Story.06≪Chapter.1-6≫
シクールに傷は負わなかったものの、電流が身体に当たった影響で痺れて体勢が崩れ、床に落ちた仮面と共にその場で倒れた。
感電により気を失っているだけ、しかし先程から戦闘の直前に言っていたアンヘルの言葉が気になっている。
―その仮面は危険だ。“力”の増幅と引き換えに君達の寿命が縮んでしまう―
―意識はまだあるから良いんだけど、長く被り続けると自分自身が失われちゃうよ?冗談じゃなくてマジで―
最初の一言は思い当たる節がないが、次の一言は3日前に突然現れた怪物の姿が脳裏に浮かぶ。
その時のバラッドは、いつもの様に4階の『トレーニングルーム』でユリアンと共に鍛練に励み、帰ろうと廊下に出た時に遭遇した。
最初は全身がローブで覆われ仮面を被った謎の人物としか認識出来なかったが、こちらを見た瞬間に怪物へと変貌し襲い掛かって来た。
言葉を発せず、ただひたすら近くにいる人々を攻撃する。
それは倒した後に2階に駆け付けた時も同じであり、3階で他の2年生を助けたユリアンと外で怪物と遭遇したミシェルもそう言っていた。
まさかマンダー達3人が装着したトカゲの仮面も、魔力の増幅と怪物化の効果が含まれていたのだろうか。
今回は早めに破壊出来たからシクールとマンダーの身体に異変はなかったものの、時間が掛かり過ぎていたらどうなっていた事か。
そう思いつつアンヘルとバジールの戦況に目を通すと、未だに青いトカゲの仮面を付けているバジールが焦りの様子を見せている。
「フリーズ・ヘデイク!!」
氷属性の魔力により、相手に頭痛を与えて行動を制限させる魔法を掛けたものの、アンヘルは直撃したにも関わらず体術で攻めている。
「なっ、何でっ!?何で効かないんだぁっ!?」
「僕がまだ軍人だった頃、あらゆる痛みに耐える訓練を長時間受けていた時があってね。頭痛くらいじゃ何とも思わないよ」
そう言いながら右の拳でバジールの腹を殴り、怯んだ隙に背後に回っては脳天にチョップして気絶させた。
横たわっている所を仰向けにさせ、青いトカゲの仮面を彼の顔面から引き剥がす様に外した。
膨大な魔力は収まり、マンダー達3人の身体にこれと云った変化は見られず、またバラッドは細かい傷が見られるが残りの3人の生徒達が無事である事に安堵の息を漏らした。
「皆、ご苦労様。ミシェル、バラッドの傷を癒してあげて」
「へいへい」
ミシェルは水属性の初級の補助魔法―≪キュア・ウォーター≫でバラッドの身体に癒しの水を包み込ませ、シクールとの戦いで受けた細かい傷を治療した。
その間にアンヘルはアンナと共に、気絶しているバジールとシクール、そしてミシェルに二度の敗北を刻まれて落胆するマンダーを拘束すべく、魔力と能力を封印する効力を持つ黒い手錠をその3人の両腕に掛けた。
「ど、どうやら…終わったみたいですね」
すると『武道場』の出入口から聞き覚えのある女性の声がしたが、何だか弱気に満ちた感じがした。
ミシェルとアンナ、バラッドとアンヘルはその方向に視線を送ると、そこには困った表情でこちらを見ているラウネの姿があった。
「ラウネ先生、どうかされましたか?」
「アンヘル先生、それが…」
ラウネは『武道場』には入らず、恐る恐る右方向に3歩だけ動くと、彼女の代わりに入って来たのは厳しい表情を浮かべているウォルフだった。
「あ…、ウォルフ先生。貴方もいらしてましたか」
「オデッセイ先生。これはどういう事なのか、私にも説明して頂きたい」
同じ教職員相手に対しては基本的に名前を言う彼だが、不機嫌な時は誰に対しても苗字で呼ぶ事がある。
