはまだ分からないけど、可能性としては十分にあるわ。エリザベート、貴方のご両親が誰かに恨まれてるっていう話は聞いた事ない?」
「ネット上では結構悪口が書き込まれてますけど、お父様とお母様はそれ程気にしてませんでしたわ。“所詮、弱者が犬の様に吠えてるだけだ”って……えっ!?」
リヴマージの質問にエリザベートが答えた瞬間、突如身体がゆっくりと沈んでいく感覚を覚えた。
「まぁまぁ、そんなに気を落とさずに。道化会の会員はその者達だけではありませんわ」
「直接話してくれれば一気に真相は見えて来るのだが、そう簡単にいきそうにないのは分かった。それにリヴマージ様達が見た仮面の者はまだ見つかっていない。そいつを見つけ次第聞けば良いだけの事だ」
そう、道化会は全容こそ見えていないがこれで全員を目撃したワケではない。
この遺跡の何処かに別の会員、もしくはまだ見ぬ幹部がいる可能性もあるので落胆するのはまだ早い。
ビューティリス一族の二人の言葉に、生き残った3人の傭兵達は希望を取り戻したかの様に頷き、それを余所にカイザーは奥の壁を見つめていた。
「それに、この部屋での収穫はあったみてぇだしな」
そこには刃物で何度も切り刻まれたリヴマージの写真と、彼女を侮辱する数々の言葉が書かれた落書きがあった。
初めて見たエリザベートと3人の傭兵達は驚き、アロガントも驚愕の後に怒りの感情が露になる。
「何なんだこれは…!!」
「これもこの怪物がっ!?」
「いやっ、違う!これはあの二人も怪物になる前に見てたんだっ!」
エリザベートは倒れた怪物達の仕業ではないかと思っていたが、レヴィンが慌てながらこの部屋に付いた直後からカイザー達の合流までの出来事を説明した。
明らかにリヴマージの精神(メンタル)にダメージを受ける程の悪口に対しては、傭兵の身の人類だった二人も同じ様に驚いていた。
しかし今となってはそれが自分達を欺く為の演技の可能性もあるが、写真を切り刻んでまでというのは、余程リヴマージに強い憎しみを持っているだろうと予想出来る。
「リヴの事、“ブス魔女”だとよ。こりゃまた随分と幼稚な悪口だな」
「ツッコむ所は“嘘つき女”とか“偽りの神子”じゃないんですか…?」
「“アイドライズの真の敵”とは…、いくらリヴマージ様を憎んでいたとはいえ嘘も甚だしい!この怪物達じゃなければ、一体誰が書いたというのだ!?」
リヴマージの心の傷口に塩を塗るような発言がカイザーと拳銃を所持する傭兵、そして怒りのあまり声が徐々に大きくなるアロガントの口から出ているのを、レヴィンは両手で彼女の両耳を塞いだ。
見てしまっては既に遅いかもしれないが、落ち込んでいないかと思いながら顔を見ると逆に真剣な表情になっていた。
「レヴィン、私はもう大丈夫よ。今の戦いで分かったの。道化会の会員達…、怪物になってまで成し遂げたい目的があるのを」
「リヴ…」
「リヴ様、それは私も分かりますわ」
すると側で聞いていたであろうエリザベートが会話に入り、早くもこの戦いを振り返っていた。
「カイザー様が痺れさせたあの怪物の最後の攻撃は、後ろにいた私達に向けられた。それが何よりの証拠ですもの」
「そうだったのか?」
「ええ。レヴィン様達は別の怪物を相手してましたから気付いてないかもしれませんけど、あの時は確かにリヴ様と私とお父様を狙ってましたの。でもそれはヤケになったのではなく、ちゃんとした意味があったと私は感じましたわ」
リヴマージの抹殺は道化会に属する全ての会員達の使命だが、会員個人からすると真の目的は別にある。
それを考えると、まさかここにいるビューティリス一族に恨みを持つ会員がまだ潜んでいると言うのか。
「有力貴族に恨みがある線は間違っていなかったのか…」
「それはまだ分からないけど、可能性としては十分にあるわ。エリザベート、貴方のご両親が誰かに恨まれてるっていう話は聞いた事ない?」
「ネット上では結構悪口が書き込まれてますけど、お父様とお母様はそれ程気にしてませんでしたわ。“所詮、弱者が犬の様に吠えてるだけだ”って……えっ!?」
リヴマージの質問にエリザベートが答えた瞬間、突如身体がゆっくりと沈んでいく感覚を覚えた。