今回は昨日の朝にて命令無視をやらかしたミシェルがおり、これもまた彼女が行ったのかと思われている。
感電により気を失っているだけ、しかし先程から戦闘の直前に言っていたアンヘルの言葉が気になっている。
―その仮面は危険だ。“力”の増幅と引き換えに君達の寿命が縮んでしまう―
―意識はまだあるから良いんだけど、長く被り続けると自分自身が失われちゃうよ?冗談じゃなくてマジで―
最初の一言は思い当たる節がないが、次の一言は3日前に突然現れた怪物の姿が脳裏に浮かぶ。
その時のバラッドは、いつもの様に4階の『トレーニングルーム』でユリアンと共に鍛練に励み、帰ろうと廊下に出た時に遭遇した。
最初は全身がローブで覆われ仮面を被った謎の人物としか認識出来なかったが、こちらを見た瞬間に怪物へと変貌し襲い掛かって来た。
言葉を発せず、ただひたすら近くにいる人々を攻撃する。
それは倒した後に2階に駆け付けた時も同じであり、3階で他の2年生を助けたユリアンと外で怪物と遭遇したミシェルもそう言っていた。
まさかマンダー達3人が装着したトカゲの仮面も、魔力の増幅と怪物化の効果が含まれていたのだろうか。
今回は早めに破壊出来たからシクールとマンダーの身体に異変はなかったものの、時間が掛かり過ぎていたらどうなっていた事か。
そう思いつつアンヘルとバジールの戦況に目を通すと、未だに青いトカゲの仮面を付けているバジールが焦りの様子を見せている。
「フリーズ・ヘデイク!!」
氷属性の魔力により、相手に頭痛を与えて行動を制限させる魔法を掛けたものの、アンヘルは直撃したにも関わらず体術で攻めている。
「なっ、何でっ!?何で効かないんだぁっ!?」
「僕がまだ軍人だった頃、あらゆる痛みに耐える訓練を長時間受けていた時があってね。頭痛くらいじゃ何とも思わないよ」
そう言いながら右の拳でバジールの腹を殴り、怯んだ隙に背後に回っては脳天にチョップして気絶させた。
横たわっている所を仰向けにさせ、青いトカゲの仮面を彼の顔面から引き剥がす様に外した。
膨大な魔力は収まり、マンダー達3人の身体にこれと云った変化は見られず、またバラッドは細かい傷が見られるが残りの3人の生徒達が無事である事に安堵の息を漏らした。
「皆、ご苦労様。ミシェル、バラッドの傷を癒してあげて」
「へいへい」
ミシェルは水属性の初級の補助魔法―≪キュア・ウォーター≫でバラッドの身体に癒しの水を包み込ませ、シクールとの戦いで受けた細かい傷を治療した。
その間にアンヘルはアンナと共に、気絶しているバジールとシクール、そしてミシェルに二度の敗北を刻まれて落胆するマンダーを拘束すべく、魔力と能力を封印する効力を持つ黒い手錠をその3人の両腕に掛けた。
「ど、どうやら…終わったみたいですね」
すると『武道場』の出入口から聞き覚えのある女性の声がしたが、何だか弱気に満ちた感じがした。
ミシェルとアンナ、バラッドとアンヘルはその方向に視線を送ると、そこには困った表情でこちらを見ているラウネの姿があった。
「ラウネ先生、どうかされましたか?」
「アンヘル先生、それが…」
ラウネは『武道場』には入らず、恐る恐る右方向に3歩だけ動くと、彼女の代わりに入って来たのは厳しい表情を浮かべているウォルフだった。
「あ…、ウォルフ先生。貴方もいらしてましたか」
「オデッセイ先生。これはどういう事なのか、私にも説明して頂きたい」
同じ教職員相手に対しては基本的に名前を言う彼だが、不機嫌な時は誰に対しても苗字で呼ぶ事がある。
今回は昨日の朝にて命令無視をやらかしたミシェルがおり、これもまた彼女が行ったのかと思われている。